2012年2月24日から3月4日までの10日間、マレーシアで第17回ツール・ド・ランカウイ(UCI2.HC)が開催される。今年はアスタナやガーミン・バラクーダ、アンドローニ、ユーロップカーが顔を揃えるこの大会に、今年も愛三工業レーシングチームやトレンガヌサイクリングチームの福島晋一が出場する。

ゲンティンハイランド頂上ゴールで総合は決着

ツール・ド・ランカウイ2012コースマップツール・ド・ランカウイ2012コースマップ image:www.ltdl.com.my1996年に初開催され、今年で開催17回目を迎えるツール・ド・ランカウイ。「アジア最高峰」のタイトルは昨年から開催されているツアー・オブ・北京(UCIワールドツアー)に譲ったものの、依然としてUCIアジアツアーの中ではひと際高いステイタスを誇る。

カテゴリーはHC(超級)で、開催期間も10日間と長く、オーガナイズにも定評がある、近い将来UCIワールドツアー入りが有力視されており、ヨーロッパでもその注目度は高い。

ランカウイの名を冠しているが、レースの舞台はランカウイ島ではなく、マレー半島全域。今年はマレー半島西部に位置する首都クアラルンプール近郊のプトラジャヤをスタートし、一旦半島を南下。そのあと東岸に向かい、北上してクアラトレンガヌに至る。

初日は平坦基調の20.3kmで行なわれる個人タイムトライアルで、マレー半島南部を走る前半ステージは比較的イージー。連日ゴールスプリントに持ち込まれる可能性が高いが、アップダウンが絶えないため、逃げ切りが決まることも。

第6ステージ・コースプロフィール第6ステージ・コースプロフィール image:www.ltdl.com.myそしてランカウイの代名詞とも言うべきゲンティンハイランドの頂上ゴールが第6ステージに登場する。標高1679mの高原リゾートに向かうこの超級山岳で、早くも総合争いは決するだろう。

ゲンティンハイランドでの決戦後、マレー半島を横断する。後半ステージも平坦コースが多いが、海沿いを走るため、海風の影響を受けることも考えられる。そして最終日はクアラトレンガヌの周回コースにゴール。全10日間、1415.5kmの旅程だ。

霧が立ち込めるゲンティンハイランドを走る選手たち霧が立ち込めるゲンティンハイランドを走る選手たち photo:www.ltdl.com.myゲンティンハイランドを独走で駆け上がるホセ・セルパ(コロンビア)ゲンティンハイランドを独走で駆け上がるホセ・セルパ(コロンビア) photo:Hitoshi Omae


ツール・ド・ランカウイ2012ステージリスト
2月24日(金)第1ステージ プトラジャヤ 20.3km(個人TT)
2月25日(土)第2ステージ プトラジャヤ〜ムラカ 151km
2月26日(日)第3ステージ ムラカ〜パリスロン 187.6km
2月27日(月)第4ステージ バトゥーパハト〜ムアル 169.4km
2月28日(火)第5ステージ アイルケロー〜パンダンインダー 187.2km
2月29日(水)第6ステージ プロトンシャーアラム〜ゲンティンハイランド 108km
3月1日(木)第7ステージ ベントン〜クアンタン 215.8km
3月2日(金)第8ステージ ペカン〜チュカイ 100.8km
3月3日(土)第9ステージ ケマシク〜クアラトレンガヌ 169.4km
3月4日(日)第10ステージ タシクケニル〜クアラトレンガヌ 110.7km

ヴィノやダニエルソン、南米勢に注目 愛三工業は3年連続出場

アレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン、アスタナ)アレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン、アスタナ) photo:Cor Vos2012年大会には、UCIプロチームのアスタナとガーミン・バラクーダが出場。その他、UCIプロコンチネンタル7チーム、UCIコンチネンタル10チーム、そして3つのナショナルチームが出場する。6名ずつ22チームがスタートするため、出場選手は総勢132名。

世界的に注目を集めているのが、実に15年ぶりにランカウイに出場するアレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン、アスタナ)だ。現役引退から2度目のカムバックを果たしたカザフの大将は、38歳の今年、キャリア最後のシーズンをマレーシアでスタートさせる。

トム・ダニエルソン(アメリカ、ガーミン・バラクーダ)トム・ダニエルソン(アメリカ、ガーミン・バラクーダ) photo:Makoto Ayanoヴィノクロフは、アマチュア最後の年である1997年に、カザフスタンナショナルチームのメンバーとして出場。そこでカジノチーム(現アージェードゥーゼル)監督の目に止まり、翌年同チームでプロ入りしている。

ガーミン・バラクーダのエースは、2003年大会の覇者トム・ダニエルソン(アメリカ)。グランツールでコンスタントに総合トップ10に入るアメリカンオールラウンダーは、久々にビッグレースで勝利したいところ。昨年のジャパンカップ覇者ネイサン・ハース(オーストラリア)も出場する。

悪天候のゲンティンハイランドに先頭でゴールするジョナサン・モンサルベ(ベネズエラ、アンドローニ・ジョカトリ)悪天候のゲンティンハイランドに先頭でゴールするジョナサン・モンサルベ(ベネズエラ、アンドローニ・ジョカトリ) photo:www.ltdl.com.myイタリアのアンドローニ・ジョカトリは、2011年大会覇者ジョナサン・モンサルベ(ベネズエラ)、2010年大会覇者ホセ・ルハノ(ベネズエラ)、2009年大会覇者ホセ・セルパ(コロンビア)という3代チャンピオンを揃える。ジャンニ・サヴィオ監督率いる南米クライマーたちが、今年もゲンティンハイランドで旋風を巻き起こすか。総合優勝に最も近いチームだと言えるだろう。

2010年のツール・ド・フランスで山岳賞を獲得してブレイクしたアントニー・シャルトー(フランス、ユーロップカー)は、2007年大会の覇者。32歳のクライマーが、緑のユーロップカーを率いる。

愛三工業レーシングチーム愛三工業レーシングチーム photo:Kei Tsuji昨年総合8位ホセイン・アスカリ(イラン)と総合10位のガーデル・ミズバニ(イラン)を揃えるタブリス・ペトロケミカルも強力。昨年同チームはヨーロッパチームを抑えてチーム総合成績トップに輝いている。

平坦ステージで注目したいのが、昨年ステージ5勝、ポイント賞獲得という圧倒的な強さを見せたアンドレア・グアルディーニ(イタリア、ファルネーゼヴィーニ)だ。

福島晋一(トレンガヌプロアジア)福島晋一(トレンガヌプロアジア) photo:中村 賢二(日本自転車競技連盟)その他、アッサン・バザイエフ(カザフスタン、アスタナ)やロベルト・フェルスター(ドイツ、ユナイテッドヘルスケア)が戦線に加わるはず。2010年大会でステージ優勝を飾り、今年チャンピオンシステムに移籍した地元マレーシアのアヌアル・マナンにも注目したい。

今年は合計6名の日本人選手が出場。3年連続でランカウイ出場の切符を手にした愛三工業レーシングチームは、西谷泰治、鈴木謙一、品川真寛、盛一大、中島康晴、伊藤雅和という布陣で挑む。

昨年超級山岳キャメロンハイランドで優勝し、リーダージャージを着たキャプテン綾部勇成は膝の故障により欠場。2010年大会でステージ優勝を飾り、直前のアジア選手権ロードレースで3位に入った西谷泰治をエーススプリンターに据えるチームは、逃げでも突破口を開いてくるだろう。

そして地元マレーシア籍のトレンガヌサイクリングチームからは、2007年大会でステージ優勝を飾った福島晋一が出場する。トレンガヌはマレーシア人4名、韓国人1名、日本人1名という布陣。40歳の福島はチームを率いる存在だ。

text:Kei Tsuji