マーク・カヴェンディッシュ(イギリス、HTCハイロード)は第2ステージのゴール前の激しい落車に巻き込まれ、顔面を切り、半身に擦過傷を負う怪我をした。その流血ぶりにリタイアの噂が出回ったが、カヴは諦めずに走り続けるようだ。

左目の上を切って血を流しながらゴールしたマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、HTCハイロード)左目の上を切って血を流しながらゴールしたマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、HTCハイロード) (c)CorVos「続けたい。だからゴールまで走ったんだ。吹っ飛ばされたぐらいじゃ怖気付かないさ」とカヴ。深刻な事態にもかかわらず、カヴのユーモアのセンスは鈍っていないようだ。

ツアー・ダウンアンダー第2ステージ、カヴが巻き込まれた落車はラスト4kmで発生した。チームメイトのマシュー・ゴス(オーストラリア)とクリストファー・サットン(オーストラリア、チームスカイ)と共にアスファルトに叩きつけられた。

HTCとチームスカイが形成する「トレイン」が、その鋭角コーナーに入るまで先頭を固めていた。HTCは左側(インコーナー)、スカイは右側(アウトコーナー)で並ぶように侵入し、お互い絡んで落車が発生してしまった。しかし、両チームの選手ともこのクラッシュについて「よくあること」と話す。決してお互いを非難しあってはいないようだ。

激しく落車したジェレイント・トーマス(イギリス、チームスカイ)激しく落車したジェレイント・トーマス(イギリス、チームスカイ) (c)CorVos「これはごくありふれたノーマルなクラッシュだ」と、カヴは説明する。
「ポジションの奪い合いなんだ。でもそれ以上の意味はない。8人のチームが2チームで僅かなスペースを争えば、こんなことが起こるのは珍しいことじゃない」。

大きなリスクを負う必要はない。僕もそういうつもりはなかった。でもバイクレーシングは危険なんだ。ただそういうことさ。

HTCハイロードのチームドクターはステージ終了後に病院へとカヴを連れていった。その報告ではカヴは左目の上を2針縫い、左半身に広く擦過傷を負っているという。しかし、幸いにも骨折は見つからなかった。

落車してチームメイトのサポートを受けながらゴールするバーデン・クック(オーストラリア)落車してチームメイトのサポートを受けながらゴールするバーデン・クック(オーストラリア) (c)CorVos「いやいや、僕は大丈夫だよ。やっちゃったね。クラッシュは起こるものさ」とカヴ。

チームメイトのマシュー・ゴスは言う。「最終コーナーはいつだってカオスさ。なに、たいしたことないさ」。
リーダージャージを着るオージーのゴスはコーナー手前までカヴェンディッシュの後輪に付けていた。なぜならチームはゴスのリーダーを守るために走っていたからだ。ゴスもジャージを破り、そして失った。リーダーは同じオージーのロビー・マキュアン(レディオシャック)の手に渡った。ゴスは問題なくレースを続けられそうだ。



膝を大きく負傷したクリストファー・サットン(オーストラリア、チームスカイ)膝を大きく負傷したクリストファー・サットン(オーストラリア、チームスカイ) (c)CorVosステージ勝利を飾ったのはイギリス人のベン・スウィフト(チームスカイ)。スウィフトはチームメイトのクリストファー・サットン(オーストラリア)が落車した直後、自らに課された重責を見事果たした。

サットンは左膝を大きく負傷したようだ。サットンは言う「膝にデッカイ穴が開いたよ」。彼は病院での診断結果を待つことになるが、前向きな姿勢は崩さず、レースを続けるつもりだ。
「調子はとてもいいんだ。コーナーに侵入した僕らはトップ10はみんな転んだね。これがレースってもんさ。路面には砂利が浮いていたんだ。あんなコーナーに砂利が浮いていれば、そりゃあ転ぶよね」とサットンはそのコーナーがもともと危険だったことを指摘した。

落車のもっともひどい被害者のバーナード・サルツバーガー(オーストラリア、UniSAオーストラリア)は、鎖骨を骨折したために第3ステージをスタートしない。リタイア第1号はオージーだった。

落車が発生する中、ベン・スウィフト(イギリス、チームスカイ)が先頭でスプリント落車が発生する中、ベン・スウィフト(イギリス、チームスカイ)が先頭でスプリント photo:Kei Tsuji

text: Gregor Brown in Mannum
translation:Makoto.AYANO
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