ロベルト・フェラーリが3級山岳でのゴールスプリントを制し、今季1勝目を挙げた。西谷泰治は総合4位をキープし、日本ナショナルチームはチーム総合成績で首位に立った。

2選手が120kmに渡って逃げ続ける

ジャージ着用選手のセレモニーで記念品を受け取る福島晋一(トレンガヌ)ジャージ着用選手のセレモニーで記念品を受け取る福島晋一(トレンガヌ) photo : Sonoko TANAKA台中のやや南に位置する彰化縣で開催された第5ステージ。14km地点で2級山岳を越え、ホットスポットを2つ通過し、最後は3級山岳頂上にゴールする全長136.05kmのコースだ。

ニュートラル走行を終えて、2級山岳に差し掛かると、ポイント賞リーダーでありながら、山岳賞2位に付けるフェン・チュンカイ(アクション)とイランチャンピオン、アッバース・サイディタナハ(アザド大学クロスチーム)、連日逃げに乗るリー・ロジャース(イギリス、RTSレーシング)の3人が集団から先行した。そして、山頂をフェンが1位通過し、福島晋一(トレンガヌ)に3ポイントほど差をつけ、山岳リーダージャージを奪還。彰化縣の市内でパレード走行をする宮澤崇史(サクソバンク)彰化縣の市内でパレード走行をする宮澤崇史(サクソバンク) photo : Sonoko TANAKA

その後フェンは集団に戻り、リーとサイディタナハが2人で逃げ続け、集団とのタイム差を最高で4分7秒ほど稼ぐ。120km近く逃げ続けたが、ゴール手前10kmでアンドローニ・ジョカトーリらステージ優勝を狙うチームがコントロールする集団に飲み込まれる。

ロベルト・フェラーリが登坂スプリントを制す

ラスト3kmでアントニオ・サントロ(イタリア、アンドローニ・ジョカトーリ)がロングエスケープを図るものの、残り500m、本格的な上りの前で吸収され、宮澤崇史を含むサクソバンク勢が先行しながら山頂へと向か逃げて走るアッバース・サイディタナハ(イラン、アザド大学クロスチーム)とロジャース・リー(イギリス、RTSレーシング)逃げて走るアッバース・サイディタナハ(イラン、アザド大学クロスチーム)とロジャース・リー(イギリス、RTSレーシング) photo : Sonoko TANAKAう。最後の登坂は傾斜が急なだけでなく、曲がりくねった石畳区間までも含まれるテクニカルなもの。各選手が位置取りに苦戦しながらも、ゴール直前でロベルト・フェラーリ(イタリア、アンドローニ・ジョカトーリ)が先頭に立ち、そのままステージ優勝を挙げた。日本人最高位は宮澤崇史の9位。

フェラーリは、昨年のジロ・ディ・イタリアで活躍したイタリア人スプリンターだが、ジロのあとはウィルス性感染症によりシーズンを棒に振ってしまった。今年も1月のツール・ド・サンルイスでシーズンインを迎えたものの、ここまで本調子ではなかったと言う。「今日の勝利を良いシーズンのきっかけにしたい」と話す。

彰化縣の街中を抜ける選手たち彰化縣の街中を抜ける選手たち photo : Sonoko TANAKA
ステージ優勝を挙げたロベルト・フェラーリ(イタリア、アンドローニ・ジョカトーリ)ステージ優勝を挙げたロベルト・フェラーリ(イタリア、アンドローニ・ジョカトーリ) photo : Sonoko TANAKA

台湾の新星、フェン・チュンカイ

2級山岳の山頂に向かうフェン・チュンカイ(台湾、アクション)ら3選手2級山岳の山頂に向かうフェン・チュンカイ(台湾、アクション)ら3選手 photo : Sonoko TANAKAフェン・チュンカイは高校時代を過ごした地元でのレースとなった。ポイント賞と山岳賞をダブルで獲得するというアグレッシブルな走りに、黄色い歓声も飛び交うほど人気が高まっている。

年々、頭角を現し「将来はヨーロッパで活躍したい」と話す23歳のフェン。大学のスポーツ学科に在学中で、台湾では1年間の兵役があるため、外国に行くのは少し先になると言うが、将来が期待される台湾人選手の筆頭だ。ちなみに尊敬する選手は、鈴木真理だと言う(彼の笑顔が好きなんだとか)。

ポロックがイエロージャージで誕生日を祝う

彰化縣の名所、八卦山大仏前で行われた表彰式彰化縣の名所、八卦山大仏前で行われた表彰式 photo : Sonoko TANAKA総合順位は、ボーナスタイムを獲得したアンソニー・ジャコーポ(オーストラリア、ジェネシス・ウェルスアドヴァイザーズ)が5位にランクアップ。今日32歳の誕生日を迎えたリース・ポロック(オーストラリア、ドラパック)がリーダージャージをキープする。総合上位につける日本勢のタイム差に変動はない。

そして4選手が先頭集団でゴールした日本ナショナルチームは、ドラパックを抜いてチーム総合成績首位となった。「明日からもステージ優勝を狙っていき、いいレースができれば、必然的にチーム順位も付いてくるでしょう」と高橋監督は話す。

明日第6ステージは平坦基調の128.74kmだが、ゴールが2級山岳の山頂となる。最終日の第7ステージが集団スプリントが予想されるため、実質、総合順位は明日で決まるだろう。どの選手も、明日のゴールはハードなものとなり、誰が総合優勝するかはわからないと口を揃える。



ツール・ド・台湾2012第4ステージ結果
1位 ロベルト・フェラーリ(イタリア、アンドローニ・ジョカトーリ) 3h14'30"
2位 ルーカスセバスティアン・アエド(アルゼンチン、サクソバンク)
3位 アンソニー・ジャコーポ(オーストラリア、ジェネシス・ウェルスアドヴァイザーズ)
4位 ジョナサン・キャントウェル(オーストラリア、サクソバンク)
5位 アントニオ・サントロ(イタリア、アンドローニ・ジョカトーリ)
6位 デック・ミューラー(ドイツ、ニュートリクション)
9位 宮澤崇史(サクソバンク)
10位 山本元喜(日本ナショナル)
13位 西谷泰治(日本ナショナル)
16位 畑中勇介(日本ナショナル)
38位 早川朋宏(日本ナショナル)
70位 福島晋一(トレンガヌ)+0'45"
73位 中尾圭祐(日本ナショナル) +01'05"

個人総合成績
1位 リース・ポロック(オーストラリア、ドラパック)13h11'43"
2位 ワン・カンポー(香港、香港ナショナル)+0'02"
3位 デック・ミューラー(ドイツ、ニュートリクション)+0'06"
4位 西谷泰治(日本ナショナル) +0'08"
5位 アンソニー・ジャコーポ(オーストラリア、ジェネシス・ウェルスアドヴァイザーズ)+0'17"
6位 宮澤崇史(サクソバンク) +0'20"
12位 山本元喜(日本ナショナル)+0'53"
24位 畑中勇介(日本ナショナル)+0'54"
49位 早川朋宏(日本ナショナル)+4'14"
61位 中尾圭祐(日本ナショナル)+7'32"
73位 福島晋一(トレンガヌ)+12'35"

ポイント賞
フェン・チュンカイ(台湾、アクション)

山岳賞
フェン・チュンカイ(台湾、アクション)

アジアンリーダ
ワン・カンポー(香港、香港ナショナル)

チーム総合成績
日本ナショナル


photo&text:Sonoko.Tanaka
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