エヴァディオ ヴィーナスαエヴァディオ ヴィーナスα (c)Makoto.AYANO/cyclowired.jp

ジャパンオリジナルブランドとしてジワジワと人気を伸ばしているエヴァディオ。そのエヴァディオから女性や小柄なユーザーでも無理なく乗れるフルカーボンモデル、 VENUS α(ヴィーナス アルファ)がリリースされた。その名前が示すように、ヴィーナス αは最高級モデル ヴィーナス 01の延長線上にあるバイクだ。

ブレーキ、シフトともにワイヤー類は内蔵されるブレーキ、シフトともにワイヤー類は内蔵される 斬新なカラーリングは「the Sun」と名付けられた2011年の新しいデザイン斬新なカラーリングは「the Sun」と名付けられた2011年の新しいデザイン


実業団レベルの選手やガンガン走るライダーに評価の高いヴィーナスに待望のスモールサイズモデルが加わった。それがここに紹介するヴィーナス αである。サイズ展開は430mmと450mmの2つ。海外有名ブランドにはあまりない小さなサイズ展開であり、待ち望んでいた方も多いことだろう。

ヴィーナス αは「ヴィーナス」の名前を受け継いではいるものの、その設計はまったく別物だ。メインフレームのチューブ形状は、サイズが小さくても硬くなりすぎないように最適化されており、本家のヴィーナス 01の形状とは大きく異なっている。

力強いヘッド部には太陽のモチーフ力強いヘッド部には太陽のモチーフ リブパワーシステムで強化されたフォークリブパワーシステムで強化されたフォーク 太いモノステーで剛性アップをはかる太いモノステーで剛性アップをはかる


一方、乗り味はハイパフォーマンスなヴィーナス 01に極めて近く、そこがヴィーナスの名前を受け継いだ由縁となっている。要するにヴィーナス αは、ヴィーナスの基本性能を損なわずに、小柄なライダーでもヴィーナス 01と同じ乗り味を提供したモデルなのである。

フロントフォークはヴィーナス 01と同じものが奢られる。これもヴィーナス αの乗り味がヴィーナス 01と極めて近くなっていることの理由の一つだ。剛性感が高くコントローラブルなフォークは、ダンシング時やハイスピードの下りで安定性を発揮し、ライダーの精神的な不安を大きく低減してくれる。

ボリューム感のあるボトムブラケットの規格はプレスフィットだボリューム感のあるボトムブラケットの規格はプレスフィットだ チェーンステーはパワー伝達効率重視の設計チェーンステーはパワー伝達効率重視の設計


430mmサイズのヴィーナス αは、身長150cmくらいのライダーから無理なく乗れる設計となっている。それまでポジションが出せないため700Cのロードバイクをあきらめていた人にとって、まさにこのヴィーナス αは福音ということができるだろう。仲間と同じ700Cホイールを使えるということのメリットは計り知れない。

カラーリングにも注目したい。「システムワン」というカラーオーダーシステムによって、自分の好みのカラーリングを施すことができるのである。15,000通り以上という幅広いペイントバリエーションが用意されており、自分の思い通りの色を選ぶことが可能なのだ。他の人が誰も選ばないペイントを選べば、世界で一台だけの自分のバイクが手に入れられるのである。これはこだわり派のライダーにとって大きな魅力だろう。

同じデザインのステムは、フレーム発注時のみオーダーできるオプションペイント。小さなパーツながら統一感がかなり増す同じデザインのステムは、フレーム発注時のみオーダーできるオプションペイント。小さなパーツながら統一感がかなり増す ステムと同じくオプションペイントが施されたスーパーライトフルカーボンサドルステムと同じくオプションペイントが施されたスーパーライトフルカーボンサドル


さて、以上のように意欲的な作りのヴィーナス αであるが、果たしてその乗り味はどのようなものだったのだろうか? さっそくインプレッションをお届けしよう!





―インプレッション

「間違いなく女性や小柄な人にとって最高の一台だ」
仲沢 隆(自転車ジャーナリスト)


「小さいサイズのバイクの問題を見事に解消している」仲沢 隆「小さいサイズのバイクの問題を見事に解消している」仲沢 隆 私は身長が188cmと日本人としてはかなり高い方だ。それゆえ、たいていのインプレバイクは自分の適正サイズよりも小さい。そのため「サイズが合っていないのに、正確なインプレなんてできるんですか?」と懐疑的な目でよく聞かれる。これはインプレをする際の極めて大きな問題だ。

確かに、いくら良いバイクでもサイズが合っていなければ本来のパフォーマンスは出せないし、逆に安い普及モデルでもサイズが自分にピッタリならばそこそこ乗れてしまう。しかし、そんなのは当たり前のことであり、それを承知した上でバイクが本来持っている性能を見極めることこそ、インプレライダーの使命だと思っている。

お叱りを受けることを承知の上で少々エラそうな言い方をさせていただくと、そのためにこれまで700台以上のバイクをインプレして経験値を積んできた訳である。また、自分でも数10台のバイクを乗り継いできたが、これも実際に所有してじっくりと乗り込むことによって見えてくるものを追求してきた結果だ。この経験値こそ、インプレライダー最大の財産であると言えるだろう。

少々前置きが長くなったが、サイズがまったく合っていないヴィーナス αは、インプレライダーにとってまさに挑戦に値する一台であるといえる。なおインプレはバッカス01と同時に行っている。

まずはサドルの高さをあまり上げずに乗ってみる。最初に感じられるのは、全体のバランスの良さだ。シッティングでもダンシングでも、フォークがよじれたり、リヤが引きずったりするような感覚はない。ナチュラルなフィーリングで、スイスイと走ることができる。サイズが合っていないのにそのような乗り味が感じられるのは、このバイクの設計が良い証拠だ。

上りはとても軽快だった。シッティングでクルクルと回してもスイスイと上ってくれるし、ダンシングになるとサイズが小さいことを忘れるくらい気持ち良くリズムに乗れた。

下りの安定感は最高だ。フォークの根本が強力にできているので、ハイスピードのコーナリングでも思い通りのラインで走れるし、フルブレーキングでもグッと止まることができた。

続いてシートポストをリミットぎりぎりまで上げてみる。それでも、まったく高さが足りない。しかし、サドルが低かった時と比べると、だんぜん走りやすくなる。ハンドルバーとの落差が大きくなったことによる不安定感があるものの、平地の高速巡航などずっと快適になった。トップチューブが短いにもかかわらず、素晴らしい直視安定性の高さだ。シートアングルは立っているものの、ヘッドアングルを寝かせることにより、全体のバランスを取っているのだろう。

「間違いなく女性や小柄な人にとって最高の一台だ」仲沢 隆「間違いなく女性や小柄な人にとって最高の一台だ」仲沢 隆

ブラケット上部を握ってTTポジションのようにして乗ってみると、とても良いフィーリングで走ることができる。もっと長いシートポストを手に入れてTTバイクに仕立てたら、十分に使える感じだ。小さなサイズのバイクにとって安定感はとても重要なファクターだが、このバイクはその要求を完璧に満たしている。さすがエヴァディオである。

小さいサイズのバイクにとって振動吸収性の確保は大きな問題だ。フロントトライアングル、リヤトライアングルが小さくなることによりフレームが硬くなってしまうからだ。しかし、エヴァディオはこの点も見事に解決している。フロントトライアングルをあえて高剛性に作ることによって細身のシートステーに走行時の振動による応力が集中し、その結果としてシートステーが不快な振動を見事に吸収してしまうのだ。

ヴィーナス αはサイズの小ささを忘れさせてくれるほどの完成度の高い一台だった。適正身長の人が乗れば、間違いなく最高の相棒になってくれることだろう。

エヴァディオ ヴィーナスαエヴァディオ ヴィーナスα (c)Makoto.AYANO/cyclowired.jp

エヴァディオ ヴィーナス α
フレーム:カーボン
フォーク:カーボン+カーボンコラム
BB規格:プレスフィット
サイズ:43、45cm
付属品:エヴァディオオリジナルトップキャップ、カーボンヘッドコラム用アンカーナット、ヘッドセット、キャリパーブレーキ固定ナットチタン製前後セット、ボトル台座ボルト(4本)、カーボンスペーサー(3mm×2、5mm×2、10mm×2)、シートクランプ 34.9mm用(CNC MADEカーボンピラー用)、フロントメカ直付バンド 34.9mm用、ヴィーナス専用ワイヤーリード
価格:ベーシック 281,400円
   ザ・サン 302,400円
   レディーバード 302,400円