ジロ第6ステージはゆるやかなアップダウンのオルヴィエート〜フィウッジ・テルメ間の216kmで行われ、登りのスプリントで他を寄せ付けなかったフランシスコホセ・ベントソ(スペイン、モビスター)が制した。

逃げグループを形成するクリストフ・ファンデワール(ベルギー、クイックステップ)やサーシャ・モードロ(イタリア、コルナゴ・CSFイノックス)逃げグループを形成するクリストフ・ファンデワール(ベルギー、クイックステップ)やサーシャ・モードロ(イタリア、コルナゴ・CSFイノックス) photo:Riccardo Scanferla前日の未舗装路の衝撃から一夜、第6ステージはオルヴィエート〜フィウッジ・テルメ間の216km。ゆるやかに登りと下りを繰り返すが、カテゴリー山岳の無い難易度2/5のステージ。翌日に山頂ゴールが待ち受けるとあって、総合狙いの選手は足を休ませたいところ。

そんな日はステージ狙いの中堅選手にとっては狙い目の日。序盤に形成された逃げグループは5人。ヤロスラフ・ポポヴィッチ(ウクライナ、レディオシャック)サーシャ・モードロ(イタリア、コルナゴ・CSFイノックス)、クリストフ・ファンデワール(ベルギー、クイックステップ)ユッシ・ヴェッカネン(フィンランド、オメガファーマ・ロット)、フレデリック・フェヘレン(ベルギー、ヴァカンソレイユ・DCM)。

ボトルをくわえて走るマリアローザのピーター・ウェーニング(オランダ、ラボバンク)ボトルをくわえて走るマリアローザのピーター・ウェーニング(オランダ、ラボバンク) photo:Kei Tsuji中堅選手と呼ぶには違和感あるポポヴィッチも積極的に先頭を引き、逃げグループは5分ほどの差をレース中盤までに築き上げる。しかしそれ以上の差をステージ優勝狙いのチーム、ファルネーゼヴィーニ・ネーリソットリやリーダーチームのラボバンクが許さない。

残り50kmを切ってタイム差は2分44秒。登りでスプリンターのモードロを欠きながらも逃げグループはこのタイム差をキープし続ける。ファルネーゼヴィーニのペースアップに4名は残り21kmまで対抗する。

逃げ続けるユルゲン・ファンデワール(ベルギー、クイックステップ)ら逃げ続けるユルゲン・ファンデワール(ベルギー、クイックステップ)ら photo:Riccardo Scanferlaやはり登りでポポヴィッチのペースについていけなくなったのはヴェッカネン。3人になった逃げグループはタイム差を1分49秒にまで減らすも依然として奮闘。メイン集団のファルネーゼはオスカル・ガット(イタリア)で狙うために集団前方でペースを刻む。

その集団から残り18kmでアタックを仕掛けたのはステファノ・ピラッツィ(イタリア、コルナゴ・CSFイノックス)。この辺りが地元で発奮するピラッツィは8kmに渡って先頭の3人を追う力走を見せるが、残り10kmから始まる登りに差しかかる前で吸収される。


メイン集団のペースを上げるファルネーゼヴィーニ・ネーリソットリメイン集団のペースを上げるファルネーゼヴィーニ・ネーリソットリ photo:Riccardo Scanferlaこの登りに入って、先頭では動きが生じる。ファンデワールが一気にポポヴィッチとフェヘレンを置き去りにして独走を開始。登りを力強く進んでいく。集団では再度ピラッツィのアタックが見られた他、デーヴィット・ミラー(イギリス、ガーミン・サーヴェロ)がペースを上げる一幕も。

残り5kmで平坦区間に入るとすぐにエマニュエーレ・セッラ(イタリア、アンドローニ・ジョカトーリ)のアタックや、やはり地元のヴァレリオ・アニョーリ(イタリア、リクイガス)が動きを見せるが決まらず。

フランシスコホセ・ベントソ(スペイン、モビスター)に並ぶアレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ・ISD)フランシスコホセ・ベントソ(スペイン、モビスター)に並ぶアレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ・ISD) photo:Kei Tsuji数十秒差で粘ったファンデワールだが、残り1.5kmで大集団に飲み込まれる。ペタッキを擁するランプレ・ISDが先導して集団スプリントへとコマを進めていく。しかしペタッキの発射役ダニーロ・ホンド(ドイツ、ランプレ・ISD)が残り700mと距離を残して先頭に立つと、続くチームが現れず一瞬の間が生まれる。

その隙を見て飛び出したのはダニーロ・ディルーカ(イタリア、カチューシャ)。一気に後続を突き放す伸びを見せるが、これに応じたのはこの日モビスターチームのエースを託されたフランシスコホセ・ベントソ(スペイン、モビスター)。落ち着いて残り150mで先頭に躍り出る。

ベントソの番手に入ったのはマリア。ロッソパッショーネを着るペタッキ。残り100mで横に並びかけるものの失速。ペタッキには珍しくスプリントを途中で断念する諦めを見せる。最後までもがき切ったベントソが先頭でゴールラインを割った。

両手を広げてゴールするフランシスコホセ・ベントソ(スペイン、モビスター)両手を広げてゴールするフランシスコホセ・ベントソ(スペイン、モビスター) photo:Kei Tsuji

この日のような緩い登り坂でのスプリントを得意するベントソは、これまでブエルタ・ア・エスパーニャでの区間優勝をはじめ数々の中級レースでの勝利を量産してきた。今年はすでに5勝をあげる好調ぶりで、このジロの勝利で実力を証明することになった。

総合上位陣は軒並み集団内でゴール。ピーター・ウェーニング(オランダ、ラボバンク)が明日もマリアローザを着る。フミこと別府史之(日本、レディオシャック)は集団内同タイムの57位でゴールしている。

翌第7ステージは今大会発の本格的な山岳ステージにして山頂ゴール。ここまで大きく脱落者を出していない総合狙いの有力選手たちにとって、最初の試練の場となる。距離こそ110kmと短いが、総合成績上位には大いに変動が予想される。


ジロ・デ・イタリア2011第6ステージ結果
1位 フランシスコホセ・ベントソ(スペイン、モビスター)      5h15'39"
2位 アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ・ISD)
3位 ロベルト・フェラーリ(イタリア、アンドローニ・ジョカトーリ)
4位 ダニーロ・ディルーカ(イタリア、カチューシャ)
5位 ダヴィデ・アッポローニオ(イタリア、チームスカイ)
6位 ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、ランプレ・ISD)
7位 クリストフ・ルメヴェル(フランス、ガーミン・サーヴェロ)
8位 ゲラルド・チオレック(ドイツ、クイックステップ)
9位 パオロ・ティラロンゴ(イタリア、アスタナ)
10位 ルッジェーロ・マルツォーリ(イタリア、アックア・エ・サポーネ)
57位 別府史之(日本、レディオシャック)

個人総合成績
1位 ピーター・ウェーニング(オランダ、ラボバンク)       20h15'12"
2位 マルコ・ピノッティ(イタリア、HTC・ハイロード)         +2"
3位 カンスタンティン・シウトソウ(ベラルーシ、HTC・ハイロード)
4位 クリストフ・ルメヴェル(フランス、ガーミン・サーヴェロ)     +5"
5位 パブロ・ラストラス(スペイン、モビスター)            +22"
6位 ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス)        +24"
7位 ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、ランプレ・ISD)        +26"
8位 ステフェン・クルイスウィック(オランダ、ラボバンク)       +28"
9位 アルベルト・コンタドール(スペイン、サクソバンク)        +30"
10位 ホセ・セルパ(コロンビア、アンドローニ・ジョカトーリ)     +33"
68位 別府史之(日本、レディオシャック)              +8'07"

ポイント賞 マリアロッサ・パッシオーネ
アレッサンドロ・ペタッキ(イタリア、ランプレ・ISD)

山岳賞 マリアヴェルデ
マルティン・コーラー(スイス、BMCレーシング)

新人賞 マリアビアンカ
ステフェン・クルイスウィック(オランダ、ラボバンク)

チーム総合成績
モビスター


text:Yufta Omata
photo:Kei Tsuji,Riccardo Scanferla

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