ツール・ド・フランス2011第11ステージは、山岳連戦を前にした最後のスプリントステージ。完璧なリードアウトでカヴェンディッシュが制し、マイヨヴェールも獲得。活躍が期待されたペタッキは12位に沈んだ。

ステージ優勝と念願のマイヨヴェールを獲得したマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、HTC・ハイロード)

マイヨ・ヴェールを獲得したマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、HTC・ハイロード)マイヨ・ヴェールを獲得したマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、HTC・ハイロード) photo:Makoto Ayano昨日も言ったんだけど、実際にはここまでに4勝か5勝できててもいいんだ。でも、後悔はないよ。タイラー(ファラー)が勝った最初(スプリント)ステージは、自分に適していた。グライペルが僕を破った昨日のステージ——これも勝てるはずだった。

今日アンドレ(グライペル)と話して、こう言ったんだ。「専門的にいっても、昨日のスプリントは、ぼくが見た現役スプリンターによる最大級にまともなスプリント合戦だった」 彼の走りは完璧だった。だから自分の昨日の結果は失望していないんだ。

昨日は踏み込めなかった。踏み込む前にちょっと空回りした。だから今日は確実に踏み込んだ。マーク(レンショー)のリードアウトがよかった。僕は残り250mまで牽いてもらって、そこから加速して、その勢いを維持できた。

完璧なリードアウトをしてもらった。これで僕らが集団のなかではスプリントの最強チームであることを示せた。一日中、そのために走った。(今日は)6名の逃げがあった。僕らは2名を追走集団の前に出して、逃げとの差を3分以内に収めたんだ。

今日はカヴェンディシュがグライペルに差をつけて勝利今日はカヴェンディシュがグライペルに差をつけて勝利 photo:Makoto Ayano最後には他のチームの助けも少しあったけど、僕らは総合10位につける2名を送り込んだんだ——トニ・マルティン(総合6位)とピーター・ベリトス(総合7位)だ。ふたりは僕のために最後までがんばって、逃げ集団をつなぎ止めてくれた。

僕のまわりにいてくれるのは、信じられないほどすごいやつらなんだよ。

昨日言ったのは、自分ががっかりしてるのは、みんなが一日中働いたのに勝てなかったからだ。だから今日は埋め合わせしなきゃいけなかった。彼らが準備してくれた仕事をしっかりとやり遂げたよ。

今年はマイヨヴェールを維持できればと思う。ずっとこのジャージのために戦ってきた。すべての中間スプリントポイントを狙ったし、ゴールも狙った……。15ポイント(訳註:実際は16ポイント)の差はごくわずかだから、戦い続けるよ。

ラルスイティング・バクは機械みたいだ。彼の走りは見たことあるだろう? 僕はバクが好きなんで、今年のツール・ド・フランスにメンバーに入れてもらうように必死で頼んだんだ。だって、彼は当てに出来る戦力なんだ。晴れでも雨でも、一日中走ってくれる。そのうえ、夕食のテーブルでは、すばらしい実力を発揮するんだ。


マイヨジョーヌを維持したトマ・ヴォクレール(フランス、ユーロップカー)

マイヨ・ジョーヌを守ったトマ・ヴォクレール(フランス、ユーロップカー)マイヨ・ジョーヌを守ったトマ・ヴォクレール(フランス、ユーロップカー) photo:Makoto Ayanoかなりピリピリしていた。これが今日の主な問題だった。身体がキツかったわけじゃなくて、不安のせいで問題に感じてたんだ。誰もが落車を回避したがっていて、集団内でいい位置に付けたがっていた。だから、ピリピリした雰囲気になっていたんだ。

がんばりはするけど、正直なところ明日はこのジャージを失いそうだ。もう戦わないという意味じゃないよ。様子見だよ……。

僕たちのチームのうち、3名がツール・ド・フランス初出場なんだ。それにレースの序盤でクリストフ・ケルヌを欠いてしまった。彼は重要なメンバーでとくに山岳で期待されていた。まだアントニー・シャルトーやピエール・ロラン、シリル・ゴティエが山岳向きのメンバーは残っている。でも、クリストフがいなくて残念なのは本当なんだ。


新人賞のロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク)

ラース(ボーム)は残念だった。ほとんど一日中逃げ集団にいて、集団に戻ってきたのは、残り約2kmのところだった。ボームにとっては、ほぼ完璧な一日だったけど、僕らにとっては危険な一日だった。なんとか切り抜けた。
ピレネーでもツールに残っていたい。だけど、そこでの調子について、まったく自信がないんだ。でも、山岳で自分の力を見せたい


28位に沈んだアレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ・ISD)

ナーバスな表情を浮かべるアレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ・ISD)ナーバスな表情を浮かべるアレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ・ISD) photo:Makoto Ayano仲間たちがしっかり働いて、カヴェンディッシュのトレインの後ろに僕をつかせてくれた。だから「いいスプリント」ができると確信した。調子もよかった。でも、先頭のスピードが急に落ちてしまった。

おかげで、僕から後ろの選手たちは追いつくだけで終わってしまった。その時点で、今日は店じまいだとわかった。スプリントに加われなかった。

今回もスプリントに加わる機会を逃してしまって残念だ。いい仕事をした仲間たちにも心苦しいね。


山岳前に心境を語るアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソバンク・サンガード)

明日以降の走りが注目されるアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソバンク)明日以降の走りが注目されるアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソバンク) photo:Makoto Ayano膝の反応がよくて、とてもうれしく思ってる。でも気をつけないといけない。今日の時点ではまだトゥールマレーに登ってないんだ。まずは脚の調子をみきわめないと。そのうえで、明日の最後の登りでの攻め方を決めたい。

今日は膝はまったく気にならなかった。雨が膝の痛みを和らげてくれたんだ。まるで氷みたいに冷たかったからね。

明日は厳しい一日になるだろう。ツールの厳しさが増す最初の日でもある。有力選手たちは、もう身を潜めることもなく、険しい山岳地帯で自分たちの実力を見せなければならない。僕も自分の脚の調子を確認するのが楽しみだよ。

(今日は)ずっと集団前方に位置取りしたいステージだった。チームがすばらしく優秀だった。登りが続く序盤で、いい位置を保てたんだ。終盤には、雨が降り出して非常に危険だった。ここでもチームのアシストがあって、落車せずに次の日を迎えられることになった。今は1分でも多くの時間を費やして、明日に備えて可能な限り回復したい。

(明日の第12ステージの)リュザルディダンでは誰もが待ち構えていると思う。誰かがレースの口火を切ることになる。おそらくシュレク兄弟だろう。でも、実際のレース展開を見るまでは、なにも言えない。それに天候も大きな影響を及ぼす要因だしね。まだ第1週の落車からの回復途中なんだ。僕の実力が発揮できるのは少し後になるだろう。でも、ピレネーもアルプスも、どちらも等しく重要になると思うよ。


*ソースは現地取材、記者会見、主催者公式サイト、チーム公式ウェブサイト、選手個人のウェブサイトおよびTwitter、Facebookなど。


translation & text : Taiko.YAMASAKI + Seiya.YAMASAKI