「人生最大の失望だ」。クリテリウム・ドゥ・ドーフィネで落車し、骨盤の一部である仙骨を骨折したアンディ・シュレク(ルクセンブルク、レディオシャック・ニッサン)が、6月13日に開いた記者会見の中でそう語った。アンディは少なくとも4〜6週間バイクから遠ざかる。ツール・ド・フランスのスタートラインには並ばない。

アンディ・シュレク(ルクセンブルク、レディオシャック・ニッサン)アンディ・シュレク(ルクセンブルク、レディオシャック・ニッサン) photo:Cor Vos6月13日、パーソナルドクターであるシャルル・ドラガルデル医師とトルステン・ゲーリッヒ医師に付き添われ、アンディが緊急記者会見を開いた。

アンディは6月7日に行なわれたドーフィネの第4ステージ個人タイムトライアルで落車。痛みに耐えながら翌日の第5ステージを完走したものの、第6ステージの63km地点でバイクを降りた。

63km地点でバイクを降りたアンディ・シュレク(ルクセンブルク、レディオシャック・ニッサン)63km地点でバイクを降りたアンディ・シュレク(ルクセンブルク、レディオシャック・ニッサン) photo:Cor Vos当初は骨折を免れたと見られていたが、精密検査の結果、脊椎下部に位置する仙骨のセグメントS3を骨折していたことが判明。医師によると完治には4〜6週間かかり、必然的にツール・ド・フランスの出場は不可能となる。

記者会見の中でアンディは、ドーフィネ、ツール、そして骨折について以下のように語っている。

「人生最大の失望だ。ツールはシーズンの中で最も重要なレース。僕のために身を尽くしてくれたチームメイトたちのことを思うと悲しくなる。批判的な声に応える準備もできていた。目標と夢を追い続けるのが選手だ。だから落車の後も、ツールのことを考えながらレースを続行した。肋骨を骨折しながらツールを完走したカデル・エヴァンスのことも思い浮かんだけど、やはり痛みは収まらず、リタイアを余儀なくされた。これまでのキャリアの中で鎖骨を2回折っているけど、今回の骨折が最も痛ましい」。

ヨハン・ブリュイネール監督はプレスリリースの中で「アンディがリタイアしてチームカーに乗り込む姿を見て、何かがおかしいと思ったんだ」と語る。「彼はツールに向けてコンディションを上げるべく、痛みに耐えながら2日間走った。単独エースとしてツールに挑む予定だったアンディの離脱は、チームにとってこの上ない痛手だ」。

2008年から毎年欠かさずツールに出場し、総合11位、総合2位、総合優勝(コンタドール失格による繰り上げ)、総合2位という成績を残しているアンディ。
「ツールに合わせた今の体重を保ったまま、残りのシーズンを闘いたい。出来ればロンドン五輪を走って、そして勝つためにブエルタ・ア・エスパーニャに行く。昨日、ツール欠場が決まってすぐにブエルタのコース研究を始めたんだ。コースはとても僕向きだと思う」と意気込む。

「今年のブエルタには頂上ゴールが多く、個人タイムトライアルの距離が短い。アンディ向きのコースだ」と、ブリュイネール監督も太鼓判を押す。

「ブエルタで友達のアルベルト・コンタドールと闘うよ。モチベーションは今まで以上に高い。そして、ブエルタの後は、僕向きのコースで行なわれるロード世界選手権だ。とにかく今回の不運が僕を強くすると思う。僕は27歳で、まだまだキャリアは長い」。アンディはすでに気持ちを次の目標に切り替えている。

会見内容はレディオシャック・ニッサンのプレスリリースより。

text:Kei Tsuji

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