ツアー・オブ・オマーン(UCI2.1)を締めくくる最終第6ステージが、2011年2月20日、平坦な157kmコースで行なわれ、マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、HTC・ハイロード)が今シーズン初勝利をマークした。総合成績は動かず、ロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク)が第2代チャンピオンに輝いた。

レース序盤の山岳を登るメイン集団レース序盤の山岳を登るメイン集団 photo:A.S.O.平坦基調のコースレイアウトが設定された第6ステージ。最後は首都マスカットのマトラ・シーフロントを中心にした平坦な7km周回コースが8周設定されている。前日の個人タイムトライアルでヘーシンクが総合首位を不動のものにしたため、この日はゴールスプリントバトルに注目が集まった。

カルヤートのスタート後すぐに始まる登坂距離4km・平均勾配6%のカテゴリー山岳で早速アタックがかかる。逃げたのはマークス・ブルグハート(ドイツ、BMCレーシングチーム)やディミトロ・クリフトソフ(ウクライナ、ランプレ・ISD)ら5名。

雲一つない空の下、平坦路を駆け抜ける雲一つない空の下、平坦路を駆け抜ける photo:A.S.O.登りではテオ・ボス(オランダ、ラボバンク)やタイラー・フィニー(アメリカ、BMCレーシングチーム)が一時的に脱落したが、頂上通過後に集団に復帰。先頭5名は最大4分05秒のリードを得た。

メイン集団はリーダージャージ擁するラボバンクがコントロールし、遅れてHTC・ハイロードやファルネーゼヴィーニ・ネーリの選手たちが集団牽引に参加。マトラ・シーフロントの周回コースに入る頃にはタイム差が2分45秒に。結局先頭5名はゴールまで6kmを残して吸収された。

マトラ・シーフロントを中心にした平坦な7km周回コースマトラ・シーフロントを中心にした平坦な7km周回コース photo:A.S.O.マシュー・ゴス(オーストラリア)に発射されたカヴェンディッシュが先頭でスプリント。昨年のジャパンカップ・クリテリウムで2位に入り、ここまでカタールとオマーンで何度も上位に絡んでいるデニス・ガリムジャノフ(ロシア、カチューシャ)や、ツール・ド・ランカウイでステージ5勝を飾ったアンドレア・グアルディーニ(イタリア、ファルネーゼヴィーニ・ネーリ)らは届かず、カヴェンディッシュが先頭でゴールに飛び込んだ。

最終スプリントを制したマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、HTC・ハイロード)最終スプリントを制したマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、HTC・ハイロード) photo:A.S.O.例年より早くシーズンインし、ダウンアンダー、カタール、そしてオマーンに出場しているカヴェンディッシュにとってこれが今シーズン初勝利。「ステージ優勝はいつでも格別だ。マシュー・ゴスのおかげで難しいスプリントのポジション争いを切り抜け、最後は巧く勝負に持ち込めた。レース出場19日目にして早くも優勝を手にすることができて嬉しい。」と語るカヴェンディッシュ。例年よりもかなり早い時期の初勝利。昨シーズンの初勝利は3月23日のボルタ・シクリスタ・ア・カタルーニャだった。

総合敢闘賞マルコ・クンプ(スロベニア、ジェオックス・TMC)、総合優勝ロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク)、ポイント賞エドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ)総合敢闘賞マルコ・クンプ(スロベニア、ジェオックス・TMC)、総合優勝ロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク)、ポイント賞エドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ) photo:A.S.O.だがカヴェンディッシュのシーズンはまだまだこれから。ヨーロッパでの本格シーズンに向けて意気込む。「自分のゴールは今ではなく、ツール・ド・フランスで最高の走りを見せること。10月のロード世界選手権にも照準を合わせて、調子を上げていきたい。」HTC・ハイロードはこれがシーズン9勝目。オマーンで未勝利に終わったガーミン・サーヴェロと並び、勝利数トップに立っている。

この日、総合上位の選手たちは集団内でゴール。ラスト4kmで落車し、5分近く遅れた総合10位のフレフ・ファンアフェルマート(ベルギー、BMCレーシングチーム)を除いて総合成績は動かず、ヘーシンクが総合優勝を決めた。

重要な頂上ゴール個人タイムトライアルを制したヘーシンクは、文句無しの総合優勝。総合2位のエドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ)、総合3位のジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、ファルネーゼヴィーニ・ネーリ)らを1分以上も引き離す圧勝だった。

レース展開と選手コメントはレース公式サイトより。

ツアー・オブ・オマーン2011第6ステージ結果
1位 マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、HTC・ハイロード)       3h39'58"
2位 デニス・ガリムジャノフ(ロシア、カチューシャ)
3位 アンドレア・グアルディーニ(イタリア、ファルネーゼヴィーニ・ネーリ)
4位 マッテオ・ペルッキ(イタリア、ジェオックス・TMC)
5位 フランチェスコ・キッキ(イタリア、クイックステップ)
6位 トル・フースホフト(ノルウェー、ガーミン・サーヴェロ)
7位 ピーター・フイルベール(ベルギー、アンポスト・ショーンケリー)
8位 ナセル・ブアニ(フランス、FDJ)
9位 ステイン・ネイリンク(ベルギー、トップスポート・フラーンデレン)
10位 テオ・ボス(オランダ、ラボバンク)

個人総合成績
1位 ロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク)           20h24'36"
2位 エドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ)         +1'13"
3位 ジョヴァンニ・ヴィスコンティ(イタリア、ファルネーゼヴィーニ・ネーリ)+1'19"
4位 ミハエル・アルバジーニ(スイス、HTC・ハイロード)          +1'52"
5位 クリスティアン・ヴァンデヴェルデ(アメリカ、ガーミン・サーヴェロ)  +2'04"
6位 ファビアン・カンチェラーラ(スイス、レオパード・トレック)      +2'11"
7位 ドリス・デヴェナインス(ベルギー、クイックステップ)         +2'13"
8位 マキシム・モンフォール(ベルギー、レオパード・トレック)       +2'19"
9位 パトリック・シンケウィッツ(ドイツ、ファルネーゼヴィーニ・ネーリ) +2'51"
10位 フアンアントニオ・フレチャ(スペイン、チームスカイ)       +3'03"

ポイント賞
エドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ)

新人賞
ロバート・ヘーシンク(オランダ、ラボバンク)

総合敢闘賞
マルコ・クンプ(スロベニア、ジェオックス・TMC)

チーム総合成績
レオパード・トレック

text:Kei Tsuji
photo:A.S.O.

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