スプリンターのためのブエルタ・ア・エスパーニャ第16ステージは、ゴール前300mのロータリーで先頭の選手が道を誤る混乱から抜け出したファンホセ・アエド(アルゼンチン、サクソバンク)がステージ優勝を飾った。総合上位にも秒差がついた。

最大8分30秒のリードを得たジュリアン・フシャール(フランス、コフィディス)ら3名最大8分30秒のリードを得たジュリアン・フシャール(フランス、コフィディス)ら3名 photo:Kei Tsuji休息日明けのこの日はスプリンターのためのステージ。ビリャロマーナ・ラ・オルメダ~アーロ間の203.6kmにはカテゴリー山岳は設定されず、後半は下り基調なためにハイスピードな展開が予測された。

リクイガス・キャノンデールとランプレ・ISDがコントロールするメイン集団リクイガス・キャノンデールとランプレ・ISDがコントロールするメイン集団 photo:Kei Tsujiレースはスタート直後に3名の逃げが決まり、これがそのままこの日の逃げとなった。メンバーは、ヘスス・ロセンド(スペイン、アンダルシア・カハグラナダ)、アントニオ・カベージョ(スペイン、アンダルシア・カハグラナダ)、ジュリアン・フシャール(フランス、コフィディス)。

ランプレ・ISDとリクイガス・キャノンデールがコントロールするメイン集団ランプレ・ISDとリクイガス・キャノンデールがコントロールするメイン集団 photo:Kei Tsujiこの3名はジェオックスTMCがコントロールする集団との差を順調に開いていき、33km地点でその差を8分に。レース中盤にはアレッサンドロ・ペタッキ(イタリア)での勝利を狙うランプレ・ISDが集団の牽引を始めるも、大きくその差を詰めるには至らない。

ペタッキとベンナーティを振り切ってゴールするフアンホセ・アエド(アルゼンチン、サクソバンク・サンガード)ペタッキとベンナーティを振り切ってゴールするフアンホセ・アエド(アルゼンチン、サクソバンク・サンガード) photo:Kei Tsujiじわじわと集団が逃げグループを追い込んでいく典型的な平坦ステージの展開。残り55kmでその差は4分30秒。しかしこうした平穏に見えるときこそが攻撃のチャンス。残り45km地点でレオパード・トレック勢が奇襲を仕掛ける場面も。しかし風向きに恵まれず、この動きは失敗に終わる。

11分遅れでゴールするホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)11分遅れでゴールするホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ) photo:Kei Tsuji残り30kmを切ってからはハインリヒ・ハウッスラー(オーストラリア)で勝利を狙うガーミン・サーヴェロが組織的な牽引を開始。みるみる縮まる差を嫌って残り23kmで先頭グループからロセンドがアタック。単独先頭でゴールを目指す。フシャールとカベージョは残り18km地点で手段に吸収される。

ミゲル・インドゥラインからマイヨロホを受け取るファンホセ・コーボ(スペイン、ジェオックス・TMC)ミゲル・インドゥラインからマイヨロホを受け取るファンホセ・コーボ(スペイン、ジェオックス・TMC) photo:Kei Tsujiスピードが上がり始める集団で、落車が発生。ゴールまで16kmを残してのこの落車には10名ほどが巻き込まれ、その中にはポイント賞ジャージを着るホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)の姿が。左腕を痛めたロドリゲスは、集団復帰を諦めるほどに痛み、アシストに囲まれ苦しみながらゴールを目指す。

ロドリゲスが病院に直行したため、ホアン・オラク(スペイン、カチューシャ)が代理でポイント賞ジャージを受け取るロドリゲスが病院に直行したため、ホアン・オラク(スペイン、カチューシャ)が代理でポイント賞ジャージを受け取る photo:Kei Tsuji逃げていたロセンドも残り10kmを手前に集団に吸収。この残り10km地点に設定された中間スプリントポイントはダビ・デラフエンテ(スペイン、ジェオックスTMC)が先頭で通過し、総合リーダーのファンホセ・コーボ(スペイン、ジェオックス・TMC)のためにボーナスタイムを潰す。総合2位のクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)は3位通過が精一杯。

スピードを上げる集団からはまたもフシャールがアタックを見せる。ガッツあふれる走りを終日に渡って見せたが、この動きは実らず。残り6kmからはHTC・ハイロード勢が人数を集めて集団の先頭に。残り3kmまではHTC・ハイロードの時間帯が続くが、これを押しのけて集団先頭に現れたのはレオパード・トレックのトレイン。

エーススプリンターのダニエーレ・ベンナーティ(イタリア)を含めて5人を集めたこのトレインは、スチュアート・オグレディ(オーストラリア)、ファビアン・カンチェラーラ(スイス)が高速で牽引。ベンナーティの後ろにはペタッキ、ピーター・サガン(スロヴァキア、リクイガス・キャノンデール)、ファンホセ・アエド(アルゼンチン、サクソバンク)が控える。

レオパード・トレック最後の牽引役、ロバート・ワーグナー(ドイツ)がベンナーティを引っ張ってゴール前300mのロータリーへ突入。ここで本来コースが左のところを、右に進路を取ったワーグナーの動きが、この日の明暗を分けた。

ワーグナーの動きにつられて右に進みかけたのはサガン。トリッキーな動きの影響を受けてベンナーティとペタッキが失速。左に迷わず進路を取ったアエドがひとり抜け出す形に。同時にスプリントを開始したアエドが伸びていく中、出遅れたペタッキとベンナーティはその差を詰めることができない。

一人飛び出したアエドが余裕を持ってゴールラインへ飛び込み、自身初となるグランツールのステージ優勝を飾った。2位にペタッキ、3位にベンナーティが首を傾げながら入った。

落車で遅れたロドリゲスは11分1秒遅れの168位でゴール。翌日の山頂ゴールのステージを前に、総合順位を13位から23位へと大きく落とす不運の結果となってしまった。総合リーダーのコーボはステージ10位に入り、危なげなくジャージをキープしているのと対照的に、総合2位のクリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)はコーボから2秒、総合3位のブラッドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)は5秒をこのステージで失っている。


ブエルタ・ア・エスパーニャ2011第16ステージ結果
1位 ファンホセ・アエド(アルゼンチン、サクソバンク)           4h01'56"
2位 アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ・ISD)               
3位 ダニエーレ・ベンナーティ(イタリア、レオパード・トレック)                
4位 ビセンテ・レイネス(スペイン、オメガファーマ・ロット)                  
5位 リー・ハワード(オーストラリア、HTC・ハイロード)            +02"    
6位 クーン・デコルト(オランダ、スキル・シマノ)                  
7位 ロイド・モンドリー(フランス、アージェードゥーゼル)              
8位 ニコラス・マース(キュラソー、クイックステップ)                  
9位 クリストファー・サットン(オーストラリア、チームスカイ)            
10位 ファンホセ・コーボ(スペイン、ジェオックス・TMC)    
11位 ニコラス・ロッシュ(アイルランド、アージェードゥーゼル)        +04"
13位 クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)          
14位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)   
15位 ヤコブ・フグルサング(デンマーク、レオパード・トレック)         
19位 バウク・モレマ(オランダ、ラボバンク)                 +07"
22位 ブラッドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)
99位 土井雪広(日本、スキル・シマノ)                    +55"
168位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)           +11'01"

個人総合成績(マイヨロホ)
1位 ファンホセ・コーボ(スペイン、ジェオックス・TMC)              64h39'14"
2位 クリス・フルーム(イギリス、チームスカイ)                   +22"
3位 ブラッドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)               +51"
4位 バウク・モレマ(オランダ、ラボバンク)                     +1'41"
5位 マキシム・モンフォール(ベルギー、レオパード・トレック)            +2'40"
6位 デニス・メンショフ(ロシア、ジェオックス・TMC)                +3'06"
7位 ヤコブ・フグルサング(デンマーク、レオパード・トレック)            +3'08" 
8位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)       +3'49"
9位 ユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー、オメガファーマ・ロット)        +4'03"
10位 ワウテル・ポーエルズ(オランダ、ヴァカンソレイユ)              +4'18"
11位 ダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ)                 +4'34"
13位 セルヒオ・パルディージャ(スペイン、モビスター)               +6'01" 
18位 ニコラス・ロッシュ(アイルランド、アージェードゥーゼル)           +9'18"
19位 マルツィオ・ブルセギン(イタリア、モビスター)                +9'18"
20位 カルロス・サストレ(スペイン、ジェオックス・TMC)               +10'54"
21位 ヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア、レディオシャック)           +14'29"  
23位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)                +16'16"
26位 フレデリック・ケシアコフ(スウェーデン、アスタナ)              +23'20"
163位 土井雪広(日本、スキル・シマノ)                      +3h43'45"

ポイント賞(プントス)
1位 ホアキン・ロドリゲス(スペイン、カチューシャ)          90pts
2位 バウク・モレマ(オランダ、ラボバンク)              85pts
3位 ペーター・サガン(スロバキア、リクイガス・キャノンデール)    75pts

山岳賞(モンターニャ)
1位 ダヴィ・モンクティエ(フランス、コフィディス)         60pts
2位 マッテオ・モンタグーティ(イタリア、アージェードゥーゼル)   38pts
3位 ダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ)          32pts

複合賞(コンビナーダ)
1位 ファンホセ・コーボ(スペイン、ジェオックス・TMC)        9pts
2位 バウク・モレマ(オランダ、ラボバンク)             19pts
3位 ダニエル・モレーノ(スペイン、カチューシャ)          20pts

チーム総合成績
1位 ジェオックスTMC       193h28'09"
2位 レオパード・トレック        +6'42"
3位 モビスター            +25'10"


text:Yufta Omata
photo:Kei Tsuji

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