2011年12月3日、サイパン島を舞台に100kmレース「ヘルオブマリアナ」が開催される。南の島の地形を生かしたこのユニークなレースは、誰もが楽しんで挑戦できる魅力に溢れている。シクロワイアードが後援する日本からの格安参加パッケージツアーもあり、募集が始まった。

サンゴ礁の青い海をバックにヒルクライムサンゴ礁の青い海をバックにヒルクライム (c)Makoto.AYANO

スタートは夜明けと共にスタートは夜明けと共に (c)Makoto.AYANO「マリアナの地獄」という名の100kmファンレース

ヘルオブマリアナは、2007年に誕生し、今年で5回目を迎えるまだ新しい大会だ。レースを主催するのはサイパン随一のリゾートホテルであるパシフィックアイランドクラブ・サイパン(以下P.I.C.サイパン)。マリアナ政府観光局と地元の協賛と協力を得て開催され、地元ライダーに加えてグアムやサイパン近隣諸島、そして日本や韓国からも参加者が集まっている。2010年大会には日本から17名が参加した。

「マリアナの地獄」という、ちょっとおどろおどろしい名前がついているこのレース。キャッチコピーは"The Toughest 島特有の厳しい登り坂が待っている島特有の厳しい登り坂が待っている (c)Makoto.AYANObikerace in Marianas"(=マリアナ地域でもっともタフなバイクレース)だ。ちょっと過激すぎる命名だが、走りごたえがあるレースであることは間違いない。そして、レースというカテゴリーだが、その中身はなかなか楽しめるファンライドなのだ。

100kmコースのロングライドにソロで挑戦するのが基本だが、仲間同士でエントリーするリレー部門も設けられていて、100キロコースを50キロずつ2名チームで走る「タンデム」 と、100キロコースを25キロずつ4名チームで挑戦する「クウォッド」もある。2010年大会には日本から職場の社員旅行として参加した素人女性4人組がリレー部門の「クウォッド女子」にエントリーした。


2010年大会の先頭集団 このとおりの小グループになる2010年大会の先頭集団 このとおりの小グループになる RainbowColorサイパン島は日本からわずか3時間半の楽園

サイパン島には成田からわずか3時間半のフライトで到着。年間平均気温は27℃の常夏の島だ。空港からスタート地点にもなっているPIC・サイパンホテルには空港からものの5分で到着する。


100kmで獲得標高1700mの厳しいコース

スタートは朝6:15。
スタートラインに並ぶのは、地元選手に加えてグアム島やアメリカ人、韓国人、そして日本人など国際色豊か。しかし本格レーサーは半分に満たない。ほとんどはファンライダーで、マウンテンバイクで走る「チャレンジャー」の姿も多いことがこのイベントの性格を良く表している。

社員旅行で参加の女性グループもリレー部門で完走した社員旅行で参加の女性グループもリレー部門で完走した (c)Makoto.AYANOロコたちの応援は暖かくて心強いロコたちの応援は暖かくて心強い (c)Makoto.AYANO

サイパン島は総面積が約185キロ平米(伊豆大島の約2倍)の小さな島とあって、100kmのコースをとるにはほぼ全島をくまなく走る必要がある。島の幹線道路をメインコースに、そこからアプローチできる登りポイントと下りポイントを組みわせて走ることになるのだ。
それらほとんどのチェックポイントが登りか下りの先にあり、登っては下るの繰り返し。アップダウンを繰り返しての全コースの獲得標高差は1700mにのぼるから、これはなかなかハードな数字だ。

ゴキゲンなアワードパーティ 誰にでも入賞のチャンスがある

昼のゴールの後は、13時半からのアワードパーティ(表彰式)が用意されている。PICホテルのレストランで、皆で昼食を食べながらレースを振り返る楽しいひとときだ。

アットホームな雰囲気の表彰式が魅力だアットホームな雰囲気の表彰式が魅力だ (c)Makoto.AYANO表彰を受けた女性アスリートたち 優勝は現地在住のミエコ・ケリーさん表彰を受けた女性アスリートたち 優勝は現地在住のミエコ・ケリーさん (c)Makoto.AYANO

表彰部門が多いのがうれしい。ソロ部門はエイジグループ(16歳以上25歳以下、35歳以下、45歳以下、55歳以下、 56歳以上)それぞれ男・女に分けられ、各部門で表彰がある。
賞金もたっぷり出るのが魅力的で、100kmソロ(オープン)男・女それぞれ上位入賞者3名に賞金が授与される。ちなみにソロ(オープン)男女の1位賞金は1500USドル(約12万2千円)という高額! 

気の合う仲間と食事を囲みながらの表彰式気の合う仲間と食事を囲みながらの表彰式 (c)Makoto.AYANO社員旅行で参加の女性グループもリレー部門で完走 表彰された社員旅行で参加の女性グループもリレー部門で完走 表彰された (c)Makoto.AYANO

2010年大会は社員旅行として参加の日本人素人女性4人組がリレー部門の「クウォッド女子」で優勝(この部門の唯一の参加チームだった)して、賞金を獲得した。そのうちの一人がポーカーラン賞と称する謎の賞(ブービー賞のようなもの?)を獲得。そして女性ソロに参加したロード初心者の女性もエイジ別で2位となり、100ドルのショッピング券を獲得した。このように、クラス分けが細かいため、レベルによらず様々な人に表彰のチャンスがある。
表彰部門が多いのは、とにかく多くの人に賞をあげたいという主催者側の意向なのだ。

すべての娯楽がホテルで楽しめるPICサイパンすべての娯楽がホテルで楽しめるPICサイパン (c)Makoto.AYANOのんびり楽しめるリゾートホテルが拠点のレース

レースと参加ツアーの拠点となるのがサイパンやグアムなどで展開するリゾートホテル大手PICリゾートだ。PICは大会のスポンサー&ホスト的な存在のため、参加者を100%歓迎してくれる。

レースで疲れた後は、ホテルの充実したプールやビーチ施設でゆっくりと体を休ませながらリゾートステイを楽しむことができる。ホテルの敷地内にはファミリーで楽しめる施設が充実しており、さらにシュノーケリングやボディボード、カヤックなどのビーチアクティビティは宿泊客なら無料で好きなだけ楽しめるようになっている。例えば家族連れで来ても、誰もが滞在を楽しめるようになっている。

シクロワイアード編集長の綾野 真も2010年大会は完走。皆さんへのアドバイス役をつとめますシクロワイアード編集長の綾野 真も2010年大会は完走。皆さんへのアドバイス役をつとめます RainbowColorツアーにはシクロワイアード編集部も帯同 事前説明会を開催

企画された日本からの参加ツアーは3泊4日で56000円から(サーチャージ・諸費用等別途)と格安。ホノルルセンチュリーライドなどでもお馴染みトップツアーが主催する、シクロワイアード編集部も後援するこのツアー。昨年自転車での実走取材を経験し、大会の前後日程で現地を徹底リサーチした編集長の綾野 真が皆さんのお手伝いをすることになった。
厳しいレースを走りきるためのノウハウや、機材選び、安全かつ速く走るコツなどを、出発前の事前説明会(11月中に東京で開催予定)でアドバイスする予定だ。

ヘル・オブ・マリアナはサイパン島の美しい海、自然、風、そしてローカルの声援をたっぷり味わえるアットホームなレースだ。上り下りした坂の記憶はしっかりと身体に刻まれ、100kmといえど走りごたえはたっぷり。誰もが十分な達成感を味わえるし、もしあなたが実力派のレーサーなら、上位の賞金を狙うのもいいと思う。大会の雰囲気は下部リンクから昨年の参加レポートで感じ取ってください。


HELL of the Marianas ヘル オブ マリアナ 2011 概要

主催:PICサイパン(パシフィックアイランドクラブサイパン)
日時:2011年12月3日土曜日 / 6:15AMスタート (5:15AM スタート地点集合予定)
スタート・ゴール:PICサイパン(パシフィックアイランドクラブ サイパン)
種目:
100キロコースのロングライドに1名で挑戦したり、 100キロコースを50キロずつ2名チーム(タンデム) 、100キロコースを25キロずつ4名チーム(クウォッド) で挑戦することも出来ます。
部門:16歳以上25歳以下、35歳以下、45歳以下、55歳以下、 56歳以上
参加費:1名 $40
事前申込み期限:2011年11月11日(金) お申込みは公式サイトのエントリーページから

アワードパーティー(表彰式):12月3日(土)午後1時から PICサイパン内チャーリーズ
ヘルオブマリアナ コースマップヘルオブマリアナ コースマップ アワードパーティー参加費:1名$20(予定)
賞金: 100キロオープン(個人各男女)それぞれ上位入賞者3名には賞金授与。
1位US$1500 / 2位US$500 /3位US$250

ヘルオブマリアナ Q&A (アドバイス:シクロワイアード編集部)

Q  どんな走り方のレース?

A スタートしばらくは前方に集団ができるが、大部分のライダーはバラバラ。アップダウンの厳しいチェックポイントをひとつ経たあとは、ほぼすべてのライダーが単独に近い形で走ることになる。もしくは、ペースの合う人をみつけての小グループ走行だ。競り合うのは先頭集団の10人ほどだ。

Q  コースの特徴は?

コースは登っては下る・下っては登るの繰り返し。メインの幹線道路はもちろんなだらかだが、そこから分岐するチェックポイントまでの道はかなりの登り・下りだ。イメージとしては、海岸線まで一気に下っては登り返し、展望ポイントまで登っては下る、の繰り返し。

ヘルオブマリアナ 100kmのプロフィールマップヘルオブマリアナ 100kmのプロフィールマップ Q  計測やチェックポイントは?

各ポイントごとに設けられたチェックポイントでは通過チェックが行われ、同時に補給ポイントにもなっている。ここではボランティアさんがスポーツドリンクの入ったボトルを手渡ししてくれるので、暑くても補給に困ることはない。
補給食の類があまり用意されないのは、レースだから。長丁場のレースの経験者なら、通常のロードレース同様にエナジージェルなどをいくつか持てば足りるだろう。スタートの6時15分から6時間が制限時間になっているから、ギリギリで走る人なら補給を自分でもつ必要はある。

最高標高ポイントのレーダータワー頂上ポイント最高標高ポイントのレーダータワー頂上ポイント (c)Makoto.AYANOQ  コース上のポイントや、路面の状態は?

コース上の最高標高ポイントのレーダータワー(戦時中に使われたレーダーの廃墟)、そしてスーサイドクリフへの登りでは、サイパンならではの碧い海とエメラルドの珊瑚礁が眼下いっぱいに臨める。

コース全体を通した道路状況は概ね良好で、道幅は広く、とくにスーサイドクリフ周辺のハイライトにあたるコースでは交通量の少ない広々とした道路をサイクリストたちが独占して走れる(実際にはクルマも通る)感じなので、非常に気持ちがいい。

島の道路なので雨の日は例外なく路面が滑る。チェックポイントまでの上り下りは例外なく急坂なので、スピードの出しすぎに注意が必要。ウェット状態でハイグリップなタイヤを選びたい。

Q  完走の目安タイムは?

例年の大会では速い人(セミプロ)で3時間10数分。コースに手を焼く人で5時間半程度でほぼ全員が制限時間内に完走している。
コースの厳しさは「ホノルルセンチュリーライド以上、ツール・ド・おきなわの130kmレース部門と同等」という感想だ。自転車に慣れていないまったくの初心者が完走することは困難。

text&photo:Makoto.AYANO