「昨日は本能の赴くままに動いたので、ゴールまでの距離を測り損ねてしまった。だから今日は平常心を保ってスプリントに挑んだんだ」。ステージ初勝利を飾ったエドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ)はあどけなさの残る顔で語る。チームスカイが1勝目。雨の登りスプリントで勝利した。

ディナンの街をスタートするプロトンディナンの街をスタートするプロトン photo:Makoto Ayano2011年7月7日、226kmの今大会最長ステージが悪天候のブルターニュ地方とノルマンディー地方を舞台に行なわれた。時折強い雨が打ち付け、そして太陽が顔を出す変わりやすい天候の中、選手たちは3つのカテゴリー山岳を越える。ラスト3km標高差88mを駆け上がり、平坦な最終ストレートにゴールだ。

レース1時間目の平均スピードが49.4km/hに達するハイスピードの展開の末、この日は5名が逃げを試みる。

モンサンミシェルの前を通過する逃げグループモンサンミシェルの前を通過する逃げグループ photo:Makoto Ayano逃げたのは、2009年のブエルタ・ア・エスパーニャで劇的な逃げ切り優勝を飾っているアントニー・ルー(フランス、FDJ)と、現イタリアTTチャンピオンのアドリアーノ・マローリ(イタリア、ランプレ・ISD)、コロンビア生まれのパンチャーレオナルド・ドゥケ(コロンビア、コフィディス)。そしてヴァカンソレイユ・DCMはリエーベ・ヴェストラとジョニー・フーガーランドの2人を逃げに乗せた。

ステージ距離の長さと難易度の低さ、そして生憎の悪天候のため、メイン集団では追走が組織されず、タイム差は11分まで拡大する。メイン集団がスピードを上げ始めたのはレース中盤、131km地点のスプリントポイントの手前だった。

雨の中、ガーミン・サーヴェロがメイン集団を率いる雨の中、ガーミン・サーヴェロがメイン集団を率いる photo:Makoto Ayano上位15名までポイントが与えられるスプリントポイントは、ルーがが先頭で通過。5分遅れのメイン集団は、マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、HTC・ハイロード)が先頭通過して10ポイントを加算する。ポイント賞トップのフィリップ・ジルベール(ベルギー、オメガファーマ・ロット)は10位通過で6ポイントを加算し、マイヨヴェール獲得への意気込みを見せた。

雨が降っては晴れ、晴れては雨が降る。選手たちはジャケットやベスト、アームウォーマーなどで体温調整しながら走行。この日2つの3級山岳でポイントを稼いだフーガーランドは、山岳賞ランキングトップに躍り出た。

雨の3級山岳でポイントを稼ぐジョニー・フーガーランド(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM)雨の3級山岳でポイントを稼ぐジョニー・フーガーランド(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM) photo:Cor VosHTC・ハイロードとガーミン・サーヴェロの集団牽引によってタイム差が2分を切ると、先頭からヴェストラとマローリがアタック。マローリはイタリアTTチャンピオンとしての意地を見せて最後まで粘ったが、ラスト3kmで敢え無く吸収された。

ゴール前、標高差88mの登りで真っ先に動いたのはイェーレ・ファネンデルト(ベルギー、オメガファーマ・ロット)。これにトマ・ヴォクレール(フランス、ユーロップカー)が合流したが、50名ほどに絞られたメイン集団が2人を飲み込んで行く。

ラスト3kmから始まるリズーの登りに入ったメイン集団ラスト3kmから始まるリズーの登りに入ったメイン集団 photo:Makoto Ayano最後はカヴェンディッシュやファラー、ペタッキ、ボーネンを欠く集団によるゴールスプリント。マイヨブランを着るジェレイント・トーマス(イギリス)に発射されたボアッソンが、追いすがるマシュー・ゴス(オーストラリア、HTC)らを振り切ってゴール。両腕を鋭角に突き上げる独特のガッツポーズが決まった。

「飛び出すタイミングを待ったのと、ラスト3kmで合流して素晴らしいリードアウトを見せたジェレイント・トーマスの存在が勝利に繋がった。とにかくラスト1kmで平坦基調になってからは、ジェレイントに大きく助けられたよ」。ボアッソンはトーマスへの感謝を忘れない。

両手を突き上げてゴールするエドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ)両手を突き上げてゴールするエドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ) photo:Makoto Ayanoボアッソンは1994年に冬季オリンピックが開催されたリレハンメル出身の24歳。TTとスプリントで強さを発揮する。「スプリントで勝負できるスピードがあることは分かっていたので、ゴールラインが見えたところでスプリントした。ゴールで両腕を突き上げるのは快感だ。このツールには2人のノルウェー人選手が出場している。その2人が表彰台に登るなんて最高の気分だ」。

ボアッソンはこれがツールのステージ初勝利。チームスカイにとってもステージ初勝利だ。

ステージ初優勝を飾ったエドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ)ステージ初優勝を飾ったエドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ) photo:Makoto Ayanoスプリントをお膳立てしたトーマスは、ボアッソンの勝利を喜びながらゴール。「今日のような天気が好き。そして今日のようなコースも好きなんだ。ステージ優勝まで時間がかかったけど、ずっとチームは惜しいところまで行っていた。この勝利でチームの士気は上がっている」。昨年鳴り物入りでツールに出場しながらも、見せ場を作れなかったチームスカイ。結成2年目のチームは着実にステップアップしている。

スプリントで敗れながらも、マイヨジョーヌを守ったフースホフトは「今日のステージは自分向きで、開幕前からずっと狙っていたコースだった。でも自分のスプリントはイマイチ。勝利には少し脚が足りなかった。その分、エドヴァルドが勝って嬉しいよ。彼はまだ若いけど、今日のようなコースで強さを発揮する。彼がこの先どこまで成長するのか計り知れない。勝ちたかったけど、勝った選手が彼で良かった」と、同じノルウェー出身者の勝利を喜んだ。

マイヨヴェールとマイヨブランは動かず。マイヨアポワは、果敢に逃げたフーガーランドが獲得した。フーガーランドは「今日は補給ポイントでレインジャケットを着込むほど寒い一日だった。少なくとも明日はこのジャージを守れると思う。…だってカテゴリー山岳が設定されていないんだから」と語る。

翌第7ステージはカテゴリー山岳ゼロのド平坦ステージ。この日勝負に絡めなかったビッグスプリンターたちが息を吹き返すだろう。

選手コメントはレース公式サイトより。

ツール・ド・フランス2011第6ステージ結果
1位 エドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ)        5h13'37"
2位 マシュー・ゴス(オーストラリア、HTC・ハイロード)
3位 トル・フースホフト(ノルウェー、ガーミン・サーヴェロ)
4位 ロメン・フェイユ(フランス、ヴァカンソレイユ・DCM)
5位 ホセホアキン・ロハス(スペイン、モビスター)
6位 アルテュール・ヴィショ(フランス、FDJ)
7位 フィリップ・ジルベール(ベルギー、オメガファーマ・ロット)
8位 ゲラルド・チオレック(ドイツ、クイックステップ)
9位 マルコ・マルカート(イタリア、ヴァカンソレイユ・DCM)
10位 アルノー・ジャネソン(フランス、FDJ)

個人総合成績 マイヨ・ジョーヌ
1位 トル・フースホフト(ノルウェー、ガーミン・サーヴェロ)      22h50'34"
2位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシング)          +01"
3位 フランク・シュレク(ルクセンブルク、レオパード・トレック)       +04"
4位 デーヴィット・ミラー(イギリス、ガーミン・サーヴェロ)         +08"
5位 アンドレアス・クレーデン(ドイツ、レディオシャック)          +10"
6位 ブラドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)
7位 ジェレイント・トーマス(イギリス、チームスカイ)           +12"
8位 エドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ)
9位 ヤコブ・フグルサング(デンマーク、レオパード・トレック)
10位 アンディ・シュレク(ルクセンブルク、レオパード・トレック)

11位 トニ・マルティン(ドイツ、HTC・ハイロード)             +13"
14位 ロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク)             +20"
15位 アレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン、アスタナ)        +32"
17位 ユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー、オメガファーマ・ロット)   +39"
20位 イヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)      +1'03"
24位 ダミアーノ・クネゴ(イタリア、ランプレ・ISD)           +1'12"
31位 リーヴァイ・ライプハイマー(アメリカ、レディオシャック)      +1'23"
34位 アルベルト・コンタドール(スペイン、サクソバンク・サンガード)   +1'42"
47位 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、アスタナ)             +2'29"
48位 サムエル・サンチェス(スペイン、エウスカルテル)          +2'36"

ポイント賞 マイヨ・ヴェール
1位 フィリップ・ジルベール(ベルギー、オメガファーマ・ロット)    144pts
2位 ホセホアキン・ロハス(スペイン、モビスター)           143pts
3位 トル・フースホフト(ノルウェー、ガーミン・サーヴェロ)      112pts

山岳賞 マイヨ・ブラン・ア・ポワ・ルージュ
1位 ジョニー・フーガーランド(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM)    4pts
2位 アントニー・ルー(フランス、FDJ)                 3pts
3位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシングチーム)     2pts

新人賞 マイヨ・ブラン
1位 ジェレイント・トーマス(イギリス、チームスカイ)         22h50'46"
2位 エドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ)     
3位 ロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク)              +08"

チーム総合成績
1位 ガーミン・サーヴェロ                      67h42'22"
2位 チームスカイ                             +02"
3位 レオパード・トレック                         +04"

敢闘賞
アドリアーノ・マローリ(イタリア、ランプレ・ISD)

text:Kei Tsuji
photo:Makoto Ayano, Cor Vos
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