10月16日、デンマークのヘアニングで開幕する2012年ジロ・デ・イタリアのコースプレゼンテーションがミラノで開催された。2つの個人タイムトライアルと6つの頂上ゴールが第95代マリアローザ着用者を選び出す。注目は最終日前日のパッソ・デッロ・ステルヴィオ頂上ゴールだ。

ミラノで行なわれたコースプレゼンテーションミラノで行なわれたコースプレゼンテーション photo:Riccardo Scanferla「毎年レースに関わるすべての方々、選手、スポンサー、そしてチームを満足させるコースを設定するのは簡単なことじゃない。このコースを見て気にいってくれることを願ってるよ」。そう語るのは、新たにレースディレクターに就任したミケーレ・アックアローネ氏。

2012年のコースは、ステージ間の移動が少なくなったことで“より人間らしく”なった。

FacebookのLikeを押すアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソバンク・サンガード)FacebookのLikeを押すアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソバンク・サンガード) photo:RCS Sportまず、グランツール史上初めて北欧で開幕。デンマークでの3ステージをこなした後、選手たちは空路でイタリアのヴェローナに向かう。そこからイタリア半島を南に下り、ナポリ近郊で折り返してアルプスやドロミテに向かうコースだ。北イタリアに重点が置かれたコースだと言える。

アンジェロ・ゾメニャン氏がレースディレクターを務めた今年、ジロはイタリア南端のシチリア島をコースに組み込んだ。イタリア統一150周年を祝うために欠かせないコース設定だったとはいえ、その影響で毎日のステージ後に長距離移動が連続。レース後に10時間に及ぶドライブを強いられたステージも。コースの厳しさも手伝って、選手たちからは不平の声が上がった。今年のジロは厳しすぎた。

有力選手が出席したジロ・デ・イタリアのコースプレゼンテーション有力選手が出席したジロ・デ・イタリアのコースプレゼンテーション photo:RCS Sportレース主催者RCSスポルトは今年、ゾメニャン氏に代わってアックアローネ氏をジロのレースディレクターに任命。100年の歴史の中で、5代目のレースディレクターが誕生した。

アックアローネ氏が作り出した3週間のレースは、ジロらしい厳しい山岳が散りばめられながらも、スプリンターの活躍の場が多く取り入れられた。「ジロはタフなレースだ。タフなレースであるべきなんだ。そのDNAは変わらない。だがバランスも大事。例えば連続山岳ステージの後は、難易度の低いステージで選手たちはリカバリーする必要がある(アックアローネ氏)」

ジロ・デ・イタリア2012コース全体図ジロ・デ・イタリア2012コース全体図 image:RCS Sportゾメニャン氏が愛し、毎年欠かさずコースに組み込んだ未舗装路は健在。第6ステージの中盤に2カ所設定されているが、総合争いに大きく影響するような危険性はないと見られている。

頂上ゴールは合計6つで、内訳は中級山岳ステージが3つ(第7・10・15ステージ)と超級山岳ステージが3つ(第14・19・20ステージ)。第3週に登場する山岳の厳しさはジロの特徴の一つ。2012年はステルヴィオ、モルティローロ、パンペアーゴという伝説的な登りを組み込む。チェルヴィニアとコルティーナなど、未知のステージも多い。

マリアローザ争いが決するのは最終日前日のステルヴィオ峠。未舗装路を通ってグランツール史上最高地点の標高2832mにゴールすると噂されていたが、2005年大会でも通過した標高2758mにゴールが置かれることで落ち着いた。難易度が下がったとはいえ、トナーレ峠やモルティローロ峠を通過する非常に厳しいステージであることに変わりはない。最終日は2012年もミラノにゴールする31.5kmの個人タイムトライアル。

ミラノでのチームプレゼンテーションには多くのグランツールレーサーが集結したが、出席した選手が全員デンマークの開幕地に向かうわけではない。5月に開催されるジロは、7月のツール・ド・フランスにビッグネームを持っていかれるという宿命を背負っている。

「2012年のコースを見て、走りたいと思った」。そう語るのは2011年大会覇者のアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソバンク・サンガード)。「2011年と同様に厳しいコースだ。高難度の山岳ステージや頂上ゴールの数は減ったけど、それが単純にレースをイージーにするわけじゃない。タイムトライアルもあって、バランスの取れたコースだと思う」。

コンタドールはチームプレゼンテーションに出席したが、大会そのものには出場しない。シュレク兄弟(ルクセンブルク)やミケーレ・スカルポーニ(イタリア)、ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア)、ユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー)も同様にジロをスキップする予定だ。

ジロ・デ・イタリア2012概要
平坦ステージ:7
中級山岳ステージ:7
超級山岳ステージ:4
山頂フィニッシュ:6
個人タイムトライアル:2
チームタイムトライアル:1
休息日:2

合計距離:3476.4km(1日平均165.5km)
通過国:2(イタリア・デンマーク)


ジロ・デ・イタリア2012第14ステージ・コースプロフィールジロ・デ・イタリア2012第14ステージ・コースプロフィール image:RCS Sportジロ・デ・イタリア2012第17ステージ・コースプロフィールジロ・デ・イタリア2012第17ステージ・コースプロフィール image:RCS Sport
ジロ・デ・イタリア2012第19ステージ・コースプロフィールジロ・デ・イタリア2012第19ステージ・コースプロフィール image:RCS Sportジロ・デ・イタリア2012第20ステージ・コースプロフィールジロ・デ・イタリア2012第20ステージ・コースプロフィール image:RCS Sport


ジロ・デ・イタリア2012ステージリスト
5月5日(土)第1ステージ ヘアニング(デンマーク)〜ヘアニング(デンマーク)8.7km(個人TT)★★★
5月6日(日)第2ステージ ヘアニング(デンマーク)〜ヘアニング(デンマーク)206km ★
5月7日(月)第3ステージ ホルセンス(デンマーク)〜ホルセンス(デンマーク)190km ★
5月8日(火)休息日 
5月9日(水)第4ステージ ヴェローナ〜ヴェローナ 32.2km(チームTT)★★★
5月10日(木)第5ステージ モデナ〜ファーノ 199km ★
5月11日(金)第6ステージ ウルビーノ〜ポルト・サンテルピディオ 207km ★★★
5月12日(土)第7ステージ レカナーティ〜ロッカ・ディ・カンビオ 202km ★★★
5月13日(日)第8ステージ スルモナ〜ラーゴ・ラチェーノ 229km ★★★
5月14日(月)第9ステージ サンジョルジョ・デル・サンニオ〜フロジノーネ 171km ★
5月15日(火)第10ステージ チヴィタヴェッキア〜アッシジ 187km ★★
5月16日(水)第11ステージ アッシジ〜モンテカティーニ・テルメ 243km ★★
5月17日(木)第12ステージ セラヴェッツァ〜セストリ・レヴァンテ 157km ★★★
5月18日(金)第13ステージ サヴォーナ〜チェルヴェレ 121km ★
5月19日(土)第14ステージ ケラスコ〜チェルヴィニア 205km ★★★★★
5月20日(日)第15ステージ ブスト・アルシツィオ〜レッコ/ピアン・デイ・レジネッリ 172km ★★★★
5月21日(月)休息日 
5月22日(火)第16ステージ リモーネ・スル・ガルダ〜ファルツェス 174km ★★★
5月23日(水)第17ステージ ファルツェス〜コルティーナ・ダンペッツォ 187km ★★★★★
5月24日(木)第18ステージ サンヴィート・ディ・カドーレ〜ヴェデラーゴ 139km ★
5月25日(金)第19ステージ トレヴィーゾ〜アルペ・ディ・パンペアーゴ 197km ★★★★★
5月26日(土)第20ステージ カルデス〜パッソ・デッロ・ステルヴィオ 218km ★★★★★
5月27日(日)第21ステージ ミラノ〜ミラノ 31.5km(個人TT)★★★

text:Gregor Brown in Milan, Italy
edit:Kei Tsuji