常に赤いジャージが先頭付近で動く。1週間前に惨敗を喫したチームは、攻撃的なレース展開で先頭集団に4人を送り込む。そして勝利を託されたエース辻善光(宇都宮ブリッツェン)がチームの期待に応えた。 JPT予選1組 朝から快晴の白浜JPT予選1組 朝から快晴の白浜 photo:Hideaki.TAKAGI 4月24日(日)、一般社団法人全日本実業団自転車競技連盟が主催する、Jプロツアー第2戦白浜エアポートクリテリウムが、和歌山県白浜町で行われた。 会場は旧白浜空港滑走路跡地を使用するもので、コースは滑走路を往復、エプロン部分のコーナーを含む1周3kmのおよそ平坦、強めの風が常時吹くもの。 女子 中盤から針谷千紗子(サイクルベースあさひレーシング)と堀記理子(クラブシルベスト)の一騎打ち女子 中盤から針谷千紗子(サイクルベースあさひレーシング)と堀記理子(クラブシルベスト)の一騎打ち photo:Hideaki.TAKAGIこの白浜大会は以前に実業団レースが行われていたが、今年のカレンダーには当初無かった。3月の東日本大震災で中止になった大会を補うべく、急遽Jプロツアー(JPT)を含む大会が開催されたものだ。 今回は以前と同じく、実業団ロードの全カテゴリーと市民レース、チーム対抗ママチャリレースとの併催だ。 針谷千紗子がスプリントを制する JPTに先立ってE1クラス、E2/3クラス、女子のFクラスが行われた。 E2/3クラスは予選を通過した50名により行われた。スタート直後から活発なアタックがかかるがゴールまでにはすべて吸収、ロングスパートをかけた長野耕治(エキップユーレーシング)が優勝。長野は1週間前の舞洲クリテE3でも優勝した、元マトリックスパワータグに所属していた選手。2週続けて圧倒的なスプリントでゴールを制した。 E2/3 長野耕治(エキップユーレーシング)が優勝E2/3 長野耕治(エキップユーレーシング)が優勝 photo:Hideaki.TAKAGIE1クラスも決勝は50名で行われた。数名の逃げが続く展開だったがゴールまでにはこれらも吸収、集団スプリントを制したのは大永剛志(トラクターRC)。 女子は中盤から針谷千紗子(サイクルベースあさひレーシング)と堀記理子(クラブシルベスト)の2人が抜け出して周回を重ねゴールへ。堀が先行するが針谷がこれをかわして優勝。スピードのある堀をスプリントで下した針谷は、幸先良いシーズンインを果たした。
E1 大永剛志(トラクターRC)が優勝E1 大永剛志(トラクターRC)が優勝 photo:Hideaki.TAKAGI「絶対に負けられない戦い」宇都宮ブリッツェン 1週間前のJPT初戦、舞洲クリテでは澤田賢匠(CIERVO NARA PROCYCLINGTEAM)がスタート直後から逃げ切ってしまう圧巻の走りでルビーレッドジャージを獲得。いっぽうの宇都宮ブリッツェンは追撃がかみ合わずに辻善光の5位が最高位。メイン集団内では最高位だっただけに、調子は良かったものの展開が味方しなかった。コンチネンタルチームでは唯一のフルメンバー出場にもかかわらず、惨敗とも言える結果だった。この白浜大会を「絶対に負けられない戦い」として、栗村修監督は前日やレース前のミーティングで選手たちにプレッシャーをかけ、レースに臨んだ。
JPT スタート前、集中する辻善光(宇都宮ブリッツェン)JPT スタート前、集中する辻善光(宇都宮ブリッツェン) photo:Hideaki.TAKAGI決勝は予選を勝ち抜いた50名、15周の45kmで行われた。約1時間のレースはスタートからアタックがかかる。全員が決勝に上がった宇都宮ブリッツェンと湘南ベルマーレ勢を中心に、チームユーラシア、愛三工業、なるしまフレンド、チームマッサ、アクアタマなどがアタックに加わる。常に数人が10秒程度の差で逃げている状態だ。 20分経過してようやく逃げの体制ができる。廣瀬佳正(宇都宮ブリッツェン)に大久保陣(パールイズミ・スミタ・ラバネロ)、内野直也(湘南ベルマーレ)、初山翔(宇都宮ブリッツェン)が追いつく。さらに五十嵐丈士(Fuji-Cyclingtime.com Japon)、向山浩司(GRUPPO ACQUA TAMA)、大場政登志(Team Eurasia-Fondriest Bikes)、斉藤祥太(湘南ベルマーレ)、加地邦彦(なるしまフレンドレーシングチーム八王子)が追いつく。
JPT 48分経過、先頭の12人JPT 48分経過、先頭の12人 photo:Hideaki.TAKAGIさらに辻貴光(CIERVO NARA PROCYCLINGTEAM)、小室雅成(湘南ベルマーレ)、辻善光(宇都宮ブリッツェン)、小渡健悟(エルドラード)が追いつき先頭は13人に。 13人の先頭からさらに廣瀬、初山、辻善光、小室、斉藤、小渡の6人が抜け出す。メイン集団は澤田らの引きで残る7人を吸収、ここから小畑郁(なるしまフレンドレーシングチーム八王子)、五十嵐が合流して先頭は8人に。 12人の先頭集団でゴールへ 中盤過ぎた36分経過時に、メイン集団から澤田、伊藤雅和(愛三工業レーシングチーム)、原川浩介(湘南ベルマーレ)さらに中村誠(宇都宮ブリッツェン)の4人が追い上げて先頭に合流。
JPT 最終周回、アタックする廣瀬佳正(宇都宮ブリッツェン)JPT 最終周回、アタックする廣瀬佳正(宇都宮ブリッツェン) photo:Hideaki.TAKAGIこれでこのレースの上位を占める12人の先頭集団が完成。辻善光、廣瀬、中村、初山、小室、原川、斉藤、五十嵐、小畑、小渡、伊藤、澤田のブリッツェン4人、ベルマーレ3人だ。途中で辻善光が単独落車するが復帰する。 先頭の12人は、メイン集団との差を10秒から徐々に30秒ほどにまであけて、逃げ切りを確定的にさせる。12人の中では辻善光、小室、伊藤、五十嵐らのスプリント力に長ける選手が有力。しかしそれら選手も先頭に出て逃げを引っ張る。 そして最終周回、バックストレートに入ってすぐに廣瀬がアタック。澤田、内野、伊藤そして小畑らが追う。ホームストレートのゴール500m前のコーナーで小室がアタック、辻善光が追走、そしてゴールまでの200mの直線へ。小室先頭で現れたが辻が抜け出して優勝。 JPT 辻善光(宇都宮ブリッツェン)が優勝JPT 辻善光(宇都宮ブリッツェン)が優勝 photo:Hideaki.TAKAGI ブリッツェン勢が最初から最後まで力で圧倒したレースだった。廣瀬のベテランらしい走り、中村の飛びつくスピードも目立ったがやはりエース辻善光の、必ず勝ちを決める力が大きい。この日最もマークされた男が、チームと自身の力で勝利を手に入れた。ベルマーレ勢も積極的な攻撃を繰り返し、特に若い内野の走りが光った。 2週続けてのクリテリウム、上位10人ほどはほぼ同じ。この全員が、アタックを繰り返し自力で先頭に上がった選手たちだ。平坦のレースは面白くない印象があるかもしれない。だが、アタックを繰り返す力と勇気のぶつかり合いのレースは、平坦レースを面白いものに変える。 次のレースは5月下旬のツール・ド・熊野。UCIレースだが、実業団JPT対象レースでもある。次は山岳選手やタフな選手が主役になるレースだ。 JPT 期待された中で勝てる選手になった辻善光(宇都宮ブリッツェン)JPT 期待された中で勝てる選手になった辻善光(宇都宮ブリッツェン) photo:Hideaki.TAKAGI「攻めてもなおスプリントできる体を作った」優勝の辻善光(宇都宮ブリッツェン) 「最後は小室さんとの距離があったが冷静に詰めることができた。チームメイトが凄く動いて、攻めのレースをしたかったので良かった」 「先週の舞洲は自分では最低のレースだった。仲間がいて敵がいるのがレース。思い返せば守りのレースをしていた。今日は自分から攻めるレースをした。攻めてもなお、スプリントできる体を作った」 「1時間のレースなので、冬場のシクロクロスレースの成果が大きい。チームメイトからは、動きすぎるな、と言われたが自分では自信があった。むしろシクロクロスよりも休める」 「勝たなければ宇都宮に帰れなかった」栗村修宇都宮ブリッツェン監督 「今まではチャレンジャーだったが、今日は絶対に勝たなくてはいけないレースだった。勝たなければ宇都宮に帰れない気持ちだった。こういう中で勝つのが難しいことはシマノ時代に経験している」 「優勝候補にあって、優勝すべく優勝したのは初めて。チームの多くの選手は初めてのこと。今回の辻のように期待された中で勝てる選手はほんの一握り」 「今回の攻撃は単発だったので、以前の梅丹チームなどと比べてまだ本当の攻撃型のチームではない。これからの課題だ」 「レースの開催と震災支援活動」株式会社キナン大谷壌士氏 震災対応で急遽この大会は開かれた。これは、今大会主催のNPO法人SPORTS PRODUCE熊野の理事長であり、特別協賛の株式会社キナンの会長でもある角口賀敏氏の決断によるものだ。また同社は震災地域へ物資の支援活動を継続するいっぽうで、温浴施設を石巻市に建設中だ。同社の大谷壌士氏が語る。 「関東のほうで大会が無い、選手が走れる場所が無い、新しいこと明るいことをやらなくてはいけない、その状況で実業団連盟、大阪車連とも協議して、急遽レースを開催することとしました。復興に向けて元気になれるもの、この先を考えるとやはりレースはやっていくべきと皆が判断しました」 「ツール・ド・熊野は、外国チームに対しても放射能などの説明をしっかりして、そのうえで出たいと言うチームがあったので開催します。問題課題が山積なのはわかっていたが、そのことよりもまず先に開催を決めました」 「震災後すぐ現地に入り、2回目に入ったときにお風呂に入りたいという要望がありました。ウチには温浴事業部があります。ならばと宮城県と協議して石巻市萩浜に温浴施設「おぎの浜の湯」を4月28日にオープンさせます」 大谷氏は角口会長と共に白浜のレースのために和歌山へ戻り、翌25日月曜日から再び石巻市へ入っている。建設費やこれら経費はすべて持ち出し。震災支援活動にそして自転車競技普及活動に尽力する様には、ただただ頭が下がる思いだ。 結果 JPT 45km 1位 辻善光(宇都宮ブリッツェン)59分19秒 2位 小室雅成(湘南ベルマーレ) 3位 五十嵐丈士(Fuji-Cyclingtime.com Japon)+01秒 4位 小畑郁(なるしまフレンドレーシングチーム八王子)+02秒 5位 中村誠(宇都宮ブリッツェン) 6位 小渡健悟(エルドラード)+03秒 7位 廣瀬佳正(宇都宮ブリッツェン)+04秒 8位 原川浩介(湘南ベルマーレ) 9位 伊藤雅和(愛三工業レーシングチーム) 10位 澤田賢匠(CIERVO NARA PROCYCLINGTEAM)+06秒 F1/F2クラス 15km 1位 針谷千紗子(サイクルベースあさひレーシング)29分00秒 2位 堀記理子(クラブシルベスト) 3位 坂口聖香(Ready Go JAPAN)+1分17秒 E1クラス 30km 1位 大永剛志(トラクターRC)41分27秒 2位 佐藤信哉(VC Fukuoka) 3位 辻俊行(Tacurino.net) 4位 所司純一(TEAM☆ルパン・ttm) 5位 松尾修作(Fuji-Cyclingtime.com) 6位 渥美守弘(SPADE・ACE)+01秒 E2/3クラス 18km 1位 長野耕治(エキップユーレーシング)48分29秒(中断含む) 2位 河賀雄大(立命館大学自転車競技部) 3位 村田俊樹(明星大学体育会自転車競技部)+01秒 4位 岩橋賦(チームCB+) 5位 永松良介(クラブシルベスト) 6位 森崎平(湘南ベルマーレクラブ) photo&text:高木秀彰
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