2010年8月22日、エネコ・ツアー(UCIプロツアー)第5ステージが行なわれ、204kmのアップダウンコースで逃げを試みた逃げグループから終盤に飛び出したジャック・ボブリッジ(オーストラリア、ガーミン・トランジションズ)が独走勝利を飾った。

オランダの風車が選手たちを見下ろすオランダの風車が選手たちを見下ろす photo:Cor Vosエネコ・ツアー第5ステージはオランダ内陸部の丘陵地帯を舞台にした204km。アムステル・ゴールドレース名物のカウベルグを含む18カ所の短い上りが設定されている。さながらアルデンヌ・クラシックだ。

レース序盤に集団を飛び出し、逃げグループを形成したのは11名。現U23タイムトライアル世界チャンピオンで昨年TOJ(ツアー・オブ・ジャパン)でステージ2勝の活躍を見せたボブリッジの他、マウロ・ダダルト(イタリア、ランプレ)、ケニー・デハース(ベルギー、オメガファーマ・ロット)らがこの中に含まれた。

中盤にかけてカウベルグを含む細かいアップダウンが続く中盤にかけてカウベルグを含む細かいアップダウンが続く photo:Cor Vosリーダージャージ擁するチームHTC・コロンビアはこの動きを容認し、逃げグループとメイン集団のタイム差は4分に。

レース後半にかけてメイン集団ではエドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ)やリッチー・ポルト(オーストラリア、サクソバンク)らが動きを見せ、トニ・マルティン(ドイツ、チームHTC・コロンビア)のリーダージャージを揺さぶる。しかしチームHTC・コロンビアが全ての動きを封じ込めた。

トップスポート・フラーンデレンはファンスタイエンとデヘントの2人を逃げグループに送り込んだトップスポート・フラーンデレンはファンスタイエンとデヘントの2人を逃げグループに送り込んだ photo:Cor Vosアタック合戦が終わったメイン集団はペースが落ち、先頭グループの逃げ切りが濃厚に。アップダウンをこなすうちに先頭グループの人数は絞られ、ここからトップスポート・フラーンデレンのミカエル・ファンスタイエン(ベルギー)とトーマス・デヘント(ベルギー)が断続的にアタック。

しかしベルギー勢の攻撃はいずれも決まらず、ラスト2kmでボブリッジが飛び立った。持ち前の独走力を発揮したボブリッジは、それまで一緒に逃げていた選手たちを引き離してゴールへ。ボブリッジは最終的に後続を4秒、メイン集団を15秒引き離して独走ゴール。ガッツポーズを炸裂させた。

逃げグループの中からアタックを仕掛けるミカエル・ファンスタイエン(ベルギー、トップスポート・フラーンデレン)逃げグループの中からアタックを仕掛けるミカエル・ファンスタイエン(ベルギー、トップスポート・フラーンデレン) photo:Cor Vosボブリッジはオーストラリア・アデレード出身の21歳。AIS(オーストラリア)ジュニア時代からトラックレースとロードレースを両立するスピードマンとして活躍し、2006年から2年連続でジュニアトラック世界選手権団体追い抜きで優勝。昨年TOJでは南信州ステージと伊豆ステージで優勝し、総合7位。ロード世界選手権U23個人TTで見事優勝した。

今年ガーミン・トランジションズでプロデビューを飾ったボブリッジは、トラック世界選手権の個人追い抜きで3位。そして団体追い抜きで優勝し、世界チャンピオンに輝いている。輝かしい成績を残してきたボブリッジだが、これがプロデビュー以降初めて掴んだプロレースの勝利。しかもプロツアーレースでの勝利だ。

両手を広げてゴールするジャック・ボブリッジ(オーストラリア、ガーミン・トランジションズ)両手を広げてゴールするジャック・ボブリッジ(オーストラリア、ガーミン・トランジションズ) photo:Cor Vos「今日は何としても逃げに乗りたかった。終盤にかけてアタックが繰り返されたけど、落ち着いてチャンスを待った。ラスト2kmで飛び出したんだ。それで必要だったのは、ライバルたちの数秒の迷い。差が開くとライバルたちが牽制すると分かっていた。TTやトラックを得意とする自分にとって2kmという距離はパーフェクトだったよ。勝利出来て本当に嬉しい(ガーミン・トランジションズ公式サイト)」

リーダージャージはライバルたちの動きを抑え込んだマルティンがキープ。依然としてコース・ムーレンハウト(オランダ、ラボバンク)が10秒差、ディフェンディングチャンピオンのボアッソンが1分24秒差で追う展開だ。エネコ・ツアーは残り2ステージ。翌第6ステージはフレーシュ・ワロンヌ名物ユイの壁が設定されたアップダウンコースで、最終第7ステージは16.9kmの個人タイムトライアル。いよいよレースは佳境に入る。

レース展開はレース公式サイト、選手コメントはガーミン・トランジションズ公式サイトより。


エネコ・ツアー2010第5ステージ結果
1位 ジャック・ボブリッジ(オーストラリア、ガーミン・トランジションズ)4h45'38"
2位 ルーベン・ペレス(スペイン、エウスカルテル)+04"
3位 トーマス・デヘント(ベルギー、トップスポート・フラーンデレン)
4位 ミカエル・ファンスタイエン(ベルギー、トップスポート・フラーンデレン)
5位 ホリック・ハルディン(ベルギー、ヴァカンソレイユ)
6位 ドミニク・ネルツ(ドイツ、チームミルラム)+08"
7位 ヘルト・ステーグマン(ベルギー、レディオシャック)+15"
8位 ボルト・ボジッチ(スロベニア、ヴァカンソレイユ)
9位 ルーカスセバスティアン・アエド(アルゼンチン、サクソバンク)
10位 セルゲイ・ラグティン(ウズベキスタン、ヴァカンソレイユ)

個人総合成績
1位 トニ・マルティン(ドイツ、チームHTC・コロンビア)     23h18'10"
2位 コース・ムーレンハウト(オランダ、ラボバンク)          +10"
3位 エドヴァルド・ボアッソン(ノルウェー、チームスカイ)      +1'24"
4位 スヴェイン・タフト(カナダ、ガーミン・トランジションズ)    +1'26"
5位 ラース・ボーム(オランダ、ラボバンク)             +1'32"
6位 リッチー・ポルト(オーストラリア、サクソバンク)        +1'35"
7位 ドミニク・コルニュ(ベルギー、スキル・シマノ)         +1'39"
8位 ユルゲン・ルーランズ(ベルギー、オメガファーマ・ロット)    +1'42"
9位 アンドレアス・クレーデン(ドイツ、レディオシャック)      +1'43"
10位 ダニエル・オス(イタリア、リクイガス)

スプリント賞
ロビー・マキュアン(オーストラリア、カチューシャ)

新人賞
トニ・マルティン(ドイツ、チームHTC・コロンビア)

チーム総合成績
ラボバンク

text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos

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