ジロ・デル・トレンティーノの最終日となる第4ステージ。1級山岳にゴールする山岳ステージで、ロマン・クロイツィゲル(チェコ、アスタナ)が今季初優勝を飾った。リーダージャージを着るミケーレ・スカルポーニ(イタリア、ランプレ・ISD)はタイム差をキープして総合優勝を獲得。日本人3選手は過酷な山岳レースを走りきった。現地から田中苑子が伝える。

北イタリアの美しい大自然のなかを走り抜ける選手たち北イタリアの美しい大自然のなかを走り抜ける選手たち photo:Sonoko.TANAKA

スタートを待つダンジェロ&アンティヌッチィ・株式会社NIPPOチームスタートを待つダンジェロ&アンティヌッチィ・株式会社NIPPOチーム photo:Sonoko.TANAKAスカルポーニの総合優勝で幕を閉じた難関山岳レース

ジロ・デル・トレンティーノ第4ステージはアンダーロからマドンナ・ ディ・カンピーリオまでの161.5km。2級山岳を2つ越えて、1級山岳にゴールするコースレイアウトだ。爽やかな日差しに囲まれたドロミテ渓谷を舞台に、最後のステージがスタートした。

レースは序盤に、ロマン・クロイツィゲル(チェコ、アスタナ)、エマヌエル・セッラ(イタリア、アンドローニ・ジョカトーリ)、ヤロスラフ・ポポヴィッチ(ウクライナ、レディオシャック)、マッテオ・モントゥッティ(イタリア、アージェードゥーゼル)、アンヘル・ビシオソ(スペイン、アンドローニ・ジョカトーリ)、5人の逃げが決まる。

序盤に決まったロマン・クロイツィゲル(チェコ、アスタナ)ら5人の逃げ集団序盤に決まったロマン・クロイツィゲル(チェコ、アスタナ)ら5人の逃げ集団 photo:Sonoko.TANAKA逃げグループは最大で5-6分ほど集団を引き離すが、第3ステージ終了時で総合リーダーのミケーレ・スカルポーニ(イタリア、ランプレ・ISD)と逃げに乗るクロイツィゲルとの総合タイム差は3分。逆転される可能性もあるため、スカルポーニ擁するランプレは集団とのタイム差を入念にコントロールしていた。

ゴール手前1級山岳の登りが始まると、先頭はクロイツィゲル、ポポヴィッチ、セッラに絞られる。集団から総合上位の選手が加速するが追いつけず、クロイツィゲルが今季初優勝を掴んだ。

トップと24秒差の追走集団で、総合3位までのスカルポーニやティアゴ・マシャド(ポルトガル、レディオシャック)、ルーカ・アスカーニ(イタリア、ダンジェロ&アンティヌッチィ・株式会社NIPPO)らがゴール。総合順位に変動はなく、スカルエマヌエル・セッラ(イタリア、アンドローニ・ジョカトーリ)を打倒してステージ優勝したロマン・クロイツィゲル(チェコ、アスタナ)エマヌエル・セッラ(イタリア、アンドローニ・ジョカトーリ)を打倒してステージ優勝したロマン・クロイツィゲル(チェコ、アスタナ) photo:CorVosポーニが総合優勝した。

スカルポーニは言う「このレースでの狙いは、ジロ・デ・イタリアに向けたコンディションをテストすること。そしていい感触を掴んでいる。チームメイトもとても強く、いろんなシチュエーションでも有利に戦えるだろうね」。5月7日からのジロ・デ・イタリアでは優勝候補に挙げられるスカルポーニ。今季早めに仕上がった好調を示す結果となった。


それぞれの思いで最終ステージに挑んだ日本人3選手

「今日もトマをアシストするのが仕事です!」とスタート前に話していたのは新城幸也(ユーロップカー)。その言葉のとおり、登り口にかけて集団のペースアップに貢献。エースのトマ・ヴォクレール(フランス、ユーロップカー)のステージ4位、総合8位から7位へのランクアップを助け、ツール・ド・ロマンディが開催されるスイスへと旅立った。

グルペットで登る新城幸也(ユーロップカー)は笑顔を見せるグルペットで登る新城幸也(ユーロップカー)は笑顔を見せる photo:Sonoko.TANAKA 1級山岳を登る佐野淳哉(ダンジェロ&アンティヌッチィ・株式会社NIPPO) 1級山岳を登る佐野淳哉(ダンジェロ&アンティヌッチィ・株式会社NIPPO) photo:Sonoko.TANAKA

佐野淳哉(ダンジェロ&アンティヌッチィ・株式会社NIPPO)は第3ステージを終えて「グルペットに入ってしまうと、そこから飛び出すことは難しく、自分の力が出し切れずに終わってしまうのが心残り」と話していた。最終ステージは、チームのエース、ルーカ・アスカーニ(イタリア)のアシストをしながらも、自分の力を出し切ることも目標として走り、トップから6分41秒差の51位でゴールした。決して悪い成績ではなく、大門宏監督も「昨年よりも強くなっている」と言うが、今回味わったトップとの“差”を今後の課題とした。

完走で終えた内間康平の初挑戦

プロ1年目の内間康平(ダンジェロ&アンティヌッチィ・株式会社NIPPO)も総合108位で無事に完走した。今春、大学を卒業したばかり。険しいドロミテの山岳ステージを前に、当初は完走できるか否か、と言われていたが、高い実力を示すことができた。「まだまだ脚は足りない」と話し、今後に繋がる収穫豊かなビッグレース参戦となった。なお内間のインタビュー記事は追ってお伝えする。


ステージ優勝したロマン・クロイツィゲル(チェコ、アスタナ)ステージ優勝したロマン・クロイツィゲル(チェコ、アスタナ) photo:Sonoko.TANAKAジロ・デル・トレンティーノ2011第4ステージ結果
1位 ロマン・クロイツィゲル(チェコ、アスタナ)4h09'03"
2位 エマヌエル・セッラ(イタリア、アンドローニ・ジョカトーリ)
3位 ヤロスラフ・ポポヴィッチ(ウクライナ、レディオシャック)+8"
4位 トマ・ヴォクレール(フランス、ユーロップカー)+24"
5位 ティアゴ・マシャド(ポルトガル、レディオシャック)
6位 ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、ランプレ・ISD)
7位 ルーカ・アスカーニ(イタリア、ダンジェロ&アンティヌッチィ・株式会社NIPPO)
8位 ホセ・ルハノ(ベネズエラ、アンドローニ・ジョカトーリ)
9位 ファビオアンドレス・ドゥアルテ(コロンビア、ジェオックス・TMC)
10位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、コルナゴ・CSFイノックス)
53位 佐野淳哉(ダンジェロ&アンティヌッチィ・株式会社NIPPO)+6'41"
88位 新城幸也(ユーロップカー)+17'13"
100位 内間康平(ダンジェロ&アンティヌッチィ・株式会社NIPPO)+18'48"

総合順位1位から3位の表彰総合順位1位から3位の表彰 photo:Sonoko.TANAKA総合順位
1位 ミケーレ・スカルポーニ(イタリア、ランプレ・ISD)13h54'07"
2位 ティアゴ・マシャド(ポルトガル、レディオシャック)+7"
3位 ルーカ・アスカーニ(イタリア、ダンジェロ&アンティヌッチィ・株式会社NIPPO)+33"
4位 ドメニコ・ポッツォヴィーヴォ(イタリア、コルナゴ・CSFイノックス)+35"
5位 スティーブ・モラビート(スイス、BMCレーシングチーム)+38"
6位 ロベルト・キセルトヴスキ(クロアチア、アスタナ)+42"
7位 トマ・ヴォクレール(フランス、ユーロップカー)+1'12"
8位 ホセ・ルハノ(ベネズエラ、アンドローニ・ジョカトーリ)+1'18"
ヴィンチェンツォ・ニーバリ(リクイガス・キャノンデール)はキャノンデールの新型バイクを実戦投入ヴィンチェンツォ・ニーバリ(リクイガス・キャノンデール)はキャノンデールの新型バイクを実戦投入 photo:Sonoko.TANAKA9位 ウラディミール・ミホロヴィッチ(クロアチア・アックア・エ・サポーネ)+1'35"
10位 ファビオアンドレス・ドゥアルテ(コロンビア、ジェオックス・TMC)+1'42"
68位 佐野淳哉(ダンジェロ&アンティヌッチィ・株式会社NIPPO)+26'39"
97位 新城幸也(ユーロップカー)+41'55"
108位 内間康平(ダンジェロ&アンティヌッチィ・株式会社NIPPO)+47'06"

新人賞
ステファノ・ピラッツィ(イタリア、コルナゴ・CSFイノックス)

山岳賞
ロマン・クロイツィゲル(チェコ、アスタナ)

ポイント賞
マッテオ・モントゥッティ(イタリア、アージェードゥーゼル)

チーム首位
アスタナ

text&photo:Sonoko.TANAKA

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