「ピュアジャパニーズブランド」として意欲的なバイクを次々にリリースするエヴァディオが、ヴィーナスに次ぐカーボンフレームを発表した。CHARIS(カリス)と名付けられたそのバイクもまた、レーシング性能を追求した本格的なロードバイクだという。

エヴァディオ カリスエヴァディオ カリス (c)Makoto.AYANO/cyclowired.jp

エヴァディオはオーナーの犬塚氏がオリジナルブランドを育てようと有志を募って小売店業者同士のネットワークを構築したのがその興りとなった日本のブランドだ。日本のエンドユーザーの声を直接聞くことができる小売店の強みを活かした、まるでユーザーの要望を具現化したかのような自転車用品やオリジナリティ溢れる商品を製造、販売している。

そんなエヴァディオが2008年モデルとして発表したカーボンフレームセット『ヴィーナス』は、それまでにない独創性とその実力の高さで周囲を驚かせた。東京大学の西薗良太選手をはじめ、日本のライダーへの機材サポートも行い、そのフィードバックを製品造りに活かしている。ホビーレースの現場でも、世界のブランドに混じり走るエヴァディオのバイクを散見するようになってきた。ユーザーたちに聞けば一様に高評価だ。

トレンドを感じるヘッド部分のボリューム感トレンドを感じるヘッド部分のボリューム感 高い剛性を持つカーボンストレートフォーク高い剛性を持つカーボンストレートフォーク シートチューブにはカリスの性格を示す「ピュアレーシングスピリッツ」の文字シートチューブにはカリスの性格を示す「ピュアレーシングスピリッツ」の文字


そしてそのヴィーナスの姉妹モデルとして誕生したのが今回インプレッションする『CHARIS(カリス)』だ。ヴィーナスと同じく、神話に登場する神の名を与えられている。ちなみにヴィーナスは愛と美を司る神、カリスは美と優雅を司る神を指している。

またエヴァディオはこのカリスの前に、アルミのエントリーモデル『バッカス』を販売しているので、エヴァディオオリジナルのバイクフレームとしては第3弾となる。

勝利の神があなたにウィンクする勝利の神があなたにウィンクする リアブレーキケーブルはトップチューブにスマートに内蔵されるリアブレーキケーブルはトップチューブにスマートに内蔵される


リアルレーシングフレームであるヴィーナス。同じくカーボンモデルであるカリスは、エヴァディオ側から「非常にタイトでレーシーな設計にした」と説明された。そのジオメトリに加えて、極太のチェーンステー、細身のシートステー、インテグラルシートポストなどを採用して、見るからに戦闘的なデザインに仕上がっている。

ヴィーナスの高い剛性と軽量を支えたRPS(Rib Power System=リブ・パワー・システム、つまりダウンチューブのパイプ内部に補強リブを設けている構造)こそ採用されていないものの、それに匹敵する剛性を実現しているのもこのカリスのセールスポイントだという。

扁平シートステー&インテグラルポストのスタイリッシュなリアビュー扁平シートステー&インテグラルポストのスタイリッシュなリアビュー 勝利の神がリアステーに輝く勝利の神がリアステーに輝く 横から見るとかなり薄いシートステーは縦方向の振動吸収性を向上する横から見るとかなり薄いシートステーは縦方向の振動吸収性を向上する


がっしりしたBB周りがペダリングパワーを受け止めるがっしりしたBB周りがペダリングパワーを受け止める シートステーの細さに反比例するようにチェーンステイは非常に太いシートステーの細さに反比例するようにチェーンステイは非常に太い


フレーム重量は49サイズのフレームで1,100g。フォークは420gとなっている。そして限定完成車も販売予定があり、そちらはカンパニョーロ・アテナ、フルクラムレーシング5、カーボンクランクなどの仕様で完成車重量7.5kg(490)となる予定だ。

注目のナショナルブランド、エヴァディオの送り出すピュアレーサー「カリス」。その乗り心地はいったいどんな評価になるのか。それではさっそくインプレッションに入ろう。






―インプレッション


「レーシング性能を追求したバランスの取れたお買い得車」 鈴木祐一(Rise Ride)

「レーシング性能を追求したバランスの取れたお買い得車」鈴木祐一「レーシング性能を追求したバランスの取れたお買い得車」鈴木祐一 レースに使うことを想定して作られたこのカリス。実際に乗ってみて「ターゲット通りの元気のいいバイクだな」と素直に感じるその造りに好印象を得た。

ウィップ感よりも硬さを前面に押し出したフレームだ。入力した力を逃さない、芯のあるフレーム剛性でカッチリしたフィーリングになっている。そしてヘッドも大きく前三角、後ろ三角関係なく、ライダーのペダリングパワーを受け止めてくれるパワーのあるフレームに仕上がっている。

ライダーの出力をしっかり受け止めてくれるフレームは、回転系のペダリングで良く進む傾向がある。このカリスもその例に漏れず、パワーで踏み切るよりもクランクを回すことに注力した乗り方が合っていると感じた。

回転を持って進ませると、まるで背中を押されるような感じで進んでいく。特に中速域でバイクが進む気持ちよさを味わえるのが印象的だ。アタックをかけるような乗り方よりも、回転で進ませるバイクだろう。ヒルクライムなど巡航走行を意識した使い方のほうが向いている。また、下りのハンドリングもよくできているので全体的にバランスのとれたバイクという印象だ。

そして今回試乗したのは約31万円で販売される限定完成車仕様に近いセッティングだった(ホイールが異なった)。それを考慮すると、完成車でカンパニョーロ・アテナがフルインストールされる点や、調整幅の余裕が見られるインテグラルシートポストを採用している点などを踏まえると、かなりお買い得感があるパッケージとなっている。

標準装備されるホイールがフルクラム・レーシング5なので、これを走るレースに合わせて好みのホイールにすることでもっとフレームの能力を活かすことができそうだとも感じた。全体的にはコストパフォーマンスにも優れたフレームとも言えるだろう。

ただひとつ気をつけたいのはフレームサイズだ。今回、大きいサイズ(550)と小さいサイズ(510)のカリスに乗ったのだが、サイズによってやや剛性感などのフィーリングが異なるのだ。ここは留意しておいたほうがいいだろう。だから小さいフレームと大きなフレームではフィーリングが違うようだ。今回僕がメインにインプレッションしたのは大きなサイズ(550)のカリスとなっている。


「ピュアレーシングスピリッツの塊のようなバイク」 三上和志(サイクルハウスミカミ)

今回は大と小の2サイズ試乗車があったので小さいほうをチョイスして乗らせてもらった。

まずインパクトのあるフレームのルックスから見ていこう。極太のチェーンステーに細身のシートステー。そしてインテグラルシートポストに大きなサイズのベアリングを使っているヘッドパーツ。さらにストレートフォークとブレーキワイヤー内臓式のフレーム構造。これだけ見ても現在のトレンドをしっかり抑えているバイクフレームだ。

そして乗り始めたときに感じた印象は「硬さを前面にだした、とにかくキビキビ走りたいという人に向いたバイク」ということだ。しなやかさを持って進むタイプとは真逆の性格。強い入力でもたわまない硬さを持っているので、力でグイグイ進ませるタイプだ。

「ピュアレーシングスピリッツの塊のようなバイク」三上和志「ピュアレーシングスピリッツの塊のようなバイク」三上和志

乗り込んでいくとその性格はさらに明確になっていく。フレームにも書かれている「ピュアレーシングスピリッツ」という言葉そのままのキャラクターなのだ。

顕著にその性格を感じたのは荒れた路面での走行だ。ラフな路面で中途半端な踏み込みのダンシングをすると、よく暴れる。まるで「思い切り踏み倒して積極的に走れ」と言わんばかりの反応を見せる。

なので荒れた路面のストレートを思いっきり踏み倒してみた。すると“自分の感覚に対してダイレクトに進んでいく気持ちいい走り”をしてくれる。ひたすら力強く駆け引きのないスピードだけを追い求める純粋さをこういうところに感じる。

そしてハンドリングもダイレクトでシャープな印象。集団のなかで有利な位置取りをしたいときなど、積極的な操作をして思い通りにバイクを操りたい人に向いている。
ロードレースのなかでも減速と加速を繰り返すクリテリウムなどに向いているバイクだ。

パワーライダー向けの、実に分かりやすいレーシーな仕上がりになっている。そのため、カーボンの快適性能を求めることはできない。ここまでターゲットを絞って、さらにピンポイントで狙ってその性能を突き詰める潔さには感服する。

価格面から見ても約20万円のフレームでこれだけしっかり硬く作っているものは珍しい。

おススメしたいのは、レースを積極的に楽しんでいる人。そのなかでも特に高い剛性とダイレクトなハンドリングを求める人には有力な選択肢となってくれるだろう。


エヴァディオ カリスエヴァディオ カリス (c)Makoto.AYANO/cyclowired.jp
エヴァディオ カリス
フレーム:カーボン
フォーク:カーボン
メインコンポ:カンパニョーロ アテナ(限定完成車)
ホイール:フルクラム レーシング5(限定完成車)
タイヤ:ミシュラン リチオン(限定完成車)
カラー:レッド/ホワイト、ブラック/ホワイト(限定車)、2011フレームセットと完成車はすべてカラーオーダー
サイズ:49、51、53、55
完成車想定重量 7.5kg(49cm)
希望小売価格(税込み):207,900円(フレームセット)、228,900円(限定車カラーフレームセット)、312,900円(限定完成車)





インプレライダーのプロフィール

鈴木祐一鈴木祐一 鈴木 祐一(Rise Ride)

サイクルショップ・ライズライド代表。バイシクルトライアル、シクロクロス、MTB-XCの3つで世界選手権日本代表となった経歴を持つ。元ブリヂストン MTBクロスカントリーチーム選手としても活躍した。2007年春、神奈川県橋本市にショップをオープン。クラブ員ともにバイクライドを楽しみながらショップを経営中。各種レースにも参戦中。セルフディスカバリー王滝100Km覇者。
サイクルショップ・ライズライド


三上 和志三上 和志 三上和志(サイクルハウスMIKAMI)

埼玉県飯能市にある「サイクルハウスMIKAMI」店主。MTBクロスカントリー全日本シリーズ大会で活躍した経験を生かし、MTBに関してはハード・ソフトともに造詣が深い。トレーニングの一環としてロードバイクにも乗っており、使用目的に合った車種の選択や適正サイズに関するアドバイスなど、特に実走派のライダーに定評が高い。
サイクルハウスMIKAMI



ウェア協力:ルコック・スポルティフ



photo:Makoto.Ayano
text:Kiichi.Gotoda
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