8月28日フランス西部でGPウエストフランス・プルエーが開催され、最終盤にアタックを決めたグレガ・ボーレ(スロベニア、ランプレ・ISD)が優勝。集団でスプリントした別府史之(日本、レディオシャック)が8位に食い込み、ワールドツアーポイント10ポイントを獲得した。

GPウエストフランス・プルエー2011 コースプロフィールGPウエストフランス・プルエー2011 コースプロフィール ©GP Ouest-France Plouay/www.comitedesfetes-plouay.comフランス北西部、自転車競技の盛んな土地として知られるブルターニュ地方の小村プルエーが舞台のGPウエストフランス・プルエー。ブルターニュ地方最大のワンデイレースで、今年で70周年を数える歴史のある大会だ。パンチ力のあるバルドゥール(果敢なアタッカー)に向く、屈強な選手を輩出し続けるブルターニュらしいレースといえる。

出走サインを終えた全日本チャンピオンジャージを着る別府史之(日本、レディオシャック)出走サインを終えた全日本チャンピオンジャージを着る別府史之(日本、レディオシャック) ©GP Ouest-France Plouay/www.comitedesfetes-plouay.comエリートは1周19.1kmのコースを13周、計248.3kmで争われる。1周の間に標高差100m弱の3つの起伏があり、ピュアスプリンターにはやや厳しいプロフィール。19のプロチームに、ブルターニュ・シュレー、コフィディス、ユーロップカー、ソール・ソジャサン、スキル・シマノの5つのプロコンチネンタルチームを加えた24チームが出場。スタートラインには全日本チャンピオンジャージを着るフミこと別府史之(日本、レディオシャック)と、全日本選手権2位の新城幸也(日本、ユーロップカー)の日本を代表する2名も並ぶ。

起伏のある周回コースをこなすプロトン起伏のある周回コースをこなすプロトン ©GP Ouest-France Plouay/www.comitedesfetes-plouay.com同時開催中のブエルタ・ア・エスパーニャに多くの有力スプリンターが出場しているものの、世界選手権ではチームのセカンドエースとして期待されるであろうアタッカーたちは多く顔を揃えた。春先から好調を維持し続けるフィリップ・ジルベール(ベルギー、オメガファーマ・ロット)や、ダミアーノ・クネゴ(イタリア、ランプレ・ISD)、トル・フースホフト(ノルウェー、ガーミン・サーヴェロ)、エドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ)、トマ・ヴォクレール(フランス、ユーロップカー)が優勝を虎視眈々と狙う。

レースは28km地点でミカル・キワトコウスキ(ポーランド、レディオシャック)、マウロ・フィネット(イタリア、リクイガス・キャノンデール)、ジャック・ボブリッジ(オーストラリア、ガーミン・サーヴェロ)、ミカエル・シュレル(フランス、アージェードゥーゼル)、シリル・ゴティエ(フランス、ユーロップカー)ら8名の逃げが決まる。この8名は4周目で10分48秒の差を稼ぎ出す。

序盤から終盤まで、218kmを逃げたミカル・キワトコウスキ(ポーランド、レディオシャック)序盤から終盤まで、218kmを逃げたミカル・キワトコウスキ(ポーランド、レディオシャック) ©GP Ouest-France Plouay/www.comitedesfetes-plouay.comメイン集団を主にコントロールするランプレ・ISDとモビスターが追走にゆっくりとしたテンポを構築したため、追いが本格化したのは残り2周に入ってから。この動きを察知して、先頭グループからはキワトコウスキとフィネットの二人がアタックで飛び出す。集団ではヴォクレールがアタックして一気にレースが活性化する中、先頭ではキワトコウスキがフィネットを置き去りにして単独に。

キワトコフスキを30秒差まで追いつめた集団から次に飛び出したのはヨアン・オフレッド(フランス、FDJ)とボブリッジ。これにはラース・ボーム(オランダ、ラボバンク)、ビエル・カドリ(フランス、アージェードゥーゼル)、ヴォクレールが乗るが、ジェラント・トーマス(イギリス、チームスカイ)の牽引する集団がこのグループを逃がさない。

この集団の動きにキワトコフスキはついに飲み込まれ、その218kmに及ぶ逃げは潰えた。最終周に入り、2009年大会の覇者サイモン・ジェランス(オーストラリア、チームスカイ)がアタックを仕掛けるとジルベールが追走。このジルベールを追う動きの中で、新たに5名の先頭グループが形成される。メンバーはビョルン・ルークマンス(ベルギー、ヴァカンソレイユ)、ホセホアキン・ロハス(スペイン、モビスター)、ジェレミー・ガラン(フランス、ソール・ソジャサン)、グレガ・ボーレ(スロベニア、ランプレ・ISD)、ジェランス。ジルベールはここに入れず。

グレガ・ボーレ(スロベニア、ランプレ・ISD)が集団を振り切り勝利。右から3番目にフミの姿グレガ・ボーレ(スロベニア、ランプレ・ISD)が集団を振り切り勝利。右から3番目にフミの姿 ©GP Ouest-France Plouay/www.comitedesfetes-plouay.com先頭がこの5人のままレースの残り距離が減っていくと、牽制が始まる。スプリント力に秀でるスペインチャンピオンのロハスを誰もが警戒する中、残り1.5kmでボーレが一気に飛び出す。残り1kmで集団からヴォクレールがアタックし、前の4人をかわして単独でボーレをスプリントで追い込む。しかしこの動きは届かず、一足早くスプリントを始めたボーレが単独でゴールに飛び込んだ。ヴォクレールは最後ジェランスにかわされ3位。

表彰台。左から2位ジェランス、優勝のボーレ、3位ヴォクレール表彰台。左から2位ジェランス、優勝のボーレ、3位ヴォクレール ©GP Ouest-France Plouay/www.comitedesfetes-plouay.com同タイムまで迫った集団の先頭はトル・フースホフト(ノルウェー、ガーミン・サーヴェロ)。そしてこの日レース中盤から終盤にかけて常に集団の前方に位置していたフミがスプリントに加わり、8位でゴール。ワールドツアーでのワンデイレースでは自己最高順位を記録した。これによりフミはワールドツアーポイントを10pt獲得。先週までウイルス性の体調不良に悩まされながらレースを続けてきたフミにとって、快復の兆しとシーズン後半への好材料と言えそうだ。ヴォクレールのために集団牽引を担ったユキヤは2分31秒遅れの112位でゴールしている。

優勝したボーレは今年スロベニアのナショナルチャンピオンに輝いた26歳。かつてリエージュ〜バストーニュ〜リエージュのU23で優勝した経歴を持ち、昨年のクリテリウム・ドーフィネ第1ステージのスプリントでプロ初勝利を飾っている。今月はヴァッテンフォールサイクラシックスで9位に入り、好調さを覗かせていた。



GPウエストフランス・プルエー2011結果
1位 グレガ・ボーレ(スロベニア、ランプレ・ISD)          6h32'40"
2位 サイモン・ジェランス(オーストラリア、チームスカイ)
3位 トマ・ヴォクレール(フランス、ユーロップカー)
4位 トル・フースホフト(ノルウェー、ガーミン・サーヴェロ)
5位 ジャコモ・ニッツォーロ(イタリア、レオパード・トレック)
6位 アルノー・ジェラール(フランス、FDJ)
7位 ホセホアキン・ロハス(スペイン、モビスター)
8位 別府史之(日本、レディオシャック)
9位 ジュリアン・シモン(フランス、ソール・ソジャサン)
10位 ヨアン・オフレッド(フランス、FDJ)
112位 新城幸也(日本、ユーロップカー)               +2'31"


text:Yufta Omata
photo:©GP Ouest-France Plouay/www.comitedesfetes-plouay.com

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