昨年のジロ・デ・イタリアでグランツール初勝利を飾ったグスタフエリック・ラーション(スウェーデン)は、今シーズンもビャルヌ・リース監督率いるサクソバンクで走る。主力選手がチームを離脱し、新加入のアルベルト・コンタドール(スペイン)の問題が解決しない中、北京五輪銀メダリストのラーションの存在感が増している。

ジャパンカップのクリテリウムで3位に入ったグスタフエリック・ラーション(スウェーデン、サクソバンク)ジャパンカップのクリテリウムで3位に入ったグスタフエリック・ラーション(スウェーデン、サクソバンク) photo:Kei Tsujiグレゴー・ブラウン(GB):昨年の世界選手権個人タイムトライアルでは10位に終わったけど、2009年の世界選と2008年の北京五輪ではカンチェラーラに次いで2位に入っている。彼に勝つ方法は?
グスタフエリック・ラーション(GL):とにかく最高のコンディションで挑むこと。でもミスターファビアンを負かすのは簡単なことじゃない。今とは別の乗り方を実践する必要があるとは思うけど、実際それがどういったものなのか分からない。ファビアンはコーナリングテクニックに関しても、ずば抜けた能力をもっている。コーナーや登りの後に加速して、トップスピードに戻すまでの時間がとても短いんだ。

GB:自分向きだと思うコースは?
GL:直線が長く続くコース。パワー出力が高いので、登りが長くても構わない。例えば北京オリンピックのコースは長い登りを含んでいた。引退するまでに世界選手権かオリンピックで金メダルを獲得してみたい。自分向きのコースが設定されればチャンスはあると思う。

2009年世界選手権タイムトライアルで銀メダルを獲得したグスタフエリック・ラーション(スウェーデン)2009年世界選手権タイムトライアルで銀メダルを獲得したグスタフエリック・ラーション(スウェーデン) photo:Cor VosGB:ジロ・デ・イタリアでステージ優勝を経験し、ツール・ドゥ・リムザンで総合優勝した2010年は今までで最高のシーズンだった?
GL:浮き沈みの激しいシーズンだった。ジロの後、ツール・ド・フランスに向けて過去最高のコンディションに仕上がっていたんだ。でもビャルヌ(リース監督)は僕をメンバーに選ばなかった。クライマーを優先的に選出するのは理解できるけど、正直言ってあの時期は自分も同等に登れていた。そんな最高の状態をバカンスで浪費するのはバカバカしかったよ。

GB:今年はシュレク兄弟やカンチェラーラがいないのでツール出場の可能性が上がったと思うけど、そもそも彼らが挙ってチームを離れた理由は?
GL:例えばファビアンは、ツール前からずっとチームを離れたがっていた。チームメイトたちはそのことを知っていたけど、どのチームに移籍するのかは知らなかった。シュレク兄弟のルクセンブルクチームに多くの選手が移籍したのは、待遇の良さと、チャンスの多さが要因だろう。

長身で個人TTを得意とするグスタフエリック・ラーション(スウェーデン、サクソバンク)長身で個人TTを得意とするグスタフエリック・ラーション(スウェーデン、サクソバンク) photo:UnipublicGB:ルクセンブルクチームはサクソバンクと似た環境だと思う?
GL:確かにそうだと思う。チームの半分がルクセンブルクチームに移ったようなもの。選手だけではなく、メカニックやマッサー、監督も半数移籍したんだ。

GB:契約は2011年末まで残っているけど、カンチェラーラやウィギンズのような早期離脱は考えなかった?
GL:契約を前倒ししてチームを離れるためには、多額の違約金を払う必要がある。違約金を代わりに支払ってくれる新チームがあれば実現可能だった。でも実際には、このチームを気に入っている。他チームに目移りはしなかった。

GB:今シーズンの目標は?
GL:近年のテーマはクライミング能力の向上。短いステージレースで総合優勝を狙えると思う。同時にタイムトライアル能力を維持することが出来れば、ステージレースで総合成績を狙うオールラウンダーに変身出来る。

GB:理想的だと思うステージレースは?
GL:毎年ツール・ド・スイスのコースは自分向きだと思う。チームの戦略に依存するけど、ツール・ド・スイスのようなステージレースで総合成績を狙いたい。

GB:昨シーズン最高の成績はジロのステージ優勝?
GL:もちろん。グランツールのステージ初優勝は特別だった。

GB:チームメイトのリッチー・ポルトがジロで総合7位に入ったのは驚きだった?
GL:ツール・ド・ロマンディのタイムトライアルで優勝したリッチーがジロで活躍するのは大きな驚きではない。ジロ期間中に大きなミスを犯さなかったし、落車の被害も免れた。走り方が上手いんだ。それよりも、トレーニングキャンプ中の彼のワット数を見て驚いたよ。空気抵抗の小さい小柄なカラダなのに高出力なんだ。

GB:リッチー・ポルトの将来は明るい?
GL:高いポテンシャルを秘めているのは確かだ。若い選手は伸び代が大きい分、次のシーズンの活躍に注目が集まりがち。でも全ての選手が希望通り伸びるわけじゃない。良いシーズンが1年あっても、その後数年間スランプに陥ることもある。でもトレーニングキャンプでの走りを見る限り、リッチーは着実に成長している。山岳タイムトライアルでもヤコブ・フグルサングと僕に次いで3番目のタイムを出していた。減量すればグランツールで(コンタドールに代わって)エースを担うことが出来る逸材だ。

text:Gregor Brown
translation:Kei Tsuji

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