彰化縣で開催された、136.05kmのツール・ド・台湾第6ステージ。ステージを制したのは、ドラパックのアダム・センプル。ステージ優勝を狙っていたという綾部勇成(日本ナショナル)は5位、鈴木真理(シマノレーシング)は7位でレースを終えた。

たくさんの観客の声援を受けてパレード走行する選手たちたくさんの観客の声援を受けてパレード走行する選手たち (c)Sonoko.TANAKA

21歳のアダム・センプル(オーストラリア、ドラパック)が制す

台湾中部の彰化縣は毎年レースに組み込まれるお馴染みのコース。さらに去年は日本チャンピオン・宮澤崇史(ファルネーゼヴィーニ・ネーリソットリ)が優勝し、鈴木真理(シマノレーシング)が2位、一昨年は鈴木真理が優勝しているという、日本人選手にとって相性のいいステージでもある。

大仏が見守るスタート前、ジャージ着用選手が表彰される アジアリーダーの 鈴木真理(日本ナショナル)大仏が見守るスタート前、ジャージ着用選手が表彰される アジアリーダーの 鈴木真理(日本ナショナル) (c)Sonoko.TANAKAスタート地点に華を添える(?)マスコットスタート地点に華を添える(?)マスコット (c)Sonoko.TANAKA

コースは序盤に2級山岳を越えるが、ほぼフラット。しかし、ゴール前1kmを切ってから、クネクネと左右カーブを描きながら急激に登るのが特徴だ。ゴール手前の最高勾配は10%程度あるように見える。

レースは、終盤に最大でタイム差約1分という3人(シーケオン・ロー(マレーシア、マレーシアナショナル)、ワン・カンポー(香港、香港ナショナル)、マイケル・シェラー(アメリカ、ケリー・ベネフィット・ストレタジース))の逃げが決まったほかに大きな動きはなかった。しかし、その逃げも残り30-40kmで吸収される。

彰化縣、大仏前からスタート彰化縣、大仏前からスタート (c)Sonoko.TANAKA手書きのKOMポイント手書きのKOMポイント (c)Sonoko.TANAKA

ゴールは例年どおり、集団で迎えることになった。位置取りが勝負、というこのコースを制したのは今大会、好調ぶりが光るドラパック勢。21歳のアダム・センプル(オーストラリア)が残り200mから前に出て、ディーン・ダウニング(イギリス、ラファ・コンドール・シャープ)をかわし、ゴールラインで大きく両手を広げた。「200mの長いスプリントだったけど、今日はチームの動きがパーフェクトだった!」と振り返る。

ステージ優勝したアダム・センプル(オーストラリア、ドラパック)ステージ優勝したアダム・センプル(オーストラリア、ドラパック) (c)Sonoko.TANAKA綾部勇成(日本ナショナルチーム)を含む集団がトップから2秒遅れでゴールする綾部勇成(日本ナショナルチーム)を含む集団がトップから2秒遅れでゴールする (c)Sonoko.TANAKA

総合順位は、スプリントポイントでボーナスタイムを獲得したソウラビ・メディ(イラン、タブリーズ・ペトロケミカル)が首位に浮上。チームメイトのマルクス・アイベッガー(オーストリア)からリーダージャージが移った。

総合リーダーだけでなく、山岳リーダー、アジアリーダーと3枚のジャージを獲得し、さらにチームランキングもトップというタブリーズ・ペトロケミカル。最終ステージが超級山岳の山頂ゴールとなるため、最後まで気を抜けないよ、と言うが、この先もレースをコントロールするのは、間違いなく同チームだ。

タブリーズ・ペトロケミカルがコントロールするメイン集団タブリーズ・ペトロケミカルがコントロールするメイン集団 (c)Sonoko.TANAKA2級の山岳ポイントを1位通過するソウラビ・メディ(イラン、タブリーズ・ペトロケミカル)2級の山岳ポイントを1位通過するソウラビ・メディ(イラン、タブリーズ・ペトロケミカル) (c)Sonoko.TANAKA


「狙っていたから悔しい!」うまく動けなかった日本勢

ステージ優勝を狙う鈴木真理擁するシマノレーシングは、カーブが続く上り坂を前にチームがうまく機能しなかった。鈴木にレースを振り返ってもらった。
「上り坂の手前、残り1kmを切った最初のカーブに入る順番が、そのままゴール順位になってしまった。カーブでは1人か2人抜くのが限界。それ以上前には行けなかった。

期待がかかっていた鈴木真理(シマノレーシング)は7位でフィニッシュ期待がかかっていた鈴木真理(シマノレーシング)は7位でフィニッシュ (c)Sonoko.TANAKA悔しい思いをした綾部勇成(日本ナショナルチーム)悔しい思いをした綾部勇成(日本ナショナルチーム) (c)Sonoko.TANAKA

最初のカーブで、前に行けなかったのは、チームの連係がうまくいかなかったのが原因。若い選手も多く、チーム内での意思疎通がうまくいかなかった。また集団内の選手から「今日は勝つんだろ?」と声をかけられることが多く、チームがレースを仕切らないといけない雰囲気もあった。

これからのステージ、もちろんステージ優勝も狙っていくけど、総合上位も狙いたい。大逃げが決まるなら、それに乗るようにしたいですね。」

さらに日本ナショナルチームでは綾部勇成が悔しさを滲ませていた。トップから2秒遅れ、追走集団でのスプリントを制し、ステージ5位となったが、本人は今季2勝目となるステージ優勝を狙っていた。

レースを終えた日本ナショナルチームレースを終えた日本ナショナルチーム (c)Sonoko.TANAKA2秒遅れの集団でゴールする佐野淳哉(ダンジェロ&アンティヌッチィ・NIPPO)2秒遅れの集団でゴールする佐野淳哉(ダンジェロ&アンティヌッチィ・NIPPO) (c)Sonoko.TANAKA

綾部は「左右2つのラインで上がっていったが、ドラパックのトレインから外れた選手に前を阻まれてしまった。残り200mくらいで踏み直したけど、トップには追いつけなかった。登りのスプリントは得意なので、今日はかなり狙っていました。位置取りのせいにはできないけど、本当に悔しいですね。

ランカウイのあと、体調を崩したり、故障したりで、しっかりとトレーニングができていなかったので、まだコンディションは万全とは言えないけど、このレースでしっかりとコンディションを上げていきたい。明日は平坦なので、きっと西谷選手が勝ってくれますよ!」とコメント。愛三工業レーシングチームのチームメイト、西谷泰治に悔しさのバトンを託した。

明日、第7ステージは129.53kmの平坦ステージ。地元のジャーナリストは追い風が吹いて高速レースになるだろう、と言う。ピュアスプリンターの出番だ。


リーダージャージを獲得したソウラビ・メディ(イラン、タブリーズ・ペトロケミカル)リーダージャージを獲得したソウラビ・メディ(イラン、タブリーズ・ペトロケミカル) (c)Sonoko.TANAKAリザルト
ステージ順位

1 アダム・センプル(オーストラリア、ドラパック)3:06:30
2 ディーン・ダウニング(イギリス、ラファ・コンドール・シャープ)
3 チャンジェ・ジャン(韓国、韓国ナショナル) +00:02
5 綾部 勇成(日本ナショナル)
7 鈴木真理(日本ナショナル)
11 清水都貴(日本ナショナル)
20 村上純平(シマノレーシング)
22 鈴木讓(シマノレーシング)
28 佐野淳哉(ダンジェロ&アンティヌッチィ・株式会社NIPPO)
32 吉田隼人(日本ナショナル)
35 伊丹健治(日本ナショナル)
55 西薗良太(シマノレーシング)
74 青柳憲輝(シマノレーシング)
84 福島晋一(日本ナショナル)+01:39
85 西谷泰治(日本ナショナル)
88 畑中勇介(シマノレーシング)+01:48

総合順位
1 ソウラビ・メディ(イラン、タブリーズ・ペトロケミカル)17:33:48
2 マルクス・アイベッガー(オーストリア、タブリーズ・ペトロケミカル)+0:02
3 マッキャン・デヴィッド(アイルランド、ジャイアント・ケンダ)+0:21
7 鈴木真理(シマノレーシング)+1:29
9 佐野淳哉(ダンジェロ&アンティヌッチィ・株式会社NIPPO) +1:31
10 村上純平(シマノレーシング) +1:33
13 鈴木讓(シマノレーシング) +1:39
17 吉田隼人(日本ナショナル) +1:40
27 綾部 勇成(日本ナショナル)+2:18
30 西薗良太(シマノレーシング) +2:22
32 伊丹健治(日本ナショナル) +2:25
33 清水都貴(日本ナショナル)+2:25
40 青柳憲輝(シマノレーシング)+3:28
45 西谷泰治(日本ナショナル) +4:46
46 畑中勇介(シマノレーシング)+4:54
84 福島晋一(日本ナショナル) +35:12


ポイントリーダー
オジャヴィ・マート(エストニア、チャンピオンシステム)

山岳ポイントリーダー
ソウラビ・メディ(イラン、タブリーズ・ペトロケミカル)

アジアンリーダー
ソウラビ・メディ(イラン、タブリーズ・ペトロケミカル)

photo&text.Sonoko.TANAKA

最新ニュース(全ジャンル)