アンディとフランクのシュレク兄弟は、ビャルヌ・リース監督率いるチームサクソバンクを今年いっぱいで辞め、彼らの出身国であるルクセンブルクのチームに移籍するという。果たしてこの話は実現するのか? グレゴー・ブラウンがレポートする。

アンディはビャルヌ・リースの元を去る?アンディはビャルヌ・リースの元を去る? (c)CorVos

シャンゼリゼに駆けつけた兄フランクとアンディ・シュレクシャンゼリゼに駆けつけた兄フランクとアンディ・シュレク (c)CorVosツール・ド・フランス2010を総合2位で終えた25歳のアンディ・シュレクは、彼と30歳の兄フランクがもしこの新チーム結成の話が完全なものでないとしても、リースのサクソバンクを離れる決心をしている。

アンディは言う「僕らの将来がまだどうなるかわからないにしても、来季はエキサイティングなものになるよ。僕らはもうビヤンヌ(リース)のためには走らない。これは公式発表だ」。

アンディは5年間、フランクは8年間リースのチームで走った。アンディは過去2年のツール・ド・フランスで総合2位を2回、昨年はリエージュ~バストーニュ~リエージュで勝利を収めた。
フランクはツールで2度総合5位になり、今年ツール・ド・スイスに勝った。2006年にはアムステルゴールドレースにも勝っている。

「それは素晴らしい5年間、フランクにとっては8年だった」とアンディは振り返る。そして「その間多くのことを学んだし、僕は今でもビヤンヌの友達だ。でもこれは僕らにとって、そしてチームにとって、ロードの終点なんだ」。


腹心の男ブライアン・ニガードの裏切り

リースにはかつて、デンマーク人のブライアン・ニガードという名の腹心の男がいた。今となってはシュレク兄弟の離脱の責を問い詰めたい人物が。

リースはニガードを2009年までチームのプレス担当として雇用してきた。ニガードはリースを、いい時も悪い時も、彼の右腕として支えてきた。2008年にカルロス・サストレでツールの勝利を勝ち取った時も、リースが1996年のツールでEPOを使用したと告白し、窮地に立たされた時も。

ツール・ド・フランス直前にリース監督に解雇されたキム・アンデルセン氏ツール・ド・フランス直前にリース監督に解雇されたキム・アンデルセン氏 (c)Makoto.AYANOニガードは今年、チームスカイのプレス担当として契約して働いていた。しかしツール直前にチームを去る。ほぼ時を同じくして、サクソバンクのデンマーク人監督キム・アンデルセン氏がチームを去る。アンデルセンがニガードのチームの監督になろうとしていることを嗅ぎつけたリースが、利益の衝突が避けられないとしてアンデルセンを解雇したのだ。

ニガードはこの日曜日、Eメールでこう告げた。「いかなる情報もまだ話せない。しかしいくつかの情報をデンマークの新聞”ウィークエンド・アヴィセン”に載せる」

それによれば、新チームへのスポンサードはルクセンブルクの投資家フラヴィオ・ベッカ氏を通して行なわれる。ベッカ氏はサイクリングへの情熱があり、ニガードとは4月のロンド・ファン・フラーンデレン(ツール・ド・フランドル)の時期に話し合いの席を持った。

ニガード氏は言う「フラヴィオは素晴らしい情熱を持つビジネスマンで、プロサイクリングの世界について知識を深めようと1ヶ月間という時間すべてを費やして学んだんだ。たとえそれが宣伝活動の一環だとしても、素晴らしい姿勢だ。彼の知性と姿勢に感銘を受けた」

レキップ紙によればタイトルスポンサーの候補社としては、ファーストフードチェーンのQuick(クイック)か、スーパーマーケットチェーン大手のAuchan(オシャン)が有力だろうと伝えられている。どちらもフランスの会社で、ルクセンブルクの会社ではない。

シュレク兄弟に続いて加入するのは、リーナス・ゲルデマン(ドイツ、現チームミルラム)、ロメン&ブリス・フェイユ兄弟(フランス、共にヴァカンソレイユ)、スチュアート・オグレディ(オーストラリア、現サクソバンク)、イェンス・フォイクト(ドイツ、サクソバンク)、ヤコブ・フグルサング(デンマーク、サクソバンク)ではないかと噂されている。


アルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)とアンディ・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク)。ともにスペシャライズドのバイクに乗るアルベルト・コンタドール(スペイン、アスタナ)とアンディ・シュレク(ルクセンブルク、サクソバンク)。ともにスペシャライズドのバイクに乗る photo:Cor Vosリースはコンタドールと共に

リースはシュレク兄弟というチームの主力を失う代わりに、それに匹敵する、いや、それ以上の選手を獲得する。ツール3勝のスペイン人、アルベルト・コンタドール(現アスタナ)だ。

コンタドールはツール・ド・フランスに優勝した2日後の7月28日に、年の終わりにはアスタナを離れると発表した。昨年末もコンタドールはアスタナを離れる寸前だったが、スペシャライズド社と2010、2011年の2年に渡る個人スポンサー契約を結ぶと、アスタナに留まった。
アメリカのバイクメーカーであるスペシャライズド社は、リースのチームとのスポンサー契約を継続するだけでなく、新リーダーのコンタドールさえもたらしそうだ。

リースのチームは8月3日、デンマークの首都コペンハーゲンで記者会見を開く。おそらくはコンタドール獲得とスポンサーについての発表があるものと思われる。

リースは7月のツール・ド・フランス期間中に新しいタイトル(メイン)スポンサーを見つけたこと、そしてサンガード社はサブスポンサーになることを発表した。
リースはそのとき、「そのタイトルスポンサーの名前は今は言えない。なぜならその会社のビジネス戦略だから」「ツール中にはそのことを明かさない。終わってから明かす。それが彼らとの合意だから」と語っていた。

スペシャライズド社は現在リースのチームであるサクソバンクとアスタナにバイクとエキップメントを供給している。その2チームがツールの1位と2位、つまりコンタドールと39秒差で負けたアンディシュレクをして占めた。
そのスペシャライズド社がタイトルスポンサーになるのではないかというのがもっぱらの予測だ。発表を待ちたい。


text:Gregor.Brown
translation:Makoto.AYANO