緑の季節に似合うツアー・オブ・ジャパンが帰ってくる。2年ぶりの開催となる大会は堺から東京までの6ステージ、581.85kmの戦いだ。海外からはジェネシス、チャンピオンシステム、アモーレ・エ・ヴィータら強豪が参戦。今年は約50km距離が伸びた伊豆ステージがカギを握る。

堺ステージの前に行われる堺国際クリテリウムも注目だ堺ステージの前に行われる堺国際クリテリウムも注目だ photo:Hideaki.TAKAGIふじあざみラインのステージが総合を占うふじあざみラインのステージが総合を占う photo:Hideaki.TAKAGI標高差5000mに達する伊豆ステージ。間違いなく最大の注目ステージだ標高差5000mに達する伊豆ステージ。間違いなく最大の注目ステージだ photo:Hideaki.TAKAGI東京ステージは迫力ある集団ゴールが見られる東京ステージは迫力ある集団ゴールが見られる photo:Hideaki.TAKAGI5月20日(日)の大阪・堺ステージから待ちに待ったツアー・オブ・ジャパンが始まる。昨年は東日本大震災の影響で中止となったため、2年ぶりの開催だ。
今年は27日の東京ステージまでの6ステージ・581.85km。奈良がなくなり、伊豆ステージが前回大会よりも約50km伸びて146.4kmになる。今までならば富士山ステージで大きな差が付いて挽回できないことが多かったが今年は違う。この伊豆ステージですべてが決することになるだろう。日本人選手にもステージはもちろん総合優勝が望める内容となった。

各ステージから見どころを紹介しよう。

第1ステージ 堺 
5月20日(日)13時40分スタート 個人TT 2.65km
大阪府堺市の大仙公園を周回する個人TT。TTバイクは禁止されておりノーマルバイクで出走する。コンマ秒以下までの計測で順位が付く唯一のステージだ。最終ステージまでこのタイム差が影響する可能性がある。10年の優勝はマイケル・マシューズ(現ラボバンク)で、3分14秒31のタイム。3分20秒が優勝の目安だろう。

なお、この日はTOJ選手による前座レース「堺国際クリテリウム」が11時15分から10周で行われる。10年大会では鈴木真理が優勝している。
さらに12時05分からは実業団レース(JBCFクリテリウム)がE1とE2クラスで行われる。

第2ステージ 美濃
5月22日(火)9時15分スタート 160.7km
移動日をはさみ、この美濃ステージからいよいよロードレースが始まる。平坦コース+一ヶ所急峻な上りというプロフィール。スプリンター向けのコースで集団ゴールが予想されるが、過去には逃げが決まり単独ないし少人数ゴールもあったステージだ。

第3ステージ 南信州
5月23日(水)8時45分スタート 148.0km
山岳ステージだが平坦部分もあるため、ヒルクライマーが単独で逃げ切るのは難しい。過去には少人数のスプリント勝負でスプリンターが勝つことが多い。だからこそ独走逃げ切りを期待したいステージだ。選手たちは飯田市内に連泊して富士山へ向かう。

第4ステージ 富士山
5月25日(金)10時00分スタート 11.4km
日本の激坂として名高い「ふじあざみライン」を舞台にマスドスタート方式で行われる。コースレコードはセルヒオ・パルディージャ(現モビスター)が09年に個人TTとして記録した40分21秒。やはり今年もこの富士山で優勝ないし上位タイムを出すことが、個人総合優勝への近道であることに変わりない。

第5ステージ 伊豆
5月26日(土)9時30分スタート 146.4km
今年のハイライトはこの伊豆ステージだ。その理由は距離と標高差。前回までと比べて約50kmも長い。前日の富士山ステージでついた数十秒差は、このステージで挽回することが十分に可能だ。そして平坦の無い上りと下りだけのコースの積算標高差は4000mを超え5000mに達する。もちろん富士山ステージの上位者がレースを動かすが、逆転できる可能性は高い。

第6ステージ 東京
5月27日(日)11時00分スタート 112.7km
日比谷公園前をパレードスタートし、大井埠頭を14周する完全フラットなコース。総合逆転、ステージ優勝、ポイント賞などさまざまな思惑で各チームが戦う最後のステージだ。例年積極的なアタックがかかるが、逃げが吸収されて集団ゴールスプリントという展開が最も多い。

なお、同日9時15分から実業団JBCF大井埠頭ロードレースがE1とE2クラスで行われる。


各ステージのボーナスタイムの設定状況は次のとおり。
第2ステージ 中間3回各3,2,1秒、ゴール10,6,4秒
第3ステージ ゴール10,6,4秒
第5ステージ 中間3回各3,2,1秒、ゴール10,6,4秒
第6ステージ 中間3回各3,2,1秒、ゴール10,6,4秒


チャンピオンシステムに挑む国内外チーム

唯一のプロコンチーム、チャンピオンシステム唯一のプロコンチーム、チャンピオンシステム photo:Yuko.SATO2011年熊野を制したフォルトゥナート・バリアーニ(TEAM NIPPO)。2位のルビアーノ・チャベスは今年移籍して、ジロで区間優勝している2011年熊野を制したフォルトゥナート・バリアーニ(TEAM NIPPO)。2位のルビアーノ・チャベスは今年移籍して、ジロで区間優勝している photo:Hideaki.TAKAGI2009年奈良ステージ優勝のワン・カンポー(香港チーム)2009年奈良ステージ優勝のワン・カンポー(香港チーム) photo:HIdeaki.TAKAGI2012年全日本ロードで優勝争いをする清水都貴(ブリヂストンアンカー)と増田成幸(宇都宮ブリッツェン)2012年全日本ロードで優勝争いをする清水都貴(ブリヂストンアンカー)と増田成幸(宇都宮ブリッツェン) (c)Makoto.AYANO山本元喜と黒枝士揮(鹿屋体育大学)ら大学生のステージ優勝の可能性もある山本元喜と黒枝士揮(鹿屋体育大学)ら大学生のステージ優勝の可能性もある photo:Hideaki.TAKAGI
海外6、国内10の合計16チームが参加する今年のTOJ。唯一のプロコンチネンタルチームであるチャンピオンシステム・プロサイクリングチームが、ステージでも総合でも中心となってレースは進む。メンバーの半分はプロツアーチームから移籍してきており、オールラウンドに力を見せる。クリストファー・バトラー(前BMC)、ウィリアム・クラーク(前レオパード・トレック)らが中心だ。リザーブにはヤン・キルシプー、アヌアル・マナン、キャメロン・ウルフらがおり、いずれにしても強豪チームだ。さらに強力なメンバーを揃えるTEAM NIPPOやアモーレ・エ・ヴィータなども注目だ。

ステージ優勝は?

スプリンター系ではアンソニー・ジャコッポ(ジェネシス・ウェルス・アドヴァイザーズ)、ワン・カンポー(香港チーム)、ヨフチョ・ヨフチェフ(アモーレ・エ・ヴィータ)が。国内チームではマキシミリアーノ&マウロ・リケーゼ兄弟(TEAM NIPPO)、西谷泰治(愛三工業レーシングチーム)、鈴木真理(キャノンデール・スペースゼロポイント)、辻善光(チーム右京)、マリウス・ヴィジアック(マトリックス・パワータグ)らが有力。

ヒルクライマー系では増田成幸(宇都宮ブリッツェン)、狩野智也(チーム右京)、西薗良太(ブリヂストン・アンカー)ら国内選手が有望だ。

個人総合優勝は?

そしてオールラウンダー&総合ではフォルトゥナート・バリアーニと佐野淳哉 (TEAM NIPPO)、福島晋一(トレンガヌ)、鈴木譲と畑中勇介(シマノレーシング)、清水都貴とトマ・ルバ(ブリヂストン・アンカー)らが有力だ。

もう一つの注目は日本学生自転車競技連盟選抜チームだ。前年度の成績で4人が、そして2人は選抜されたメンバーだ。鹿屋体育大学の山本元喜と黒枝士揮、京都産業大学の木村圭佑、早稲田大学の大中巧基、東京大学から安井雅彦、そして中央大学の山本隼だ。前回大会では西薗良太(当時東京大学、現ブリヂストンアンカー)が総合11位の成績を出し、彼自身がプロへの道を決意した大会だった。今年この成績を上回ることは十分に予想できる。

参加チーム 計16チーム

海外 6チーム
チャンピオンシステム・プロサイクリングチーム
アモーレ・エ・ヴィータ
ジェネシス・ウェルス・アドヴァイザーズ
トレンガヌ・サイクリングチーム
香港チーム
OCBCシンガポール・コンチネンタルサイクリングチーム

国内 10チーム
TEAM NIPPO
シマノレーシング
ブリヂストン・アンカー
愛三工業レーシングチーム
マトリックスパワータグ
宇都宮ブリッツェン
キャノンデール・スペースゼロポイント
チーム右京
パールイズミ・スミタ・ラバネロ
日本学生自転車競技連盟選抜


text:Hideaki.TAKAGI
photo:Makoto.AYANO Yuko.SATO Hideaki.TAKAGI