鹿屋体育大学自転車競技部にバイクを供給しているするキャノンデール・ジャパンがツール・ド・熊野2011での同チームの闘いをレポートする。 以下、キャノンデールジャパンからのプレスリリースによるレポートだ。

ツール・ド・熊野(UCI2.2)全ステージで活躍の鹿屋体育大学
~プロローグ5位、第1ステージ5位、第2ステージで45kmの逃げ&山岳賞3位、
第3ステージ9位の好成績を挙げる~


第1ステージスタート前第1ステージスタート前 (c)キャノンデール・ジャパン5月26日から4日間の日程で行われたツール・ド・熊野。世界遺産である三重県と和歌山県の紀伊山地を舞台に行われるUCIアジアツアー2.2クラスのレースで、海外チームはもとより国内コンチネンタルチームが勢ぞろい、事実上の国内開幕戦になりました。国内外強豪チームとともに鹿屋体育大学も参戦。個人総合山岳賞第3位や各ステージ一ケタ台の入賞など、今年も熊野で鹿屋体育大学の黄色のジャージが大活躍しました。

参加選手:野中竜馬、高宮正嗣、野口正則、黒枝士揮、山本元喜、徳田鍛造 (以上6名)

鹿屋体育大学自転車競技部は「日本の自転車競技をメジャーにするために強い選手とレベルの高い指導者を育成する」ことを目的に活動しています。その言葉通りに各ステージでコンチネンタルチームをも凌駕するほどの動きを見せました。その特徴はなんといっても「自分で考え行動する」走りに尽きます。
誰かに指示されて動くのでなく、その場でレース展開を読み、それぞれが必要な動きを自分で判断し行動するのです。

千枚田をアウターギアで上る千枚田をアウターギアで上る (c)キャノンデール・ジャパン・第2ステージで山本元喜選手が45kmの逃げ

その最たる例が第2ステージでした。国内屈指の山岳コースであるこのステージ。2年生の山本選手がスタート後5kmで集団からアタックを掛け、先行していた西薗良太選手(シマノレーシング)に合流、そのまま45kmを逃げ続けました。名勝地であり厳しい上りの千枚田を越え、滑りやすい路面を下り、平坦区間を経て厳しい上りの札立峠途中まで逃げ続けました。この札立峠では、最終的にステージ&個人総合優勝するフォルトゥナート・バリアーニ選手(ダンジェロ&アンティヌッチィ・株式会社NIPPO)の超人的なアタックに、一時着いていく粘りも見せました。そして何よりも素晴らしいのは、逃げが吸収されたあともその集団内にとどまり、大崩れすることなくゴールしたことです。

各ステージで活躍

第2ステージにとどまらず、選手たちは各ステージで活躍しました。

プロローグ
初日のプロローグは0.7kmの個人TT。ここで野中選手が5位(U23では1位)、黒枝選手11位、野口選手13位、高宮選手21位など、出走93人の中で上位の結果を出しました。特に野中選手の5位は価値があります。このときの3位と4位は愛三工業の選手で第1ステージと第3ステージで優勝する選手。6位は昨年の第1ステージ優勝の選手、7位はトラック世界選手権の銅メダリストなのです。

第1ステージ
平坦基調でもテクニカルなコースの第1ステージ。ここで黒枝選手がゴールスプリントで5位に食い込みました。
もちろん前後は名だたる選手たち。野中選手も37人の先頭集団でゴールしました。

第3ステージ
アップダウンとコーナーの多いジェットコースターのようなコースは、終始ハイペースで進みます。サバイバルレースの最後は21人のゴールスプリントになり、ここで野中選手が9位に入りました。
全ステージを終えて、故障でリタイアした高宮選手を除く5名全員が完走しました。野中選手はU23としては第2位でした。93名でスタートしたこのレースも、完走者はわずか54名。完走することだけでも難しいレベルのこのレース。力負けした選手が一人もいないことは、鹿屋体育大学のレベルの高さを示すものです。

初日のプロローグで5位の 野中竜馬選手初日のプロローグで5位の 野中竜馬選手 (c)キャノンデール・ジャパンアウターギアで上るアウターギアで上る (c)キャノンデール・ジャパン大切な補給もチームワークで万全 徳田鍛造選手大切な補給もチームワークで万全 徳田鍛造選手 (c)キャノンデール・ジャパン

・個人総合山岳賞第3位 山本元喜選手のコメント
今回のレースで特に印象に残ったことは、NIPPOの外人選手との圧倒的な力の差です。特に第2ステージの西薗選手との逃げが札立峠で吸収された時にそれを実感しました。登り始めでは45秒だったタイム差が、タイムボードが更新される毎にどんどん減っていくのは力の差を実感するには十分でした。

個人総合山岳賞第3位の山本元喜選手(右2人目)個人総合山岳賞第3位の山本元喜選手(右2人目) (c)キャノンデール・ジャパンしかし力の差は自分の強くなれる可能性でもあると思うので、海外の選手に敵わないと諦めるのではなく少しでも近づけるように日々の練習を頑張ろうと思いました。チームの雰囲気もそれぞれが自分に適したステージでプロに一矢報いようという挑戦的な良い雰囲気で挑めました。

そしてこの走りを支えてくれている自転車がキャノンデールです。去年からチームに供給していただいており、軽さと剛性がとても優れていると感じています。驚くほどの軽さでありながら僕の様に登りでギアをかけてダンシングをしていても(千枚田をアウターギアで上った)、ほとんどたわむことなく踏んだ力を前進する力にしっかりと伝えてくれるので安心して走ることができます。

これからも世界を目指して頑張っていくので応援よろしくお願いします。


・黒川剛監督のコメント

エースで4年生の吉田隼人が日本ナショナルチームでイランに遠征中でしたが、TT、スプリント、山岳と各選手は持ち味を生かした積極的な走りを見せてくれ満足しています。

近未来の日本を担う鹿屋の若い選手達には、トップ選手が集う熊野のようなレースが絶好の経験になりますので、日頃からレースの結果よりも展開を評価するようにしてきました。しかし、昨年のツール・ド・北海道第3ステージで当時1年生の山本が優勝したことから、各選手達はこれまで通り内容の良い走りをした上で「学生でも表彰台に登れる」との意識に変わって来たようです。

特に昨年からチーム全員がキャノンデールに乗り始めた瞬間に、学生やU23のレースでは男女ともほぼ負け知らずの状態で1年間勝ち続けていますので、今回も自信をもってエリートの選手に挑戦することが出来ました。

「ロードバイクは相性もあるので・・・」とこれまで各自の好きなブランドに乗せてきましたが、全選手が安定した走りで好成績を連発していることで、キャノンデールのクオリティの高さを今更ながら強く実感させられています。

東日本大震災の影響で多くのレースがキャンセルになり、熊野が今期最初の本格的ロードレースになりましたが、走らせてみて世界を見据えた鹿屋のトレーニングが順調なことも解りましたので、「鹿屋の出るレースは面白いね」と言われるような、そして震災で被害を受けられた皆さんの元気が出るような、良い意味暴れ回るレースを心がけたいと思います。即ちそのことが若い選手達を強くするための近道だと考えています。

・6月の予定
6月は大学生にとってビッグレースが続きます。引き続き鹿屋体育大学の活躍にご期待ください。

6月参加予定のレース
6月12日:全日本選手権ロード個人TT(秋田県)
6月18、19日:学生個人ロード(長野県)
6月25、26日:全日本選手権ロード(岩手県)