2010年8月1日、ポーランドに於いて第67回ツール・ド・ポローニュ(UCIプロツアー)が開幕。初日の第1ステージはラスト1.5kmで大規模な落車が発生する荒れた展開で、イタリア期待のジャコポ・グアルニエーリ(イタリア、リクイガス)が優勝。落車を避けた別府史之(レディオシャック)が13位に入った。

ツール・ド・ポローニュ第1ステージ・コースプロフィールツール・ド・ポローニュ第1ステージ・コースプロフィール image:www.tourdepologne.plポーランド最大のロードレース、ツール・ド・ポローニュ(ポーランド一周)が開幕した。同レースは1928年に第1回大会が開催された歴史あるステージレースで、2005年からプロツアーレースとして開催されている。

レースにはプロツアー18チームの他、昨年大会の覇者アレッサンドロ・バッラン(イタリア)擁するBMCレーシングチーム、ヴァカンソレイユ、サーヴェロ・テストチーム、スキル・シマノのプロコンチネンタル4チーム、そして地元ナショナルチームとしてポーランドBGZが出場した。

ワルシャワの周回コースをこなす選手たちワルシャワの周回コースをこなす選手たち photo:Cor Vosレディオシャックからは別府史之が3年ぶり3度目の出場。「別府史之UNITYプログラム」をスタートさせたフミは、毎日違うガン患者の名前を刻んだ「I RIDE FOR」ステッカーを貼ってレースに出場した。

第1ステージはソハチェフから首都ワルシャワまでの175.1km。ほぼフラットなコースで、後半にかけて高低差20mほどの8.1km周回コースを8周する。

スプリンターチームを先頭に周回コースをこなすメイン集団スプリンターチームを先頭に周回コースをこなすメイン集団 photo:Cor Vosレースは地元ポーランドBGZがアタックを連発させ、ブラジェイ・ヤニャチク(ポーランド、ポーランドBGZ)、ミヒャエル・シェアー(スイス、BMCレーシングチーム)、ラスロ・ボドロギ(フランス、カチューシャ)、ダニエル・セスマ(スペイン、エウスカルテル)の4名が最大6分のリードで逃げる展開。

メイン集団は集団スプリントを狙うチームHTC・コロンビアが積極的にコントロールし、逃げグループとのタイム差を詰めて行く。

やがて先頭ではボドロギが独走を開始。メイン集団から飛び出したルーカス・ボドナール(ポーランド、ポーランドBGZ)とスティーブ・オウアナー(フランス、スキル・シマノ)がボドロギに合流し、ボドナールがこの日唯一の山岳ポイントを先頭で通過した。

結局逃げはラスト8km地点で吸収され、スプリンターチームが入り乱れながら最終周回を駆け抜ける。クイックステップやアスタナ、カチューシャが競り合う中、フミも集団の先頭に。ゴールまで2kmを切るとチームスカイがメンバーを揃えて集団先頭に立った。

ラスト1kmのアーチ通過直前、激しいポジション争いが繰り広げられた集団先頭で落車が発生。コースを完全に塞ぐほどの大落車が発生し、難を逃れたフミを含む20名ほどが先行してスプリント勝負が始まった。

チームスカイのトレインが終始主導権を握り続けたが、ラスト300mでペーター・サガン(スロバキア、リクイガス)がグアルニエーリを連れて先頭へ。完璧なリードアウトを見せたサガンに発射されたグアルニエーリが、アイトール・ガルドス(スペイン、エウスカルテル)やアラン・デーヴィス(オーストラリア、アスタナ)らの追撃を振り切って先頭でゴールを駆け抜けた。

スプリント勝利を飾ったジャコポ・グアルニエーリ(イタリア、リクイガス)スプリント勝利を飾ったジャコポ・グアルニエーリ(イタリア、リクイガス) photo:Riccardo Scanferla

リーダージャージに袖を通したジャコポ・グアルニエーリ(イタリア、リクイガス)リーダージャージに袖を通したジャコポ・グアルニエーリ(イタリア、リクイガス) photo:Cor Vosグアルニエーリは1987年生まれの若手スプリンター。トラック競技でそのスピードを磨き、ジュニア時代にはポイントレースやマディソンで活躍。グアルニエーリは昨年プロ初勝利を飾ったツール・ド・ポローニュで再びの勝利を飾った。10秒のボーナスタイムを獲得し、イエローのリーダージャージを獲得している。

「今シーズンは野望に燃えていたのに、ここまで勝利に見放されていた。トラックを走って、サンペッレグリーノでの合宿を経てようやく脚が回り始めたんだ。トップスプリンターと対等に闘える日は近い。自分は成長している(ガゼッタ紙)」


スタート前の別府史之(レディオシャック)スタート前の別府史之(レディオシャック) photo:Riccardo Scanferla今大会、リクイガスはグアルニエーリの他にもダニエーレ・ベンナーティ(イタリア)やファビオ・サバティーニ(イタリア)、サガンと言ったスピードのある選手を多く揃えている。総合力のあるシルヴェスタ・シュミットを含め、地元ポーランド人選手も3名出場。チームの士気は上がっていることだろう。

落車を免れ、先頭集団でゴールしたフミはチーム内トップのステージ13位。調子の良さを見せた。総合では10秒遅れの17位につけている。

ツール・ド・ポローニュ2010第1ステージ結果
1位 ジャコポ・グアルニエーリ(イタリア、リクイガス)4h05'32"
2位 アイトール・ガルドス(スペイン、エウスカルテル)
3位 アラン・デーヴィス(オーストラリア、アスタナ)
4位 セバスティアン・シャヴァネル(フランス、フランセーズデジュー)
5位 ヤロスラフ・マリチャ(ポーランド、サクソバンク)
6位 クリストファー・サットン(オーストラリア、チームスカイ)
7位 アレクサンドル・クリストフ(ノルウェー、BMCレーシングチーム)
8位 マルセル・シーベルグ(ドイツ、チームHTC・コロンビア)
9位 ワウテル・ウェイラント(ベルギー、クイックステップ)
10位 マチュー・ドリュジョン(フランス、ケースデパーニュ)
13位 別府史之(日本、レディオシャック)

個人総合成績
1位 ジャコポ・グアルニエーリ(イタリア、リクイガス)     4h05'22"
2位 アイトール・ガルドス(スペイン、エウスカルテル)       +04"
3位 ブラジェイ・ヤニャチク(ポーランド、ポーランドBGZ)
4位 ミヒャエル・シェアー(スイス、BMCレーシングチーム)     +05"
5位 ラスロ・ボドロギ(フランス、カチューシャ)
6位 アラン・デーヴィス(オーストラリア、アスタナ)        +06"
7位 ダニエル・セスマ(スペイン、エウスカルテル)         +08"
8位 セバスティアン・シャヴァネル(フランス、フランセーズデジュー)+10"
9位 ヤロスラフ・マリチャ(ポーランド、サクソバンク)
10位 クリストファー・サットン(オーストラリア、チームスカイ)
17位 別府史之(日本、レディオシャック)

ポイント賞
ジャコポ・グアルニエーリ(イタリア、リクイガス)

山岳賞
ルーカス・ボドナール(ポーランド、ポーランドBGZ)

スプリント賞
ブラジェイ・ヤニャチク(ポーランド、ポーランドBGZ)

チーム総合成績
チームスカイ

text:Kei Tsuji
photo:Cor Vos, Riccardo Scarferla

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