3月19日~28日、プロローグ+9ステージの合計10日間で争われるツール・ド・台湾(UCIアジアツアー2.2)が開催されている。日本から近いこともあり、日本ナショナルチームやコンチネンタルチームが毎年のように参戦しているお馴染みのレースでもある。

台湾の都市部を走るクリテリウム台湾の都市部を走るクリテリウム http://www.cycling.org.tw/

ツール・ド・台湾 見どころ 10日間1,137キロの闘い

今年のレースを見ていこう。3月19日、プロローグとして個人タイムトライアルが台湾最大の都市・台北市内で行われた。アジア最高峰の自転車ショーである台北ショーの最終日と重なっており、会場には自転車業界関係者を始め、多くの観客が集まった。コースは、台北101の前を通る1kmの周回を2周する2km。

翌第1ステージも同じコースを使った48キロのクリテリウムだ。そして第2ステージからラインレースが始まる。第9ステージまでで台北を起点に反時計回りで台湾を1周するようなレイアウトで、総走行距離は1137.65km。全ステージを通して島の地形らしく起伏に富んでいるが、第4ステージと第9ステージは高低差800メートルの急な登りがあり、難関のステージとなるだろう。とくに第4ステージは走行距離も182キロと、大会中最も長い。

いいメンバーが揃った日本ナショナルチームいいメンバーが揃った日本ナショナルチーム (c)Sonoko.TANAKA第3ステージ、ゴール後のシマノレーシング第3ステージ、ゴール後のシマノレーシング (c)Sonoko.TANAKA

国内外20チーム、日本人選手は14名がエントリー

主要参加チームを見ていこう。まずは国内チーム。日本人選手にとって、大きな目標となるのが、オリンピック出場枠をかけたアジア国別ランキングの向上。そのためにUCIポイントを獲得することが責務となる。昨年度は2位で1位のイランに大きく差を広げられた。なんとしてでもイランからポイントを奪うこと、そして2位のポジションを最低でも守り抜くことが課題だ。UCIポイント獲得に関しては、ナショナルチームだけでなく、参加チームすべての日本人選手が意識している。

ナショナルチームのメンバーは福島晋一(トレンガヌ・プロアジア)をトップに、チームブリヂストン・アンカーから清水都貴と伊丹健治、愛三工業レーシングチームから綾部勇成と西谷泰治、そして鹿屋体育大学の吉田隼人を加えた6名。選手1人1人の実力派もちろん、非常にバランスのとれたチームに仕上がっているように感じる。

次はシマノレーシング。鈴木真理に畑中勇介、鈴木謙、村上純平、さらに注目はプロレーサー1年目、学生出身の西薗良太と青柳憲輝がエントリーする。

シマノレーシング野寺秀徳監督シマノレーシング野寺秀徳監督 (c)Sonoko.TANAKA野寺監督にチームの印象を聞いた。
「一つ一つのステージで、優勝を狙って、その次に総合を狙えたらいいと思います。UCIレースがシーズン前半に多いので、今年はこの時期からコンディションができあがってきています。勝てる自信はありますよ。
西園と青柳、学生出身の2人はすごく強い。即戦力として問題なく戦えるが、今回はプロのレースを知ってもらいたいので、アシストとしての仕事を担当します。そのなかでチームに馴染んだり、レースの状況でどう動くのか、考えられるようになってくれたらと考えています」。

さらにイタリアから参加しているダンジェロ&アンティヌッチィ・株式会社NIPPOは佐野淳哉と菊池誠晃の2人の日本人選手がエントリー。チームの指揮を執るのは、2000年ツールでマイヨジョーヌを着ているアルベルト・エッリ監督だ。2月下旬のツアー・オブ・サウスアフリカでステージ3勝を挙げたメンバーを軸に、調子のいいメンバーを揃えてきた。

「チームの目標はステージ優勝。スプリントになったら、リッチオ・ベルナルドで狙う。佐野は日を追うごとにコンディションを上げているので楽しみだね」とエッリ監督は言う。

橋川健氏(ダンジェロ&アンティヌッチィ・NIPPO)がメカニックとして帯同橋川健氏(ダンジェロ&アンティヌッチィ・NIPPO)がメカニックとして帯同 (c)Sonoko.TANAKAラファ・コンドール・シャープとドラパック・ポルシェなど欧州チームも参戦ラファ・コンドール・シャープとドラパック・ポルシェなど欧州チームも参戦 (c)Sonoko.TANAKA

次に国外の有力チーム。日本の五輪枠に大きく関わるのが、アジアの強豪イランだ。今回はタブリーズ・ペトロケミカルが参戦。今回もソウラビ・メディ(イラン、タブリーズ・ペトロケミカル)らアジアツアー常勝選手が揃う。

日本ナショナルチーム、高橋松吉監督は言う。「現段階では日本のほうがポイントを獲得しているけど、シーズン中イランは国内でいくつものUCIレースを持っている。さすがにイランまで遠征に行くことは難しいので、そこで巻き返されないようにできるだけポイントを稼いでいきたいですね」。
毎ステージ上位3人と、総合8位以内がポイント獲得圏内となる。

さらにイギリスからラファ・コンドール・シャープ、オーストラリアからドラパック・ポルシェ、アジアもワン・カンポー擁する香港ナショナルチーム、パク・スンベクの韓国ナショナルチームなど、13の国と地域、全18チームが参戦する。

雨の中応援に駆けつけた子どもたち雨の中応援に駆けつけた子どもたち (c)Sonoko.TANAKAレース日程
プロローグ 3月19日 台北 2km(個人タイムトライアル) 
第1ステージ 3月20日 台北 60km
第2ステージ 3月21日 新北市 118.01km
第3ステージ 3月22日 桃園縣 114.6km
第4ステージ 3月23日 新竹?日月潭 182.67km
第5ステージ 3月24日 台中市 111.22km
第6ステージ 3月25日 彰化縣 136.05km
第7ステージ 3月26日 奉天宮?高雄 129.53km
第8ステージ 3月27日 台東?花蓮 165.88km
第9ステージ 3月28日 宜蘭?陽明山 117.69km


参加チーム
香港(香港)
シマノレーシング(日本)
アクションサイクリング(台湾)
ドラパック(オーストラリア)
タブリーズ・ペトロケミカル(イラン)
ラファ・コンドール・シャープ(イギリス)
ダンジェロ&アンティヌッチィ・株式会社NIPPO(イタリア)
マックスサクセススポーツ(中国)
韓国(韓国)
オランダ(オランダ)
日本(日本)
ケリー・ベネフィット・ストレタジース(アメリカ)
マレーシア(マレーシア)
チャンピオンシステム(香港)
ジャイアント・ケンダ(台湾)
ポリゴンスイートナイス(インドネシア)
エクススター(台湾)
センター・メリダ・台湾(台湾)


photo&text Sonoko.TANAKA