3月11日、ロンヌ~エクス・アン・プロヴァンス間の27kmで行われたパリ~ニース第6ステージの個人タイムトライアルはトニ・マルティン(ドイツ、HTC・ハイロード)が2位のブラッドリー・ウィギンス(イギリス、チームスカイ)に20秒の差をつけてステージ優勝し、リーダージャージも獲得した。

トップタイムをマークしたトニ・マルティン(ドイツ、HTCハイロード)トップタイムをマークしたトニ・マルティン(ドイツ、HTCハイロード) (c)CorVos

アンドレアス・クレーデン(ドイツ、レディオシャック)はマイヨジョーヌを守れるか?アンドレアス・クレーデン(ドイツ、レディオシャック)はマイヨジョーヌを守れるか? (c)CorVosフランス南部のデュランス川沿いの27kmコースで行なわれる第6ステージ・個人タイムトライアル。高低差にして約200mある決してやさしくはないコースが総合上位陣をふるいにかける。パリニースの歴史において、伝統的に続いてきた個人TTが廃止され、27kmの長い個人タイムトライアルが設定されたのは1968年ぶりのことだ。

最初の1時間で好タイムをマークしたのはリエーベ・ヴェストラ(オランダ、ヴァカンソレイユ・DCM)。34分21秒のタイムは、 リッチー・ポルト(オーストラリア、サクソバンク・サンガード)が33分53秒の高タイムを出したことで破られる。

ポルトは1分前にスタートしたティジェイ・ヴァンガーデレン(オーストラリア、チームHTCコロンビア)に追いついてゴー中間計測タイムでもトップをマークしたトニ・マルティン(ドイツ、HTCハイロード) 中間計測タイムでもトップをマークしたトニ・マルティン(ドイツ、HTCハイロード)  (c)CorVosル。総合を12位まで上げた。期待の若手ヴァンガーデレンも、最終的にはステージ10位の好タイムだ。ここから総合上位を争う選手たちによるタイム更新が始まった。

イギリスチャンピオンジャージに身を包むブラドレー・ウィギンス(イギリス、チームスカイ)はポルトのタイムをさらに9秒上回る。
しかし中間計測ポイントですでにウィギンスを22秒、そしてリーダージャージのクレーデンを26秒上回る好タイムで通過したのはドイツチャンピオンジャージを着るトニ・マルティン(ドイツ、HTC・ハイロード)。マルティンは平均時速48.5kmをマークし、ウィギンスに20秒、ポルトに29秒、平均時速48.5km/hでフィニッシュした。

マイヨジョーヌを着たアンドレアス・クレーデン(ドイツ、レディオシャック)マイヨジョーヌを着たアンドレアス・クレーデン(ドイツ、レディオシャック) (c)CorVos個人タイムトライアルを得意とするマルティンはスタートする前からステージ優勝候補だったが、ここでクレーデンに36秒差をもってリーダージャージであるマイヨジョーヌを奪った。

マルティンは2月末のヴォルタ・アン・アルガルヴェで個人TTを制して総合優勝したばかり。ツール・ド・フランス2010のプロローグでもファビアン・カンチェラーラに次ぐ2位になっているとおりTT能力が光る。2009年大会では山岳ステージで積極的に逃げて山岳賞を、ここエクス・アン・プロヴァンスの地において獲得している。

残り2日間は厳しい山岳ステージが続く。マルティンと2位クレーデンのタイム差は36秒と、大きなものだ。山岳の力をマルティンに20秒遅れで2位に終わったブラドレー・ウィギンス(イギリス、チームスカイ)マルティンに20秒遅れで2位に終わったブラドレー・ウィギンス(イギリス、チームスカイ) (c)CorVos強化しているマルティンにとって、まずは確実にレースを運びさえすれば守れるタイム差と言っていいものだ。

なお新人賞がロベルト・キセロフスキー(クロアチア、アスタナ)からレイン・ターラマエ(エストニア、コフィディス)の手に、チーム総合成績がヴァカンソレイユ・DCMからレディオシャックにの手に移った。


ステージ優勝のトニ・マルティン(ドイツ、HTC・ハイロード)のコメント

「僕にとって最適なコースだった。路面が良くてコーナーはテクニカルすぎず、ここでならいい結果が出せることは確信していた。最初から全開で行き、中間チェックポイントではタイム差を得た。そして最後の上りに全てを集中して臨んだ。

ステージ勝利とともにマイヨジョーヌを獲得したトニ・マルティン(ドイツ、HTCハイロード) ステージ勝利とともにマイヨジョーヌを獲得したトニ・マルティン(ドイツ、HTCハイロード)  (c)CorVos昨日は山岳で厳しいライディングをこなした。でも昨日の影響はまったく残っていなかった。特別な戦術はとっていない。たざオールアウトまで走るのみだったんだ。

マーティンは残り2つの山岳ステージを前に意欲をのぞかせる。「僕には自信がある。リーダージャージは最後のニースまで守り通す。でもこのようなナーバスなレースでは、確実なものなんて有りはしない。

パリ~ニースは僕の好きなレース。2年前、僕はここで山岳賞ジャージをとって、いつの日かこのレースに勝つ日が来るとずっと思い続けてきた。いいチャンスに恵まれていると思う」。

(選手コメントはチーム公式サイトより)

パリ~ニース2011第5ステージ結果
1位 トニ・マルティン(ドイツ、HTCハイロード)           33'24"
2位 ブラドレー・ウィギンス(イギリス、チームスカイ)       +20"
3位 リッチー・ポルト(オーストラリア、サクソバンク・サンガード)  +29"
4位 アンドレアス・クレーデン(ドイツ、レディオシャック)      +46"
5位 ジャンクリストフ・ペロー(フランス、アージェードゥーゼル)   +55"
6位 リエーベ・ヴェストラ(オランダ、ヴァカンソレイユDCM)    +57"
7位 アンドリュー・タランスキー(アメリカ、ガーミン・サーヴェロ)  +1'05"
8位 レイン・ターラマエ(エストニア、コフィディス)         +1'10"
9位 リーヴァイ・ライプハイマー(アメリカ、レディオシャック)
10位 タジェイ・ヴァンガーデレン(アメリカ、チームHTCコロンビア)+1'29"

個人総合成績
1位 トニ・マルティン(ドイツ、HTCハイロード)         24h59'47"
2位 アンドレアス・クレーデン(ドイツ、レディオシャック)      +36"
3位 ブラドレー・ウィギンス(イギリス、チームスカイ)      +39"
4位 レイン・ターラマエ(エストニア、コフィディス)        +1'10"
5位 ジャンクリストフ・ペロー(フランス、アージェードゥーゼル)  +1'14"
6位 リーヴァイ・ライプハイマー(アメリカ、レディオシャック)   +1'29"
7位 ヤネス・ブライコヴィッチ(スロベニア、レディオシャック)   +1'32"
8位 サムエル・サンチェス(スペイン、エウスカルテル・エウスカディ)+1'37"
9位 シャビエル・トンド(スペイン、モビスター)           +1'51"
10位 バウク・モレマ(オランダ、ラボバンク)            +1'57"


ポイント賞
ハインリッヒ・ハウッスラー(オーストラリア、ガーミン・サーヴェロ)

山岳賞
レミ・ポリオル(フランス、FDJ)

新人賞
ロベルト・キセロフスキー(クロアチア、アスタナ)ライン・ターラメエ(エストニア、コフィディス)

チーム総合成績
ヴァカンソレイユ・DCM



text:Makoto AYANO
photo:Cor Vos

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