今年で3回目の開催となるツール・ド・シンカラ。日本から参戦する愛三工業レーシングチームの7日間のレースを密着レポートしたい。まずはレースの概要を紹介しよう。UCI2クラスのステージレースながら、初開催の3年前より急成長している印象が強い今大会。アジアの熱気溢れる元気なレースに注目してほしい。

観客が集まった第1ステージのスタート/フィニッシュ地点観客が集まった第1ステージのスタート/フィニッシュ地点 (c)Sonoko.Tanakaチームプレゼンテーションに登場した愛三工業レーシングチームチームプレゼンテーションに登場した愛三工業レーシングチーム (c)Sonoko.Tanaka

3回目を迎えたツール・ド・シンカラ

ツールドシンカラ2011コースマップツールドシンカラ2011コースマップ 6月6日~12日、7日間のステージレース ツール・ド・シンカラ(UCI2.2)がインドネシアで幕開けした。昨年はスマトラ島沖地震の影響を大きく受けて開催が危ぶまれるほどだったが、3回目となる今年は現地の復興とともに、レースのスケールが拡大。地元の認知度も格段にアップし、オーケストラの演奏をバックに華やかな開幕となった。

ツール・ド・シンカラは7日間の日程で開催されるが、6日目と7日目が午前と午後で2レース開催されるため、トータルのステージ数は9となっている。
初日が西スマトラの中心都市パダンの周回コースで開催される61kmのサーキットレース。その後海沿いから内陸に入るようにしてラインレースとなり、第3ステージに昨年に引き続き登場する「ケロック44」が待ち構えている。
ケロック44はその名のとおり44のスイッチバックが連続する登坂区間で、獲得標高は1000m越え。また最終日の午前中、第7Aステージにも1000m級の山岳が登場する。レースはこの2ステージで大きく動くことになるだろう。


日本から参戦を続ける愛三工業レーシングチーム

日本からは愛三工業レーシングチームが参加している。第1回目から参戦を続ける彼らはインドネシアにも多くのファンがいる。彼らがアジアツアーチームランキング1位になることを目標として掲げている同チーム。もちろん、今回の課題はポイントをより多く稼ぐこと。具体的には総合上位でのフィニッシュと、できるだけ多くのステージ優勝を挙げることだと言う。

鎖骨骨折から復帰第1戦となる鈴木謙一(愛三工業レーシングチーム)鎖骨骨折から復帰第1戦となる鈴木謙一(愛三工業レーシングチーム) (c)Sonoko.Tanaka今季、海外レース3戦目となる中島康晴今季、海外レース3戦目となる中島康晴 (c)Sonoko.Tanaka

今大会の優勝候補アミール・ザルガリ(イラン、アサドユニバーシティ)今大会の優勝候補アミール・ザルガリ(イラン、アサドユニバーシティ) (c)Sonoko.Tanaka今回、アジアツアーランキング現在1位のタブリーズペトロケミカル(イラン)、5位のルトゥーア(マレーシア)がレース直前になって出場キャンセル。7日間、計9ステージによって競われる今大会は、ランキング6位に付ける愛三工業レーシングチームにとって、UCIポイントを獲得する絶好のチャンスとなるだろう。

全日本選手権タイムトライアルと日程が重なるため、愛三工業レーシングチームのダブルエース、西谷泰治と盛一大を欠いての参戦となる。代わりエースを託されたのが、チームのキャプテン・綾部勇成と4月のツール・ド・コリアで鎖骨骨折を負った鈴木謙一だ。

イラン遠征から帰ってきたばかりの綾部と、まだ鎖骨にプレートが残っていると話し、復帰初戦となる鈴木。2人とも完全なコンディションとは言えないが、勝負どころの山岳ステージでの活躍が期待されている。

そんな彼らを支えるのが、今年チームに合流した3人の新メンバーだ。中島康晴と3月に大学を卒業したばかりの伊藤雅和と木守望。
今大会は1チーム5人でのエントリーとなるため、彼らにかかる期待は大きい。「山も平地もそつなく走るけど、まだしっかりとした得意分野を見いだしていない3人なので、今回をアピールチャンスと思って走ってくれたらいいと思う。チームの中での役割分担やコミュニケーションの向上も今回の課題になっています」と話すのは綾部勇成キャプテンだ。

 総合上位に期待がかかる綾部勇成キャプテン(愛三工業レーシングチーム) 総合上位に期待がかかる綾部勇成キャプテン(愛三工業レーシングチーム) (c)Sonoko.Tanaka愛三工業レーシングチームは東日本大震災チャリティワッペンを付けての参戦となる愛三工業レーシングチームは東日本大震災チャリティワッペンを付けての参戦となる (c)Sonoko.Tanaka

ライバルとして名前が上がるのは、上りに強いアミール・ザルガリ擁するアサドユニバーシティ(イラン)や弱冠20歳ながらツール・ド・コリア2011で総合優勝したチョイ・キー・ホーの香港ナショナルチームだろう。13の海外チームと7の国内チームが参戦し、120名の選手がスタートラインに立った。

引き続き、レースの模様は現地からお伝えします。


photo&text: Sonoko.Tanaka