ツール・ド・フランス2011の開幕を告げる第1ステージは早くも総合を狙う選手がタイムを失う波乱の展開。集団落車を避けたフィリップ・ジルベール(ベルギー、オメガファーマ・ロット)が登り勾配のスプリントを制し、同時にマイヨジョーヌを獲得した。

フランス・ヴァンデ県に始まるツール・ド・フランス2011。そのオープニングに選ばれたのは海から現れる神秘の道パッサージュ・デュ・ゴア。干潮時にだけ現れる本土と島を結ぶ道は1999年にも登場し、その時には集団落車を誘発。有力選手が遅れる事態に発展したことから、今年はツールの開幕を告げるシンボリックなルートとしてセレモニー走行での通過となった。

パッサージュ・デュ・ゴアをパレード走行する集団パッサージュ・デュ・ゴアをパレード走行する集団 photo:Makoto Ayano

パッサージュ・デュ・ゴアを抜けるとリアルスタートが切られる。ツール・ド・フランスの大舞台で足をウズウズさせていた逃げ屋がようやくとばかりにアタックをかけ、3人の逃げグループが形成される。メンバーは、リエーベ・ヴェストラ(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM)、ジェレミー・ロワ(フランス、フランセーズデジュー)、ペリグ・ケムヌール(フランス、ユーロップカー)。

逃げた3人。先頭はリエーベ・ヴェストラ(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM)逃げた3人。先頭はリエーベ・ヴェストラ(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM) photo:Makoto Ayano長いツールの最初のステージということもあってか、集団は容易くこの逃げを容認。パサージュ・デュ・ゴワ〜モン・デザルエット間の191.5kmで争われるこの日のハイライトは、平均勾配4.7%・登坂距離2.2kmの4級山岳モン・デザルエットに至るゴール。どのチームも最終局面に向けて体制を整える。

逃げと集団との差は一時6分を超えるも、次第にその差が縮まっていく。メイン集団を積極的にコントロールするのは、ベルギーチャンピオンに輝いたばかりのフィリップ・ジルベール(ベルギー、オメガファーマ・ロット)。アルデンヌクラシックを思わせる短い登りゴールは、ジルベールにおあつらえ向きのレイアウト。プロトンの誰もが警戒を強める。

メイン集団は談笑を交えてゆっくりしたペースメイン集団は談笑を交えてゆっくりしたペース photo:Makoto AyanoHTC・ハイロード、レオパード・トレックも逃げ吸収に向けて集団前方に位置する。残り20kmで11秒の差は逃げ切るにはあまりにも不利。集団の周到なタイム差調整は、残り10kmで逃げグループを吸収する。

終盤に向けてスピードが上がりかける集団内で、マキシム・イグリンスキー(カザフスタン、アスタナ)が沿道のファンと接触して落車。これが集団を分断してしまう規模の大落車に発展。突然のアクシデントに、集団後方にいた総合優勝候補の選手たちが取り残された。

登りスプリントで飛び出し勝利を決めたフィリップ・ジルベール(ベルギー、オメガファーマ・ロット)登りスプリントで飛び出し勝利を決めたフィリップ・ジルベール(ベルギー、オメガファーマ・ロット) photo:Makoto Ayanoアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソバンク)、サミュエル・サンチェス(スペイン、エウスカルテル)が後方集団に残されたことで、前方集団はステージ狙いのチームに加えてBMCレーシングやレディオシャックなど総合狙いの選手を擁するチームもペースアップに尽力。

サクソバンクとエウスカルテルが人数をかけて追走するも、前方集団のスピードには対抗できない。その差は30秒からどんどんと開いていく。そして残り2.2kmの登りに差しかかり、アンドレ・グライペル(ドイツ、オメガファーマ・ロット)が集団を牽引。ジルベールのためにスプリンターができる仕事を全うする。


3秒遅れの2位に入ったカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシング)3秒遅れの2位に入ったカデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシング) photo:Makoto Ayano誰もがジルベールを警戒する中、飛び出しを見せたのはスイスチャンピオンに輝いたばかりのファビアン・カンチェラーラ(スイス、レオパード・トレック)。この強力な動きをチェックしにジルベール自らが追走し、カウンターで飛び出す。

カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシング)が遅れて追走にまわるが、ジルベールの勢いの前に追いつくことができない。集団からは世界チャンピオンのトル・フースホフト(ノルウェー、ガーミン・サーヴェロ)がスプリントをかけるが、こちらも時すでに遅し。

初日から1分20秒遅れたアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソバンク)初日から1分20秒遅れたアルベルト・コンタドール(スペイン、サクソバンク) photo:Makoto Ayano現在世界最強のワンデイレーサーと言っても過言ではないジルベールが、狙っていた通りツールの区間初優勝を手に入れた。大会前から公言していた通りのマイヨジョーヌ獲得に笑顔を見せるジルベール。その力の前に全ての選手がひれ伏した。

問題のコンタドール、サンチェスは実に1分20秒遅れでゴール。「何も無いはず」の平坦ステージでまさかの手痛いタイムロスを被ったコンタドールにとって、厳しいツールの立ち上がりとなった。アンディ・シュレク(ルクセンブルク、レオパード・トレック)、ブラッドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)といった選手もゴール前2.2kmの落車に巻き込まれ、コンタドール集団でゴールしたが、こちらは救済措置でタイム差はジルベールから6秒差のメイン集団扱いとなっている。

波乱の幕開けとなったツール・ド・フランス2011。翌第2ステージはレゼサールを走る23kmのチームタイムトライアル。距離こそ短いものの、1分ほどの差は充分につく種目。コンタドールにとっては想定外の集中を要求されるステージになるだろう。

マイヨ・ジョーヌに袖を通したフィリップ・ジルベール(ベルギー、オメガファーマ・ロット)マイヨ・ジョーヌに袖を通したフィリップ・ジルベール(ベルギー、オメガファーマ・ロット) photo:Makoto Ayano新人賞はジェレイント・トーマス(イギリス、チームスカイ)新人賞はジェレイント・トーマス(イギリス、チームスカイ) photo:Makoto Ayano


ツール・ド・フランス2011第1ステージ結果
1位 フィリップ・ジルベール(ベルギー、オメガファーマ・ロット)    4h41'31"
2位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシング)         +3"
3位 トル・フースホフト(ノルウェー、ガーミン・サーヴェロ)        +6"
4位 ホセホアキン・ロハス(スペイン、モビスター)
5位 ユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー、オメガファーマ・ロット)
6位 ジェレイント・トーマス(イギリス、チームスカイ)
7位 アンドレアス・クレーデン(ドイツ、レディオシャック)
8位 レイン・ターラマエ(エストニア、コフィディス)
9位 クリストファー・ホーナー(アメリカ、レディオシャック)
10位 トニ・マルティン(ドイツ、HTC・ハイロード)
12位 フランク・シュレク(ルクセンブルク、レオパード・トレック)
15位 ダミアーノ・クネゴ(イタリア、ランプレ・ISD)
17位 アレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン、アスタナ)
32位 サミュエル・サンチェス(スペイン、エウスカルテル)         +1'20"
35位 アルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)
39位 アンディ・シュレク(ルクセンブルク、レオパード・トレック)      +6"
53位 イヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス)
62位 ブラッドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)
74位 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、アスタナ)             +1'55"
171位 ロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク)             +6"

個人総合成績 マイヨ・ジョーヌ
1位 フィリップ・ジルベール(ベルギー、オメガファーマ・ロット)    4h41'31"
2位 カデル・エヴァンス(オーストラリア、BMCレーシング)         +3"
3位 トル・フースホフト(ノルウェー、ガーミン・サーヴェロ)        +6"
4位 ホセホアキン・ロハス(スペイン、モビスター)
5位 ユルゲン・ファンデンブロック(ベルギー、オメガファーマ・ロット)
6位 ジェレイント・トーマス(イギリス、チームスカイ)
7位 アンドレアス・クレーデン(ドイツ、レディオシャック)
8位 レイン・ターラマエ(エストニア、コフィディス)
9位 クリストファー・ホーナー(アメリカ、レディオシャック)
10位 トニ・マルティン(ドイツ、HTC・ハイロード)
12位 フランク・シュレク(ルクセンブルク、レオパード・トレック)
15位 ダミアーノ・クネゴ(イタリア、ランプレ・ISD)
17位 アレクサンドル・ヴィノクロフ(カザフスタン、アスタナ)
32位 サミュエル・サンチェス(スペイン、エウスカルテル)         +1'20"
35位 アルベルト・コンタドール(スペイン、サクソバンク・サンガード)
39位 アンディ・シュレク(ルクセンブルク、レオパード・トレック)      +6"
53位 イヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス)
62位 ブラッドレー・ウィギンズ(イギリス、チームスカイ)
74位 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、アスタナ)             +1'55"
171位 ロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク)             +6"

山岳賞 マイヨ・ブラン・ア・ポワ・ルージュ
フィリップ・ジルベール(ベルギー、オメガファーマ・ロット)

ポイント賞 マイヨ・ヴェール
フィリップ・ジルベール(ベルギー、オメガファーマ・ロット)

新人賞 マイヨ・ブラン
ジェレイント・トーマス(イギリス、チームスカイ)

敢闘賞
ペリグ・ケムヌール(フランス、ユーロップカー)


text:Yufta Omata
photo:Cor Vos
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