三亜から内陸の五指山までの162kmで開催されたツアー・オブ・ハイナン第1ステージは、ゴール手前の山岳で集団は大きく2つに分かれ、40人ほどの集団スプリントをジャスタン・ジュル(フランス、ラポム・マルセイユ)が制し、盛一大(愛三工業レーシングチーム)が5位でフィニッシュした。

ツアー・オブ・ハイナンは三亜から第1ステージがスタートツアー・オブ・ハイナンは三亜から第1ステージがスタート (c)Sonoko.TANAKA

南国リゾート海南島で開催される"超級"レース

ツアー・オブ・ハイナンが中国の海南島で開幕した。今年で6回目となるアジアツアー、オークラス(HC)のステージレースで、アスタナとジェオックス・TMC、2つのプロチームを筆頭に、アジアやヨーロッパ、オーストラリアから多くの強豪チームが “東洋のハワイ” こと海南島に集まった。

日本からはアジアのナンバーワンチームをめざす愛三工業レーシングチームが昨年に引き続き参戦。またマレーシ
ア籍のトレンガヌ・プロアジアで活躍する奈良基も出場している。

愛三工業レーシングチーム。3選手が2回目の出場となる愛三工業レーシングチーム。3選手が2回目の出場となる (c)Sonoko.TANAKA奈良基を含むトレンガヌチーム。マレーシア人、韓国人とアジア人の混成チームだ奈良基を含むトレンガヌチーム。マレーシア人、韓国人とアジア人の混成チームだ (c)Sonoko.TANAKA

全9ステージの累計走行距離は約1,400km、9日間で島を反時計回りに一周するコースレイアウトだ。

スタート地点は、島の南部に位置する三亜というビーチリゾート地。昨年は三亜での市街地クリテリウムが第1ステージに組み込まれたが、今年は第1ステージから次の街へと向かうラインレースが始まる。大会全体を通して平坦基調のステージが多くなっているものの、第1ステージはゴール手前20km地点に2級山岳が控える、タイム差を獲得しやすいコース。

現に前大会では、同じコースで開催された第2ステージの勝者ヴァレンティン・イグリンスキー(カザフスタン、アスタナ)が最終的に総合優勝者となったため、どのチームも初日から気の抜けないレースとなった。

ディフェンディングチャンピオンのヴァレンティン・イグリンスキー(カザフスタン、アスタナ)ディフェンディングチャンピオンのヴァレンティン・イグリンスキー(カザフスタン、アスタナ) (c)Sonoko.TANAKAレース準備をする愛三工業レーシングチームレース準備をする愛三工業レーシングチーム (c)Sonoko.TANAKA


昨年、ステージ4勝を挙げたケニー・ファンヒュメル(オランダ、スキル・シマノ)昨年、ステージ4勝を挙げたケニー・ファンヒュメル(オランダ、スキル・シマノ) (c)Sonoko.TANAKAプロ初勝利を掴んだスプリンター ラポムのジュル

昨年は大雨に泣かされた本大会だが、今年の空模様はまずまず。ジッとしていても汗ばんでしまう熱帯の太陽に見守られ、162kmのレースはスタートを迎えた。スタートすると、10km地点で2人の逃げが決まり、最大で9分強集団からタイム差を奪った。

しかしアスタナなどのコントロールにより140km地点、2級山岳の上り口を前に吸収され、1つの集団で山岳を上り始める。ステージ優勝、またその先の総合優勝を狙う選手がペースを上げ、集団は細分化し、ゴールを前に40人ほどの先頭集団が作られる。昨年ステージ4勝したケニー・ファンヒュメル(オランダ、スキル・シマノ)などピュアクライマーは後方集団に取り残される形となった。

そして、4選手を先頭集団に残したラポムマルセイユが完璧な列車を組み、プロ1年目のスプリンター、ジャスタン・ジュル(フランス、ラポム・マルセイユ)が嬉しいプロ初勝利を掴んだ。
「残り1kmを切ってからのチームの動きが素晴らしかったから、余裕をもって勝つことができたんだよ」とレースを振り返る。同時にリーダージャージも獲得した。

スプリントを制したジャスタン・ジュル(フランス、ラポム・マルセイユ)スプリントを制したジャスタン・ジュル(フランス、ラポム・マルセイユ) (c)Shane Goss

ディフェンディング王者であるイグリンスキーもスプリントに挑んだが惜しくも2位に留まった。また愛三工業レーシングチームの盛一大はステージ5位でフィニッシュし、初日のレースを好成績で終え、伊藤雅和もタイム差なしの先頭集団でゴールしている。

第2ステージは、スタート後9km地点に1級山岳が設定された145km。途中2級山岳が1つあるものの、ゴールまでは下り基調となっている。

盛一大のコメント
「先頭から15番手くらい、後方から単独で挑むスプリントでした。昨年と同じコースでしたが、ゴールに来てみると、ゴール地点が昨年よりも手前でした。昨年はゴール前に登坂区間がありましたが、今回はその登坂区間の前にゴールが設置されていた。そのため、スプリントを掛けるのが遅くなってしまいました。でも、そこから5位まで上がれたことは好印象、調子はいいと思います」

総合リーダージャージを獲得したジャスタン・ジュル(フランス、ラポム・マルセイユ)総合リーダージャージを獲得したジャスタン・ジュル(フランス、ラポム・マルセイユ) (c)Sonoko.TANAKA山岳賞を獲得したマウリツィオ・ゴラト(イタリア、ジェオックス・TMC)山岳賞を獲得したマウリツィオ・ゴラト(イタリア、ジェオックス・TMC) (c)Sonoko.TANAKAアジアンリーダーを獲得したヴァレンティン・イグリンスキー(カザフスタン、アスタナ)アジアンリーダーを獲得したヴァレンティン・イグリンスキー(カザフスタン、アスタナ) (c)Sonoko.TANAKA


ツアー・オブ・ハイナン第1ステージ、各賞受賞選手たちツアー・オブ・ハイナン第1ステージ、各賞受賞選手たち (c)Sonoko.TANAKAツアー・オブ・ハイナン2011 第1ステージ結果
1位 ジャスタン・ジュル(フランス、ラポム・マルセイユ) 4h12'46"
2位 ヴァレンティン・イグリンスキー(カザフスタン、アスタナ)
3位 アダム・フェラン(オーストラリア、ドラパック)
4位 カミル・ゼリンスキ(ポーランド、CCC・ポルサット)
5位 盛一大(愛三工業レーシングチーム)
6位 アディ・オスマン(マレーシア、ドラパック)
7位 レイノルド・ランスブルグ(南アフリカ、MTNキュベカ)
8位 クリスティアン・ポース(ルクセンブルク、ディフェールダンジュ)
9位 ワン・メイイン(中国、中国ナショナル)
10位 ダビド・グティエレス(スペイン、ジェオックス・TMC)
20位 伊藤雅和(愛三工業レーシングチーム)
47位 中島康晴(愛三工業レーシングチーム)+3'12"
62位 綾部勇成(愛三工業レーシングチーム)
83位 福田真平(愛三工業レーシングチーム)+5'06"
85位 木守望(愛三工業レーシングチーム)
113位 奈良基(トレンガヌ)+13'29"


個人総合成績
1位 ジャスタン・ジュル(フランス、ラポム・マルセイユ) 4h12'36"
2位 ヴァレンティン・イグリンスキー(カザフスタン、アスタナ)+3"
3位 アダム・フェラン(オーストラリア、ドラパック)+6"
4位 カミル・ゼリンスキ(ポーランド、CCC・ポルサット)+10"
5位 盛一大(愛三工業レーシングチーム)
6位 アディ・オスマン(マレーシア、ドラパック)
7位 レイノルド・ランスブルグ(南アフリカ、MTNキュベカ)
8位 クリスティアン・ポース(ルクセンブルク、ディフェールダンジュ)
9位 ワン・メイイン(中国、中国ナショナル)
10位 ダビド・グティエレス(スペイン、ジェオックス・TMC)
20位 伊藤雅和(愛三工業レーシングチーム)
49位 中島康晴(愛三工業レーシングチーム)+3'22"
62位 綾部勇成(愛三工業レーシングチーム)
84位 福田真平(愛三工業レーシングチーム)+5'16"
86位 木守望(愛三工業レーシングチーム)
113位 奈良基(トレンガヌ)+13'39"

山岳賞
マウリツィオ・ゴラト(イタリア、ジェオックス・TMC)

ポイント賞
ジャスタン・ジュル(フランス、ラポム・マルセイユ)

アジアンリーダー
ヴァレンティン・イグリンスキー(カザフスタン、アスタナ)

チーム総合成績
ドラパック


photo&text:Sonoko.TANAKA

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