2011年5月に開催される第94回ジロ・デ・イタリア(UCIヒストリカル)のコース全貌が明らかにされた。イタリア統一150周年を祝う大会はかつての首都トリノをスタート。南端に位置するシチリア島のエトナ火山や、悪名高いモンテ・ゾンコラン、未舗装のフィネストレ峠の難関山岳ステージが登場。頂上ゴールは7つ。例年にも増して厳しいコースが用意された。

前半戦の見どころは未舗装ステージとエトナ火山

コースプレゼンテーションが行なわれたトリノのカリニャーノ劇場コースプレゼンテーションが行なわれたトリノのカリニャーノ劇場 photo:Riccardo Scanferla10月23日、イタリア・トリノのカリニャーノ劇場で2011ジロのコースプレゼンテーションが開催された。プレゼンテーションに出席した有力選手たちの前で、第94回大会のコース全貌が明らかにされた。

小国家が乱立していたイタリア国内を統一し、現在のイタリアが形作られたのが1861年3月17日。2011年はイタリアが統一されてからちょうど150周年にあたる。スタート地点に選ばれたのは、当時首都が置かれたトリノだ。

ジロ・デ・イタリア2011コース全体図ジロ・デ・イタリア2011コース全体図 image:RCS Sport初日はトリノの中心に位置する王宮(Palazzo Reale)にゴールする21.5kmのチームタイムトライアル。ジロ初日にチームTTが行なわれるのは2009年大会以来。当時はヴェネツィアで開幕し、チームコロンビア・ハイロードがトップタイムで優勝。マーク・カヴェンディッシュ(イギリス)がマリアローザに袖を通した。

2日目からはイタリア半島を南下する旅が始まる。第2、3、4ステージはゴール手前に小さな山岳が設定されているものの、集団スプリントに持ち込まれる可能性が高い。スプリンター向きステージは7ステージしか設定されていない。

第5ステージは標高500m〜900mクラスのカテゴリー山岳が3つ設定された中級山岳ステージ。中盤には 「ストラーデ・ビアンケ(白い道)」の中級山岳クローチェ・ディ・フィギーネも登場。2010ジロ第7ステージ同様の泥んこレースが見られる可能性もある。しかもゴール地点は丘の上に佇むオルヴィエート。頂上ゴールにはカウントされていないが、ゴール手前の標高差160mの上りは白熱の展開をもたらすだろう。

ジロ・デ・イタリア2011第9ステージ・コースプロフィールジロ・デ・イタリア2011第9ステージ・コースプロフィール image:RCS Sportマリアローザ争いが動き出すのが、ナポリ東部で開催される第7ステージ。今大会最初の頂上ゴールが標高1260mのモンテヴェルジネ・ディ・メルコリアーノに設定されている。距離は100kmと短いが、最後の上りが総合順位にシャッフルをかける。

ド平坦な第8ステージを経て、ジロは第9ステージでシチリア島に上陸。ヴィンチェンツォ・ニーバリ(イタリア、リクイガス)の故郷であるメッシーナをスタートし、ヨーロッパ最大の活火山であるエトナ火山に向かう。今でも継続的に噴火しているエトナ火山を一旦標高1631mまで上り、一旦下ってから再び標高1904mまで駆け上がる。ジロはこのエトナで前半戦のクライマックスを迎える。


2年連続ゾンコラン登場 チーマコッピは標高2236mジャウ峠

ジロ・デ・イタリア2011第14ステージ・コースプロフィールジロ・デ・イタリア2011第14ステージ・コースプロフィール image:RCS Sportジロは10日目にして最初の休息日を迎える。休息日と言っても意味合い的には移動日。選手たちは空路でイタリア中部のテルモリに飛ぶ。そこから北上を続け、イタリア北部のドロミテやアルプスに向かう手はずだ。

休息日後の3日間はひらすらアドリア海沿いを北上。ほぼ真っ平らな第10ステージと第12ステージは完全にスプリンター向き。常にアップダウンを繰り返す第11ステージはクラシックライダー向きだ。

ジロ・デ・イタリア2011第15ステージ・コースプロフィールジロ・デ・イタリア2011第15ステージ・コースプロフィール image:RCS Sportそしていよいよ第13ステージから怒濤の山岳ラッシュが始まる。7つの頂上ゴールのうち5つが、後半の9日間に詰め込まれているのだ。オーストリアに入国し、標高1908mのグロースグロックナーにゴールする第13ステージでマリアローザは本命の手に渡る。

第14ステージは4つのカテゴリー山岳通過後、急勾配の上りとして知られるモンテ・ゾンコランを駆け上がりゴール。ゾンコラン2年連続の登場。今年は第15ステージで登場し、バッソがステージ優勝して総合優勝に一歩近づいた。

まだまだドロミテの洗礼は終わらない。第15ステージは230kmのロングコースに合計5つのカテゴリー山岳が詰め込まれている。しかも後半にかけて難易度アップ。チーマコッピ(大会最高地点)の標高2236mジャウ峠、標高2057mフェダイア峠を越え、標高1948mのガルデッチャ/ヴァル・ディ・ファッサにゴール。最も難易度の高い山岳コースであることは間違いない。


未舗装のフィネストレ峠と最終日TTで決着

2005年のジロ・デ・イタリアに初登場したコッレ・デッレ・フィネストレ2005年のジロ・デ・イタリアに初登場したコッレ・デッレ・フィネストレ photo:Kei Tsujiそして2011年も山岳個人タイムトライアルが登場する。コースは標高1043mのネヴェガルにゴールする12.67km。今年のプラン・デ・コロネスよりインパクトは小さいが、中盤の平均勾配が10%を超える。

ジロは最終決戦地アルプスに向かって西進を開始。トナーレ峠を越える第17ステージ、ガンダ峠を越える第18ステージを経て、第19ステージで今大会6つ目の頂上ゴールが登場。標高1358mのマクニャーガで選手たちの脚は悲鳴を上げる。

ジロ・デ・イタリア2011第20ステージ・コースプロフィールジロ・デ・イタリア2011第20ステージ・コースプロフィール image:RCS Sport事前にお伝えした通り、最終日前日に標高2178mのフィネストレ峠が登場する。登坂距離18.5km、合計45カ所のスイッチバック、そして頂上手前の7.9kmが未舗装のダートという峠は6年ぶり2度目の登場。この未舗装の峠を越え、一旦標高1410mまで下り、標高2035mのセストリエーレまで駆け上がってゴールを迎える。

しかしマリアローザ争いは最終日までもつれこむ。2011年も最終日は個人TT。ミラノ中心部のドゥオモ広場にゴールする32.8kmのフラットコースが第94代チャンピオンを選び出す。

ジロ・デ・イタリア2011第21ステージ・コースマップジロ・デ・イタリア2011第21ステージ・コースマップ image:RCS Sport2010年大会よりも山岳の難易度が増している感のある2011年大会。頂上ゴールは合計7つ(個人TTを含めると8つ)。北部のトリノをスタートし、南端のシチリア島を経て北部のドロミテやアルプスで山岳バトル。必然的に移動距離は長くなる。走行距離は3496kmと平均的だが、毎ステージ後の移動距離は例年より長め。厳しい闘いが繰り広げられることになりそうだ。

ジロ・デ・イタリア2011概要
平坦ステージ:4
中級山岳ステージ:6
超級山岳ステージ:8
山頂フィニッシュ:7
個人タイムトライアル:2
チームタイムトライアル:1
休息日:2

合計距離:3496km(1日平均166.5km)
通過国:2(イタリア・オーストリア)


ジロ・デ・イタリア2011全日程
5月7日(土)第1ステージ ヴェナリア・レアーレ〜トリノ 21.5km(チームTT)
5月8日(日)第2ステージ アルバ〜パルマ 242km
5月9日(月)第3ステージ レッジョ・エミリア〜ラパッロ 178km
5月10日(火)第4ステージ クアルト・デイ・ミッレ〜リヴォルノ 208km
5月11日(水)第5ステージ ピオンビーノ〜オルヴィエート 201km
5月12日(木)第6ステージ オルヴィエート〜フィウッジ・テルメ 195km
5月13日(金)第7ステージ マッダローニ〜モンテヴェルジネ・ディ・メルコリアーノ 100km(頂上)
5月14日(土)第8ステージ サルピ〜トロペア 214km
5月15日(日)第9ステージ メッシーナ〜エトナ 159km(頂上)
5月16日(月)休息日
5月17日(火)第10ステージ テルモリ〜テラーモ 156km
5月18日(水)第11ステージ トルトレート・リード〜カステルフィダルド 160km
5月19日(木)第12ステージ カステルフィダルド〜ラヴェンナ 171km
5月20日(金)第13ステージ スピリンベルゴ〜グロースグロックナー(オーストリア)159km(頂上)
5月21日(土)第14ステージ リエンツ(オーストリア)〜モンテ・ゾンコラン 210km(頂上)
5月22日(日)第15ステージ コネリアーノ〜ガルデッチャ/ヴァル・ディ・ファッサ 230km(頂上)
5月23日(月)休息日 
5月24日(火)第16ステージ ベッルーノ〜ネヴェガル(山岳個人TT)
5月25日(水)第17ステージ フェルトレ〜ソンドリオ 246km
5月26日(木)第18ステージ モルベーニョ〜サンペッレグリーノ・テルメ 147km
5月27日(金)第19ステージ ベルガモ〜マクニャーガ 211km(頂上)
5月28日(土)第20ステージ ヴェルバニア〜セストリエーレ 242km(頂上)
5月29日(日)第21ステージ ミラノ〜ミラノ(個人TT)32.8km

text:Kei Tsuji