2011年、イヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス)はツール・ド・フランスで総合優勝を狙う。今年2度目のジロ・デ・イタリア制覇を成し遂げたバッソは、連覇の懸かったジロに出場せず、7月のツールに照準を合わす。

ガヴィア峠で集団のペースを上げるイヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス)ガヴィア峠で集団のペースを上げるイヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス) photo:Kei Tsuji「ツールで勝つことは可能だと思っている」。先日33回目の誕生日を迎えたバッソはガゼッタ紙のインタビューの中でそう語っている。

「ジロで再び優勝出来れば(1985年のイノー以来達成されていない)3勝目の選手リストに名前が加わる。でも家にはすでにマリアローザが2着あるんだ。そこに目映いマイヨジョーヌが加えることが出来れば」。

今年2度目のジロ・デ・イタリア制覇を果たしたイヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス)今年2度目のジロ・デ・イタリア制覇を果たしたイヴァン・バッソ(イタリア、リクイガス) photo:Kei Tsuji2006年にジロ初制覇を成し遂げたバッソは、ランス・アームストロング(アメリカ)の影で2度ツールの表彰台に上っている(2004年総合3位・2005年総合2位)。しかしドーピングへの関与が明るみになり、2年間出場停止に。2008年のジャパンカップで再起を果たした。

復帰2年目の今年、ジロで復活の総合優勝を飾ったバッソ。そのまま7月までコンディションを維持したが、ツールのレース中盤で発熱に見舞われ、総合争いでズルズルと後退した。

2002年ツールで新人賞を獲得したイヴァン・バッソ(イタリア)2002年ツールで新人賞を獲得したイヴァン・バッソ(イタリア) photo:Cor Vos今年の反省を踏まえ、2011年は目標をツールに絞り込む。1月10日にミラノで行なわれるチームプレゼンテーションで、リクイガスチームとしての正式なアナウンスが行なわれる予定だ。

「沿道に集まって歓声を送ってくれる大勢の観客たちをリスペクトしたいと常々思っている。でもジロを欠場するのはポジティブな決断なんだ。気分を害することなく、そのことを理解してくれたら嬉しい」。

2005年ツール アームストロングに果敢に勝負を挑むイヴァン・バッソ(イタリア)2005年ツール アームストロングに果敢に勝負を挑むイヴァン・バッソ(イタリア) photo:Cor Vos2011年のジロは5月7日にトリノをスタート。3つのタイムトライアルと7つの山頂フィニッシュが3週間のコースに組み込まれている。中でも注目は、ヨーロッパ最大の活火山であるエトナ火山のゴールと、未舗装のフィネストレ峠を越える最終日前日のステージだ。

「もちろんイヴァンもゼッケン1をつけてジロに出場したいはず。でもシャンゼリゼでマイヨジョーヌを受け取るというのが彼の生涯の夢なんだ。それにジロのコースは厳しすぎる。トレーニングとして出場するレースではない。リクイガスにとって最も重要なのはジロ。だが来年はツールにも一軍を送り込む予定だ」。リクイガス社のパオロ・ダルラーゴ代表はそう語る。

2005年ツール アームストロングに次いで2位に入ったイヴァン・バッソ(イタリア)2005年ツール アームストロングに次いで2位に入ったイヴァン・バッソ(イタリア) photo:Cor Vosジロでリクイガスのリーダーを務めるのは、バッソの7歳年下のヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア)だ。ニーバリは今年大きくブレイクした選手の一人。急遽出場が決まったジロでは、バッソを手厚くサポートしながらステージ1勝&総合3位。そして9月のブエルタ・ア・エスパーニャで総合優勝を飾った。

「ヴィンチェンツォは選手として着実に階段を上っている。経験も豊かで、もう若手とは言えない。僕らは尊敬し合える仲なんだ。今年のジロでは彼の存在が心強かった。ブエルタでの走りを見る限り、ジロでも勝てるだろう。彼にエースの座を託すのは、リクイガスのバックアッププランではない。彼は勝つためにジロに出場する」。バッソもニーバリの活躍に太鼓判を押す。

来週リクイガスチームはドロミテのパッソ・サンペッレグリーノでチームキャンプを開く。その後、温暖なサルデーニャ島に渡り、12月9日から22日まで2度目のキャンプ。ミラノでのチームプレゼンテーション後、ツアー・ダウンアンダーに出場する選手はオーストラリアに渡り、1月16日からのレースに備える。バッソは1月17日にアルゼンチンで開催されるツアー・オブ・アルジェンティーナに出場する予定だ。

text:Gregor Brown
translation:Kei Tsuji