ツール・ド・おきなわを2日後に控えた金曜日、コースの試走や下見を終えたチームがライセンスコントロールに集まってきた。監督たちに新コースの印象やチームの戦略、展望を語ってもらった。

大門宏監督(TEAM NIPPO)大門宏監督(TEAM NIPPO) photo:Makoto.AYANO大門宏監督(TEAM NIPPO)

従来の源河の登り口から新しいコースはゴールまで35km。その間に登りが7つあるんです。180km走ってきてからのその難関は、コンディションの残っていない選手にとっては厳しいでしょうね。
強い選手は焦らなくていいと思います。今までは上ってからゴールまで平坦の距離が長かったのですが、今回からは頂上からゴールまでが10km。登りが強い選手は好きに料理できると思いますね。確実に決められます。11月ですからコンディションが残っていない選手が多いでしょう。



野寺秀徳 シマノレーシング監督野寺秀徳 シマノレーシング監督 photo:Hideaki.TAKAGI野寺秀徳監督(シマノレーシング)

例年なら皆が今まで脚を使い果たしていたところからのコースが新しくなったわけですから、とても厳しいでしょうね。
脚を貯めていた選手の勝ち。体調良く臨めなかったらこのコースはムリですね。騙しは効かない。雨の影響を受ければさらに危険にもなる。昨年アベタカ(阿部嵩之)が勝ったと思ったら惜しくも負けた。シマノレーシングは過去おきなわで勝ったことがないので、ようやく悲願の勝利だと思ったのですが...。今年は彼はいないですが、リベンジしたいですね。
エースは普通に考えて、今勢いのある畑中勇介と鈴木真理なんですが、展開次第では他の選手に。今回が引退レースの飯野は鎖骨骨折から復活したばかり。昨年もいい走りを見せたので期待したいですね。



田中光輝 愛三工業レーシングチーム監督田中光輝 愛三工業レーシングチーム監督 photo:Hideaki.TAKAGI田中光輝監督(愛三工業)

新しいコースは合宿でも通ったことがあるんです。キツイなぁ、という印象。慶佐次からのアップダウン、羽地ダムの登りも結構キツイ。力を持った選手が最後に生き残るレースでしょうね。
最後の平坦が短いので、踏んでいける。登りで逃げれた選手が勝ちますね。別府匠がエースナンバーです。集中しているようです。
今回新人の早川朋宏(法政大出身)を入団テスト的に走らせますが、期待したいですね。



黒川剛 鹿屋体育大学監督黒川剛 鹿屋体育大学監督 photo:Hideaki.TAKAGI黒川剛監督(鹿屋体育大学)

学生にとっては未知のレース距離なので、将来に向けていい練習になるでしょう。前方の集団に誰か一人でも入れるように期待したいですね。
北海道の活躍で自信をつけているので、今回表彰台に立つのもまったく可能性がないわけじゃない。
チームオキナワで内間が走りますが、今回のチームの強さでは吉田隼人がバランスよく力を持っていると思います。ただ、いずれにせよ甘いレースにはならないでしょうね。


中川 茂監督(クムサンジンセン・アジア)

シンイチ(福島)の好調はまだ続いていますよ。オフにはまだ入っていません。彼は年齢的にうまく乗り切るコツを知っていますからね。
五十嵐は輪島で3位に入ったり、ジャパンカップも完走したりと、十分にいい状態で調子が上がっている。去年は中盤で逃げたけど、いらないところで力を使っちゃうのがダメなところ。新しいコースは明日にでも試走してみます。監督としておきなわに来るのは私も初めて。



ジョナサン・ブルグヘルト監督(ドラパック・ポルシェ)ジョナサン・ブルグヘルト監督(ドラパック・ポルシェ) photo:Makoto.AYANOジョナサン・ブルグヘルト監督(ドラパック・ポルシェ)

明日の個人タイムトライアルは好調のトーマス・パーマーが連覇を狙えるだろう。パーマーは昨年のタイムトライアルの覇者で、ジャパンカップのクリテリウムでも優勝しました。
ジャパンカップで2位のピーター・マクドナルドは休みに入りましたから、今回のメンバーには入れませんでした。
日曜は通常の場合のリーダーであるステュアート・ショウが行くでしょうが、パーマーも依然好調なのでいい動きができるかもしれません。



フレデリック・ロスタン ラポムマルセイユ監督フレデリック・ロスタン ラポムマルセイユ監督 photo:Hideaki.TAKAGIフレデリック・ロスタン監督(ラポム・マルセイユ)

ヨーロッパではすでにオフシーズンに入って1ヶ月経とうとしている。選手たちはオフに入ろうとしている身体を押しての出場になる。
なかではマチュー・デラロジェが比較的いい調子で、通常このおきなわのようなレースではリーダーになれる力を持っています。彼は3度目の出場だ。しかし何度も言うように、今の時期はレースじゃない楽しみ方で自転車に乗っているね。私たちはベップの出身クラブで、私もフミのことを面倒みたことがあるんだよ。


藤野智一 チームブリヂストン・アンカー監督藤野智一 チームブリヂストン・アンカー監督 photo:Hideaki.TAKAGI藤野智一監督(ブリヂストン・アンカー)

もちろん連覇を狙います。月曜日から名護に入っているので、うまい具合に選手たちは気候にも順応したんじゃないでしょうか。8月にはすでにこの日にオキナワ入りしようという話をして、このレースに照準を定めてきていますので、頑張って連覇を狙いたいですね。意気込みは十分です。

コースが厳しくなりましたね。調子の悪い選手にとっては非常に厳しいレースになるでしょうし、調子のいい選手にとっても厳しいレースになります。たった10km伸びただけとあなどることなかれ、実際はラスト40kmは修羅場ですね。勝てる選手であっても相当厳しい思いをすることになるでしょう。本当に難しいコースです。ちょっと可哀想になるぐらい...。



栗村修 宇都宮ブリッツェン監督栗村修 宇都宮ブリッツェン監督 photo:Hideaki.TAKAGI栗村修監督(宇都宮ブリッツェン)

ジャパンカップでほぼ体調のピークを迎えたところなので、正直いいコンディションで臨める体調ではないですね。小坂がジャパンカップで非常に良いレースをも見せてくれたのですが、もうシクロクロスモードに入っているので今回の出場は見合わせました。
しかし、もちろんどんなレースにも全力で取り組むのがブリッツェンの選手たちの取り柄なので、選手皆は力を出しきるでしょう。


松村拓紀マネジャー(マトリックスパワータグ・コラテック)

あまりコースを良く調べていないんですが前回よりは「勾配は」厳しくなくて、アップダウンが増える感じなので、むしろマトリックの選手たちにとっては比較的有利になりますね。チームオーダーもまだ特には決めていません。
明日、安原監督と選手たちでコースの下見をして、戦略を組み立てたいと思います。




interview&text:Makoto.AYANO
photo:Hideaki.TAKAGI Makoto.AYANO