ツアー・オブ・ハイナン第2ステージ。ビーチリゾート三亜をスタートして、内陸の五指山へ向かう2つの山岳ポイントを含む167.5kmレースは、集団スプリントのすえヴァレンティン・イグリンスキー(カザフスタン、アスタナ)が優勝した。日本勢は西谷泰治(愛三工業レーシングチーム)が僅差で2位。ゴール後に悔しさを滲ませた。

沿道では子どもたちが元気に旗を振る沿道では子どもたちが元気に旗を振る photo:Sonoko Tanaka本格的なラインレースがスタートしたツアー・オブ・ハイナン。第2ステージは昨日周回レースを行った島南部の三亜をスタートしたあと海沿いに北上する。

3級の山岳ポイントを通過し、陵水から内陸に入って島の最高峰五指山をめぜす167.5kmのコースレイアウトだ。ゴール手前20km地点にある高低差300mほどの2級山岳もレースの要となる。

山岳ポイントを集団内で越える土井雪広(スキル・シマノ)山岳ポイントを集団内で越える土井雪広(スキル・シマノ) photo:Sonoko Tanakaスタートしたのは10:00。序盤は緩やかなペースでレースが進む。最初に集団から飛び出したのは、ハヴィ・フィトリアント(インドネシア、ポリゴン・スイート・ナイス)。独走のまま最初の3級山岳ポイントを越えると、その後ステファン・コーネン(ドイツ、ディフェルダンジュ)が先行する。

しかし、それも最後の山岳の上りで集団に吸収される。上りでの集団はアスタナがおもにコントロールし、結果的に大集団のままでゴールを迎えた。僅差のスプリントを制して両手を挙げたのはイグリンスキーだった。

スプリントバトルを繰り広げる西谷泰治(愛三工業レーシングチーム)とヴァレンティン・イグリンスキー(カザフスタン、アスタナ)スプリントバトルを繰り広げる西谷泰治(愛三工業レーシングチーム)とヴァレンティン・イグリンスキー(カザフスタン、アスタナ) photo:Sonoko Tanaka今回、ロシアナショナルチームと非常にジャージが似ている愛三チーム。集団内で彼らを捜すのは至難の技とも言えるのだが、このゴールスプリントにおいては、遠くからでもしっかりと愛三チームのジャージを認識することができた。

ゴールラインから見て集団の左側に西谷、中央に盛一大だ。そして急加速したのは西谷だった。左から中央に寄るような形で勢いのあるイグリンスキーに迫り、両者ほぼ横一線に並んでゴールラインを通り抜けた。

選手たちの話を聞くと、残り1km地点で綾部勇成(愛三)を含む3選手が先行し、残り500mでイラン人や盛が飛び出すとラインが割れた。そして一斉に広がるようにしてゴールスプリントが掛かったのだという。僅差でステージ優勝を逃した西谷の表情が悔しさで歪む。

ゴールスプリントを制したのはヴァレンティン・イグリンスキー(カザフスタン、アスタナ)ゴールスプリントを制したのはヴァレンティン・イグリンスキー(カザフスタン、アスタナ) photo:Sonoko Tanaka
ゴール後にレースを振り返る愛三チームメンバーゴール後にレースを振り返る愛三チームメンバー photo:Sonoko Tanaka西谷泰治のコメント
「今日は勝つつもりでスプリントをしました。でも左側に気配を感じて……。残り1kmまで、チームメイトの動きは完璧でした。あとは自分が勝つだけなのに、勝てなかったことは悔しい。ゴール前が思っていたよりも上りだったのも悔しいですね。
ステージ上位の表彰式。プロツアーチームの選手に混じり健闘!ステージ上位の表彰式。プロツアーチームの選手に混じり健闘! photo:Sonoko Tanaka
このコースを知っていたら、かけるタイミングを遅くしたし、ギヤもあと1枚軽くてもよかったと思う。今日は勝ちたい気持ちが先行してしまって焦っていました。それが結果的に自分が前に出る時間を長くしてしまいました」

リーダージャージを獲得したヴァレンティン・イグリンスキー
「すべてのチームメイトがサポートしてくれてベストなコンディションでの勝利だった。ハイナンは4回目の参戦。このままジャージをキープしたいと思う」

明日の第3ステージは、今大会最高カテゴリーである1級山岳を含む山岳コース。逃げが決まるのか、またしても集団でのスプリントになるのか? 現在西谷がトップから4秒遅れの2位、盛が10秒遅れの5位と総合上位に食い込んでいる。一方で、有力視されていたアレクサンドル・ヴィノクロフは登坂区間で遅れ、現在トップから2分30秒遅れの89位に後退している。


ツアー・オブ・ハイナン2010第2ステージ結果
1位 ヴァレンティン・イグリンスキー(カザフスタン、アスタナ)  4h28'23"
2位 西谷泰治(日本、愛三工業レーシングチーム)
3位 ジョニー・ウォーカー(オーストラリア、フットオン・セルベット)
9位 盛一大(日本、愛三工業レーシングチーム)
32位 土井雪広(日本、スキル・シマノ)
36位 綾部勇成(日本、愛三工業レーシングチーム)          +06"
80位 福田真平(日本、愛三工業レーシングチーム)          +2'20"
98位 鈴木謙一(日本、愛三工業レーシングチーム)

個人総合成績
1位 ヴァレンティン・イグリンスキー(カザフスタン、アスタナ)  6h00'00"
2位 西谷泰治(日本、愛三工業レーシングチーム)           +04"
3位 ジョニー・ウォーカー(オーストラリア、フットオン・セルベット) +06"
5位 盛一大(日本、愛三工業レーシングチーム)            +10"
22位 土井雪広(日本、スキル・シマノ)
34位 綾部勇成(日本、愛三工業レーシングチーム)           +16"
75位 福田真平(日本、愛三工業レーシングチーム)          +2'30"
87位 鈴木謙一(日本、愛三工業レーシングチーム)

アジア最高位
ヴァレンティン・イグリンスキー(カザフスタン、アスタナ)

ポイント賞
ヴァレンティン・イグリンスキー(カザフスタン、アスタナ)

山岳賞
アルカイス・ドゥーラン(スペイン、フットオン・セルベット)

text&photo:Sonoko Tanaka

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