選手たちに最も恐れられていたコース、それがこの際限なく大小のアップダウンが続く第2ステージだ。レースは終盤でできた8人の逃げによるゴール勝負を清水都貴(チームブリヂストン・アンカー)が制し、個人総合リーダーに。第2集団は6分差のため、総合は佐野など8人に絞られた。

5km地点、厳しい山岳ステージが始まった5km地点、厳しい山岳ステージが始まった photo:Hideaki.TAKAGIいままでスプリンターに有利だったツール・ド・北海道。厳しいステージで大きくレースは動いた。各チームのエーススプリンターを含む第2集団は、先頭の8人から6分遅れでゴール。総合争いはこの日のステージ上位8人に絞られた。

66km地点KOM2はジャン・キュング(大韓民国チーム)と狩野智也(チームブリヂストン・アンカー)が先頭66km地点KOM2はジャン・キュング(大韓民国チーム)と狩野智也(チームブリヂストン・アンカー)が先頭 photo:Hideaki.TAKAGI9月18日(土)、ツール・ド・北海道第2ステージが倶知安町周辺の186kmで行われた。コースは大きなのぼりは1箇所だが、ほかは中小のアップダウンがこれでもかというほど延々と繰り返されるハードコース。この日で確実に大勢が決まるとあって、誰をも寄せ付けない集中を見せる選手、普段よりも饒舌な選手とさまざま。

9時30分、2名を欠いた92名がスタート。ひらふ坂をパレード走行で下っていく。つぎにここに戻ってくるのは5時間後。逆に10%の坂を登るゴールだ。
スタート後からアタックがかかるが、決まったのは15km地点、ジャン・キュング(大韓民国チーム)と狩野智也(チームブリヂストン・アンカー)の2人が先行。

66km地点KOM2 メイン集団からアタックする内間康平(鹿屋体育大学)、柿沼章(宇都宮ブリッツェン)66km地点KOM2 メイン集団からアタックする内間康平(鹿屋体育大学)、柿沼章(宇都宮ブリッツェン) photo:Hideaki.TAKAGIそのままチセヌプリKOMと次のKOMをジャン先頭で通過。2つ目のKOMでは、4位争いのアタックをきっかけにメイン集団前方が活性化。下りを経てそのまま15名の第2集団が形成される。

90km地点で先頭2名に追走15名が追いつき、17名の先頭集団に。この先頭は後続に4分差をつけるが、後続からも追走がかかり、約10人単位で3つほどにメイン集団が分断される。

130km地点、17名の先頭に後続が追いつき先頭は約30名に。この後に8名が抜け出す。メンバーは、清水都貴・狩野智也(チームブリヂストン・アンカー)、佐野淳哉(TEAM NIPPO)、チョイ・ジョンギュン(大韓民国チーム)、綾部勇成(愛三工業レーシングチーム)、村上純平(シマノレーシング)、ベル・ステファン(ARBO-KTM-ゲブリューデルヴァイス)、内間康平(鹿屋体育大学)で、BSアンカーが2名入る。

110km地点、先頭集団110km地点、先頭集団 photo:Hideaki.TAKAGI残された集団には、宮澤、西谷、鈴木真理、畑中、辻、福島ら総合優勝候補が多く入っていたが、8名との差は広がっていく。優勝争いは先頭8人へ移る。タイム差も考えると、ステージだけでなく、総合順位もこの8人で決まってしまう逃げだ。

8名はほぼ均等にローテーションするが、時々様子見のアタックなどが繰り出される。先頭の8名へは、後続との差が4分と示されたが、次には45秒との情報があり、追いつかれないように内間らを中心にペースアップされる。しかし情報は4分から5分と開いていたのが正しく、8人が大差をつけて最後のひらふ坂へ。佐野が先行するが、清水が落ち着いてこれをかわして優勝。2人は同タイムだが、3位以下はすべて秒差がついたゴール。

清水都貴(チームブリヂストン・アンカー)が優勝清水都貴(チームブリヂストン・アンカー)が優勝 photo:Hideaki.TAKAGI第2集団は、この日大活躍のブライアン・バークハウス(北海道地域選抜)が先行して、追い込んだ鈴木真理にわずかに先着。宮澤、西谷ら、そしてパクもゴール。すべてのジャージが入れ替わるステージになった。

清水優勝の立役者はなんと言っても狩野だ。序盤から逃げ続け、吸収されてからもアタックを繰り出して清水を強力にサポート。また、この日も前日に引き続いてジャン・キュングが逃げて、強さを強烈にアピールした。ジャンは元スピードスケートの韓国代表選手で、北海道にも来たことがあると話している。
ブライアン・バークハウス(北海道地域選抜)も単独逃げる場面が目立ち、9位と健闘。佐野は惜しくも2位となったが、元チームメイトの清水を、もう少し早い段階で離していれば勝機はあったかもしれない。

優勝の清水都貴(チームブリヂストン・アンカー)と逃げ続けた狩野智也優勝の清水都貴(チームブリヂストン・アンカー)と逃げ続けた狩野智也 photo:Hideaki.TAKAGI翌第3ステージは序盤に今大会最大の峠、オロフレ峠を越えて支笏湖へ、そして小さな峠を越えて、恵庭市内の自衛隊敷地内へゴールする。山岳コースだが、上りと平坦、下りのはっきりとしたコース。勝負どころはピンポイントになるが、BSアンカーが主導権を握った状態で、他チームはボーナスタイムも考えながら攻める走りになる。

清水都貴(チームブリヂストン・アンカー)のコメント
「作戦通りに勝てた。翌第3ステージからリーダーチームとなることがコントロールしやすく、まさに狙い通り。狩野さんが強力で心強かった。同じチームで良かった(笑)。30人ほどの集団になったとき、他チームは集団ゴール狙いに感じたので、狩野さんがきっかけを作って少人数に絞り込んだ」


結果
第2ステージ
1位 清水都貴(チームブリヂストン・アンカー)4時間55分22秒
2位 佐野淳哉(TEAM NIPPO)
3位 チョイ・ジョンギュン(大韓民国チーム)+09秒
4位 綾部勇成(愛三工業レーシングチーム)+12秒
5位 村上純平(シマノレーシング)+16秒
6位 ベル・ステファン(ARBO-KTM-ゲブリューデルヴァイス)+27秒
7位 内間康平(鹿屋体育大学)+35秒
8位 狩野智也(チームブリヂストン・アンカー)+49秒
9位 ブライアン・バークハウス(北海道地域選抜)+6分14秒
10位 鈴木真理(シマノレーシング)

個人総合時間賞
1位 清水都貴(チームブリヂストン・アンカー)10時間26分12秒
2位 佐野淳哉(TEAM NIPPO)+05秒
3位 チョイ・ジョンギュン(大韓民国チーム)+14秒
4位 綾部勇成(愛三工業レーシングチーム)+23秒
5位 村上純平(シマノレーシング)+23秒
6位 ベル・ステファン(ARBO-KTM-ゲブリューデルヴァイス)+39秒
7位 内間康平(鹿屋体育大学)+48秒
8位 狩野智也(チームブリヂストン・アンカー)+1分03秒
9位 宮澤崇史(TEAM NIPPO)+6分16秒
10位 西谷泰治(愛三工業レーシングチーム)+6分22秒

個人総合ポイント賞
1位 清水都貴(チームブリヂストン・アンカー)37点
2位 パク・スンベク(大韓民国チーム)30点
3位 宮澤崇史(TEAM NIPPO)30点

個人総合山岳賞
1位 ジャン・キュング(大韓民国チーム)20点
2位 フェン・チュンカイ(アクションサイクリングチーム)13点
3位 狩野智也(チームブリヂストン・アンカー)11点

個人総合時間賞U23
1位 内間康平(鹿屋体育大学)10時間27分00秒
2位 吉田隼人(鹿屋体育大学)+5分59秒
3位 中田匠(日本大学)+6分09秒

団体総合時間賞
1位 チームブリヂストン・アンカー 31時間26分26秒
2位 愛三工業レーシングチーム +5分15秒
3位 TEAM NIPPO +5分27秒


photo&text:高木秀彰

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