2月11日から13日まで、インドを舞台に開催されたツール・ド・ムンバイ(UCI1.1)。今年2年目を迎えるインド唯一のUCIレースは大成功に終わったと言えるだろう。レースディレクターを務めたデーヴィッド・マックエイド氏のコメントを現地の写真とともに。

ムンバイの夜明けムンバイの夜明け photo:Gregor Brownワンデーレースが2戦組み合わされたツール・ド・ムンバイ。ナーシクを舞台にした第1戦はエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)が、ムンバイに舞台を移して開催された第2戦はロバート・ハンター(南アフリカ、レディオシャック)が制した。欧米の選手たちは、珍しいインドのレースを存分に堪能したようだ。

ムンバイは世界最大規模のスラム街がある人口2000万の大都市。2008年に公開され、アカデミー賞で8部門を受賞した「スラムドッグ$ミリオネア」の舞台になった街として知られている。第2戦はこのムンバイ市内の周回コースで行なわれた。

映画「スラムドッグ$ミリオネア」の舞台にもなったムンバイの中にある世界最大規模のスラム映画「スラムドッグ$ミリオネア」の舞台にもなったムンバイの中にある世界最大規模のスラム photo:Gregor Brown

アスタナそっくりジャージを着るカザフスタンナショナルチームアスタナそっくりジャージを着るカザフスタンナショナルチーム photo:Gregor Brownレースディレクターを務めたデーヴィッド・マックエイド氏(UCI会長の息子)はレースの成功を喜ぶと同時に、インドでのレースオーガナイズの難しさを打ち明ける。「UCIはインドでのロードレース拡大を目指している。だがインドの自転車競技連盟はこの20年間ずっと眠ったままだった。まだインド車連はレース開催に慣れていない。現状、年間1〜2レースを開催できれば上々だ。ここまで大きなレースは彼らにとって衝撃だったはずだ。」

スタート前にインタビューを受けるロビー・マキュアン(オーストラリア、レディオシャック)スタート前にインタビューを受けるロビー・マキュアン(オーストラリア、レディオシャック) photo:Gregor Brownマックエイド氏は続ける。「インドにおいて自転車は貧困層の移動手段。そのマイナスイメージが自転車競技発展の邪魔をしている。レースやチームのスポンサーに興味を示す企業は少ない。みんな『そんなスポーツがあるのか?』というレベルだ。」

「インドの目標の一つにマレーシアがある。マレーシア人選手はトラック競技でメダルを取るほど活躍しているし、ヨーロッパやオーストラリアに脚を伸ばしてる。マレーシアの自転車競技連盟も積極的だ。アヌアル・マナンのようなスター選手もいるし、何よりツール・ド・ランカウイというビッグレースがある。」

第2戦におけるインド人選手最高位はラジェッシュ・チャンドラセクマールの54位。日本の奈良基(トレンガヌ・プロアジア)は30位だった。

ホテルで出発を待つエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、リクイガス・キャノンデール)ホテルで出発を待つエリア・ヴィヴィアーニ(イタリア、リクイガス・キャノンデール) photo:Gregor Brownスタートラインに並んだロビー・マキュアン(オーストラリア、レディオシャック)らスタートラインに並んだロビー・マキュアン(オーストラリア、レディオシャック)ら photo:Gregor Brown
ニュートラルゾーンを経てスタートニュートラルゾーンを経てスタート photo:Gregor Brownゴール後にインタビューを受けるロバート・ハンター(南アフリカ、レディオシャック)ゴール後にインタビューを受けるロバート・ハンター(南アフリカ、レディオシャック) photo:Gregor Brown
ファンやVIPがレースを見守るファンやVIPがレースを見守る photo:Gregor Brownレース会場近くのバンドラ駅レース会場近くのバンドラ駅 photo:Gregor Brown
観光地としても知られるムンバイ観光地としても知られるムンバイ photo:Gregor Brown公園でクリケットを楽しむインド人たち公園でクリケットを楽しむインド人たち photo:Gregor Brown


text&photo:Gregor Brown
translation:Kei Tsuji