ゴールまで700mある直線路のど真ん中を、黄色いジャージがまっすぐに低い姿勢で突き進んでくる。その後方では4人がけん制で大きく蛇行。後続に10秒の差をつけて18歳の山本元喜(鹿屋体育大学)が第3ステージを制した。総合は変わらず清水都貴(チームブリヂストン・アンカー)リーダーのままで翌日の最終ステージへ。

山本元喜(鹿屋体育大学)がロングスパートで優勝山本元喜(鹿屋体育大学)がロングスパートで優勝 photo:Hideaki.TAKAGI
9月19日(日)、第3ステージが室蘭市から恵庭市の165kmにて行われた。スタート地点に並んだのは70名。前日のハードなステージで22名がDNFとなった。
この第3ステージは、序盤に標高差800m強のオロフレ峠がそびえる。下った後に、緩い美笛峠を越えて支笏湖畔へ。そこから大会最後のKOMをクリアすると下って32kmで自衛隊敷地内でゴールする山岳コースだ。


オロフレ峠を制しステージ山岳賞のブライアン・バークハウス(北海道地域選抜)オロフレ峠を制しステージ山岳賞のブライアン・バークハウス(北海道地域選抜) photo:Hideaki.TAKAGIスタート後からアタックがかかるが決まらない。オロフレ峠でブライアン・バークハウス(北海道地域選抜)がまず飛び出し、その後はジャン・キュング(大韓民国チーム)、西薗良太(東京大学)らが単独で抜け出してKOMを通過。下った後にメイン集団に吸収される。

そののちに8名の逃げができる。狩野智也(チームブリヂストン・アンカー)、宮澤崇史(TEAM NIPPO)、盛一大(愛三工業レーシングチーム)らでメイン集団に5分差をつける。しかし総合8位の狩野を含むためメイン集団が追い上げてこれを吸収、振り出しに戻す。

支笏湖畔に出てから集団が活性化、アタックの応酬で8人の逃げができる。山本元喜(鹿屋体育大学)、ヴィンチェンツォ・ガロッファロ(TEAM NIPPO)、フェン・チュンカイ(アクションサイクリングチーム)、ユム・ジュンファン(大韓民国チーム)、鈴木譲(シマノレーシング)、盛、海藤稜馬(クムサン・ジンセン・アジア)、中村誠(宇都宮ブリッツェン)だ。

オロフレ峠、リーダーの清水都貴(チームブリヂストン・アンカー)みずからメイン集団を引くオロフレ峠、リーダーの清水都貴(チームブリヂストン・アンカー)みずからメイン集団を引く photo:Hideaki.TAKAGI最後のKOMへの上りでこの8名がばらける。盛、海藤、中村が下がり先頭も一時はばらけるがふたたびまとまり5名でゴールへ向かう。
あと1km地点で山本がアタック、残りの4人はけん制状態となり山本の独走を許す。結局山本が後続に10秒の差をつけて優勝。後続はガロッファロが先着する。

優勝した山本は、昨年に奈良北高校で出場したインターハイ・ロードレースで逃げ切って優勝。今春同大入学後に学生チームロード優勝メンバー、そして全日本選手権ロードU23のチャンピオンに。インカレロードでは優勝した内間をアシストしながら3位入賞。強さは折り紙つきだが、それでも18歳にしての優勝は快挙だ。24年間のツール・ド・北海道の歴史でも、ステージ区間での大学生の優勝は初めて。登坂や独走を得意とし、今回のロングスパートは彼ならではだ。

支笏湖HSを通過する先頭集団支笏湖HSを通過する先頭集団 photo:Hideaki.TAKAGI逃げた5人は総合で6分以上遅れた選手だったので、総合上位陣に変化はなかった。この日もリーダーの清水をアシストする狩野の動きが光った。

翌日は最終日、モエレ沼公園でのクリテリウム。
ボーナスタイムの合計は19秒。昨年のようなあわや大逆転かというドラマは生まれるか?
総合1位2位の清水と佐野だけならば清水のスプリント力が優位だが、当然チーム一丸での戦いになり、また3位以下チームの動きも無視できない。コースも変わった。予断を許さない63kmのレースに注目だ。

ヴィンチェンツォ・ガロッファロ(TEAM NIPPO)が2位にヴィンチェンツォ・ガロッファロ(TEAM NIPPO)が2位に photo:Hideaki.TAKAGIステージ優勝の山本元喜(鹿屋体育大学)のコメント
「強い選手が走るこのレースで、目立った走りができればと思っていた。監督からも今日がこの大会最後の活躍できるチャンスだと言われていた。勝てると思ったのはゴールライン間近でです」


結果
第3ステージ 165km 室蘭市~恵庭市
1位 山本元喜(鹿屋体育大学)4時間14分15秒
2位 ヴィンチェンツォ・ガロッファロ(TEAM NIPPO)+10秒
3位 フェン・チュンカイ(アクションサイクリングチーム)

メイン集団ゴール400m前、小坂光(宇都宮ブリッツェン)が先頭メイン集団ゴール400m前、小坂光(宇都宮ブリッツェン)が先頭 photo:Hideaki.TAKAGI4位 ユム・ジュンファン(大韓民国チーム)
5位 鈴木譲(シマノレーシング)
6位 パク・スンベク(大韓民国チーム)+1分42秒
7位 内間康平(鹿屋体育大学)
8位 辻善光(宇都宮ブリッツェン)
9位 宮澤崇史(TEAM NIPPO)
10位 福島晋一(クムサン・ジンセン・アジア)

個人総合時間賞
1位 清水都貴(チームブリヂストン・アンカー)14時間42分09秒
2位 佐野淳哉(TEAM NIPPO)+05秒
3位 チョイ・ジョンギュン(大韓民国チーム)+14秒
4位 綾部勇成(愛三工業レーシングチーム)+23秒
5位 村上純平(シマノレーシング)+23秒
6位 ベル・ステファン(ARBO-KTM-ゲブリューデルヴァイス)+39秒
7位 内間康平(鹿屋体育大学)+48秒
8位 狩野智也(チームブリヂストン・アンカー)+1分02秒
9位 ユム・ジュンファン(大韓民国チーム)+5分10秒
10位 フェン・チュンカイ(アクションサイクリングチーム)+5分12秒

個人総合ポイント賞
1位 宮澤崇史(TEAM NIPPO)42点
2位 パク・スンベク(大韓民国チーム)40点
3位 清水都貴(チームブリヂストン・アンカー)37点

個人総合山岳賞
1位 ジャン・キュング(大韓民国チーム)28点
2位 ブライアン・バークハウス(北海道地域選抜)18点
3位 フェン・チュンカイ(アクションサイクリングチーム)14点

個人総合時間賞U23
1位 内間康平(鹿屋体育大学)14時間42分57秒
2位 吉田隼人(鹿屋体育大学)+5分59秒
3位 中田匠(日本大学)+6分09秒

団体総合時間賞
1位 チームブリヂストン・アンカー 44時間14分17秒
2位 TEAM NIPPO +3分55秒
3位 シマノレーシング +3分59秒

photo&text:高木秀彰

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