ランス・アームストロング(アメリカ)出場で注目を集めるアスタナチームは、スポンサー名を薄くしたニュージャージで登場。ここまで天候に恵まれていたジロ・デ・イタリアも、スイスを通過する第7ステージでついに雨に見舞われた。

アスタナジャージのデザインに変化

この日からデザインを変更したジャージを着て登場したランス・アームストロング(アメリカ、アスタナ)この日からデザインを変更したジャージを着て登場したランス・アームストロング(アメリカ、アスタナ) photo:Kei Tsujiオーストリアのドイツ語交通標識と格闘しながらスタート地点に到着。ジロ・デ・イタリア・チェンテナリオ(100周年大会)第7ステージを迎えるインスブルックは、オーストリア・チロル州の州都だ。

絵の具を適当に混ぜて作ったような雪解け水をたたえるイン川の畔に位置しているインスブルック。選手の到着を待っていたご夫人によると、インスブルックという地名は「イン川の橋」という意味だそう。1964年と1976年に冬季オリンピックが開催されたことでも知られており、街にはオリンピックに関係した建物が点在していた。

出走サイン台の周りで撮影していると、何だか見慣れないアスタナジャージの選手たちがやってきた。紛れも無いアスタナチームの選手たちなのだが、昨日までと何かが違う。よく見ると「アスタナ」と描かれているものの、明らかに文字と太陽マークの発色が薄い。

チーム関係者に聞くと今日からこの新ジャージを投入。トレック、ナイキ、カザウムナイガスの3社の文字はそのままに、支払いが滞っているスポンサー名を薄くしたという。財政危機を迎えているアスタナは、アームストロングを中心に新たな方向へと動き始めている。

超デンジャラスなマロヤ峠の下り

真っ先にスタートラインにつくデーヴィット・ザブリスキー(アメリカ、ガーミン)、早すぎる真っ先にスタートラインにつくデーヴィット・ザブリスキー(アメリカ、ガーミン)、早すぎる photo:Kei Tsujiこの日は一路イタリアのキアヴェンナに向かって244kmを駆け抜ける。山々に囲まれた土地柄、山を避けたルートは不可能だ。標高579mのインスブルックをスタート後、ゆるやかに上りが始まり、207km地点で標高1815mのマロヤ峠に至る。

牧歌的な景色を進んでいくと、マロヤ峠が近づくにつれて気温は降下。1928年と1948年に冬季オリンピックが開催されたスイスのサン・モリッツに差し掛かる頃には、ついに雨が降ってきた! ここまで好天が続いていたジロは、スイスで初めての雨に遭う。

テクニカルなコーナーが連続するマロヤ峠の下りテクニカルなコーナーが連続するマロヤ峠の下り photo:Kei Tsuji気温7度の冷たい雨がマロヤ峠を包む。「これが山岳ポイント??」と疑ってしまうほど、平坦路の先にGPM(カテゴリー山岳)のアーチが佇んでいた。コースマップによると最大勾配8%だが、いつそんな上りを通過したか記憶に無いほど。

頂上を通過すると、一気にコースは下降を開始。九十九折りの180度コーナーを低速でクリアしていく。完全にウェットでコーナーもテクニカル。目測で勾配は10%オーバーだ。ゴールまで35kmを残して活性化した集団がここを通るのかと思うとゾッとした。下りの危険度をアピールするために、GPMアーチを仕方なく設置したんじゃないか?

日曜日に22歳の誕生日を迎えるボアッソン

勝利を確信したエドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームコロンビア)勝利を確信したエドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームコロンビア) photo:Kei Tsuji勇敢にも、このテクニカルな下りで飛び出した選手たちが、集団を引き離してゴールにやってきた。緩やかな上りスプリントで、21歳のボアッソンがグングン伸びてくる。ツール・ド・フランスで集団スプリントを制したこともあるロバート・ハンター(南アフリカ、バルロワールド)の力をもってしても、若者の勢いは止められなかった。

今シーズンヘント〜ウェベルヘムを制しているボアッソンだが、まだまだその知名度は低い。表彰式を待つカメラマンの間でも「名前は何ていうんだ?エドヴァルド?エドゥワルド」という会話が繰り返される。

まだ慣れない感じのエドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームコロンビア)のシャンパンファイトまだ慣れない感じのエドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームコロンビア)のシャンパンファイト photo:Kei Tsuji昨日のグランツール初勝利を飾ったボアッソンは、今週末の日曜日が22歳の誕生日。興奮して手元が定まらないのかただ慣れていないのか、シャンパンファイトは何だかぎこちなかった。

ジロ開幕前、マーク・カヴェンディッシュ(イギリス)のスプリント勝利ばかりに注目が集まっていたチームコロンビアだが、蓋を開けて見れば、チームタイムトライアル制覇に続き、山岳で活躍したトーマス・ロヴクヴィスト(スウェーデン)がマリアローザを着用。そしてボアッソンがステージ優勝を果たした。北欧の若手の大活躍は、スプリント不発を埋めるには充分な結果だといえる。ゴール後の選手に付き添うエリック・ツァベル(ドイツ)も満足げだった。

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