2011年10月13日、イタリアで第97回グラン・ピエモンテ(UCI1.HC)が開催され、14名によるスプリントでダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ)が勝利。今シーズン最後のイタリア2連戦に挑んでいる新城幸也(ユーロップカー)は決定的な動きに乗れず、途中リタイアに終わった。

ピエモンテはワインの名産地ピエモンテはワインの名産地 photo:Riccardo Scanferlaイタリア北部ピエモンテ州で開催されるセミクラシック、グラン・ピエモンテ。昨年までジロ・デル・ピエモンテの名称で開催されていた97回目の歴史ある大会だ。ジロ・デ・イタリアと同じRCS Sport主催レースで、2日後に控えたイル・ロンバルディア(ジロ・ディ・ロンバルディア)の前哨戦という意味合いが強い。

コースはピアスコからノーヴィ・リグーレまでの199km。ノーヴィ・リグーレはユキヤが3位に入った2010年ジロ・デ・イタリア第5ステージのゴール地点である(レイアウトは異なる)。

序盤の逃げに乗りながらも69km地点でリタイアしたマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、HTC・ハイロード)序盤の逃げに乗りながらも69km地点でリタイアしたマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、HTC・ハイロード) photo:Riccardo Scanferla途中標高500mクラスの山岳を6カ所ほど越えるが、カテゴリー山岳はゼロ。ゴール2km手前からラスト1kmアーチまで4.3%の登りが続き、鋭く下ってゴールを迎える。

レースは最初の1時間の平均スピードが51.4km/hに達するハイスピードな展開で幕開ける。アルカンシェルを着るマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、HTC・ハイロード)を含む27名の逃げが一時的に形成されるも、メイン集団はすぐさまこれを封じる。カヴは結局69km地点でバイクを降りている。

メイン集団の先頭で積極的に動くフィリップ・ジルベール(ベルギー、オメガファーマ・ロット)メイン集団の先頭で積極的に動くフィリップ・ジルベール(ベルギー、オメガファーマ・ロット) photo:Riccardo Scanferlaそして85km地点で決定的な逃げが生まれる。ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)やダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、レオパード・トレック)、そしてパリ〜トゥールで優勝したフレフ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシングチーム)を含む31名が飛び出し、メイン集団を引き離していく。

大会3連覇を狙うフィリップ・ジルベール(ベルギー、オメガファーマ・ロット)やユキヤはこの動きに乗れず。結局最後までメイン集団が逃げに追いつくことはなく、終盤に差し掛かると31名による勝負が始まった。

後続を振り切ってゴールするダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ)後続を振り切ってゴールするダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ) photo:Riccardo Scanferla先頭31名の中からトーマス・ロヴクヴィスト(スウェーデン、チームスカイ)らが積極的に動き、登りで14名で絞り込む。そこから更にセレクションを狙うアタックが続発するも、人数を揃えるカチューシャやBMCレーシングチームがグループをまとめてゴールへ。

ゴール前の下りを終え、ルーカ・パオリーニ(イタリア、カチューシャ)に上手く放たれたモレーノが後続を振り切って勝利。パリ〜トゥールで優勝したファンアフェルマートが2位に食い込んだ。

地元ピエモンテのスプマンテを豪快に開ける3名地元ピエモンテのスプマンテを豪快に開ける3名 photo:RCS Sport「このグランピエモンテで勝てたことを誇りに思う。ラスト1kmでチームメイトのパオリーニから『全力で行け』と指示を受けた。調子が良くない彼に代わって自分がスプリントしたんだ」。生粋のクライマーながら、チームメイトの好アシストでスプリント勝利したモレーノは語る。

期待されるのは週末に開催されるロンバルディアでの走り。メンバーを揃えるカチューシャは、近年圧倒的な力を誇っているジルベールの最大の対抗馬となりうる。「土曜日はロンバルディア。距離も長くて、しかも難易度は高い。チームの一員として、展開を見ながら闘っていきたい。(勝負どころの)ヴィッラ・ヴェルガノでチャンスがあれば、ホアキン・ロドリゲスと一緒に攻撃するよ」。

この日は138名がスタートし、完走者は僅かに37名。ユーロップカーのエーススプリンターを担うユキヤはメイン集団に残ってチャンスを伺ったが、逃げを捕まえることができず途中リタイアに終わっている。ユキヤは週末のロンバルディアで今シーズンのヨーロッパレースを締めくくる。


グラン・ピエモンテ2011
1位 ダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ)           4h48'16"
2位 フレフ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシングチーム)
3位 ルーカ・パオリーニ(イタリア、カチューシャ)
4位 トマ・ヴォクレール(フランス、ユーロップカー)
5位 ニコラス・ロッシュ(アイルランド、アージェードゥーゼル)
6位 プリジミスラウ・ニエミエツ(ポーランド、ランプレ・ISD)
7位 ダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、レオパード・トレック)
8位 アンドレ・ステーンセン(デンマーク、サクソバンク・サンガード)
9位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)
10位 トーマス・ロヴクヴィスト(スウェーデン、チームスカイ)
DNF 新城幸也(日本、ユーロップカー)

text:Kei Tsuji
photo:Riccardo Scanferla, RCS Sport