ブランド史上最速バイクとして鳴り物入りで登場したS-Works Tarmac SL9。より多くのライダーが、その性能を体感できる3つのグレードが新たに発表された。今回は、そのボトムラインとなるCompグレードをインプレッション。常設化されたRovalアップグレードプログラムも見越し、Rapide CLX3への換装も含め、その性能をつまびらかにする。



スぺシャライズド Tarmac SL9 Expert Shimano Ultegra Di2(GLOSS PACIFIC BLUE METALLIC / WHITE) (c)スペシャライズドジャパン

現在のレーシングバイクを代表する一台として、多くのサイクリストからトップTierに位置づけられているのが、スペシャライズドのS-Works Tarmac。その最新世代となるSL9は、先日鮮烈なデビューを果たした。

全方位に優れた性能を持つオールラウンダーであった前作、S-Works Tarmac SL8から、僅か2gの重量増加で4Wのエアロ性能改善を果たし、その性能を更に研ぎ澄ますことに成功。

フレームはFact10r、フォークはS-Worksと同じFact12rを採用 (c)スペシャライズドジャパン

シートチューブに搭載された「Win Fin」や更に細身になったヘッドチューブ、それを実現するためのOffset Steererといった、先進的かつ独創的なテクノロジーが多く搭載され、ブランド史上最速の一台として、満を持して送り出された。

それから約2か月弱。その興奮も冷めやらぬ中、スペシャライズドはトップグレードのS-Worksだけでなく、全てのグレードのTarmacシリーズをSL9へと進化させることを発表した。

S-Worksグレード同様、Winfinを搭載 (c)スペシャライズドジャパン
Expertグレード以下は2ピースのコックピットを採用する (c)スペシャライズドジャパン



今回展開されるグレードは計3つ。最も手に取りやすい"Comp"、SL9の性能を引き出すアセンブルが施された"Expert"、そして新たに設定されたグレードで、S-Worksに次ぐ存在となる"S-Level"。

これまでのTarmacはS-Worksとそれ以外で、フレーム/フォークに用いる素材を変更することでコストを調整してきた。先代のSL8ではS-WorksがFACT 12rを用い、それ以外のグレード(ExpertやComp)では、FACT 10rを使用してきた。

今回のSL9世代では、その構成が変更されることに。S-LevelからCompに至るまで、フレームにFACT 10rを使用するのはSL8と共通だが、走行性能に大きな影響を与えるフロントフォークはS-Worksと同じFACT 12rで作られている、

スぺシャライズド Tarmac SL9 S-Level SRAM RED AXS(GLOSS CAYENNE METALLIC / CHROME) (c)スペシャライズドジャパン

この組み合わせによって、S-Works Tarmac SL9に肉薄するパフォーマンスと、より手の届きやすいプライスタグを実現した。更にコックピットやホイール、コンポーネントの組み合わせによって、S-LevelからCompまでのグレードが造り分けられている。

S-Worksに最も近い存在となるS-LevelではホイールにロヴァールのRapide CL3を、コックピットはS-Works同様のRapide Cockpitをアセンブル。コンポーネントにはスラム RED AXSを組み合わせる。価格は1,430,000円(税込)。

スぺシャライズド Tarmac SL9 Expert Shimano Ultegra Di2(GLOSS PACIFIC BLUE METALLIC / WHITE) (c)スペシャライズドジャパン
スぺシャライズド Tarmac SL9 Expert SRAM Force AXS(SATIN WARM SMOKE METALLIC / SILVER DUST) (c)スペシャライズドジャパン



続くExpertは足回りをカーボンホイールのRapide C38に。コックピットはハンドル/ステム別体のトラディショナルなスペックで、セッティングの幅を確保した。コンポーネントはスラム Force AXS、シマノ Ultegra Di2から選択可能。価格は924,000円(税込)。

そしてTarmac SL9シリーズのボトムラインを担うのがCompグレード。スラム Rival AXSとシマノ 105 Di2仕様が用意されており、ホイールはアルミリムのDT Swiss R470、コックピットもツーピース仕様となる。価格は594,000円(税込)。

スぺシャライズド Tarmac SL9 Comp SRAM Rival AXS(GLOSS VIVID RED / WHITE) (c)スペシャライズドジャパン

スぺシャライズド Tarmac SL9 Comp Shimano 105 Di2(GLOSS DOLOMITE METALLIC / CAYENNE METALLIC) (c)スペシャライズドジャパン
スぺシャライズド Tarmac SL9 Comp Shimano 105 Di2(GLOSS CHARCOAL TINT / DOLOMITE METALLIC) (c)スペシャライズドジャパン



Tarmac SL9シリーズのフルラインアップ発表と同時に、ロヴァールアップグレードプログラムの常設化も発表された。これは、プログラムの対象となる完成車やフレームを購入した際、ロヴァールのホイールやコックピットを15%オフで購入できるというプログラム。

今回紹介したバイクはどのグレードもプログラム対象となっているため、例えばTarmac SL9 Compにロヴァール Rapide CLX3を組み合わせることで、一気に最前線のレーシングバイクらしい走りを納車日からお得な価格で楽しめる。

では、実際にTarmac SL9ファミリーの実力はいかなるものなのか。S-Worksグレード発表時にインプレッションを担当した編集部員の高木が、今回はCompグレードの完成車、そしてアップグレードプログラムを想定して、ホイールをRapide CLX3に換装した状態でテストを行った。



S-Works譲りのスピードと万人受けするライドフィールを両立する一台

スぺシャライズド Tarmac SL9 Comp photo:Naoki Yasuoka

今回テストしたのは、シリーズの中でも最も現実的な価格のCompグレードで、シマノ105Di2仕様の完成車。ついに全グレードがSL9世代へと進化するということで、注目度は抜群。S-Works Tarmac SL9の頭抜けたパフォーマンスをどれだけ再現しているのかというところが、皆さんの気になっているポイントだろう。

結論から言うと、S-Worksと同等のエアロ性能を実現しつつ、そのスパルタンなライドフィールの角を落とし、万人受けする乗り味へと整えた一台として、非常にハイレベルなパフォーマンスを発揮してくれる。

スぺシャライズド Tarmac SL9 Comp photo:Naoki Yasuoka

もちろん、S-WorksとCompを比較すると全く同じレベルで走るとは言えないけれど、その差異の大部分は重量に由来するものだと感じる。実際に全体として約1.6kgの差があり、特に反応性に影響するホイールや、バイクの振りやすさやハンドリングに関わるコックピットが大きく異なるのだからそこは想定内とも言える。

それらの結果として、加速、特に低速域からの加速においてはマイルドな反応になる。一方で、ある程度速度が乗ってしまえば、S-Worksに肉薄するスピードを維持できる。実際、シートポスト以外はS-Worksと同じ形状なので、エアロ的な観点からすれば当然と言えば当然なのだけれども、これだけ価格の異なるバイクであろうと通底するパフォーマンスを持たせられることには舌を巻く。


フレームはFact10rカーボンで構成される photo:Naoki Yasuoka

Compグレードは2ピースのコックピットを採用。汎用性に優れたスペックだ photo:Naoki Yasuoka
シートポストはS-Works Tarmac SL8に採用されていたもの。S-Worksロゴが光る photo:Naoki Yasuoka



ホイールはDT SWISS R470 photo:Naoki Yasuoka

剛性感もS-Worksよりはしなやかな印象で、パワーバンドが低めのライダーでもしっかりと踏み切りやすい脚当たりの良いペダリングフィールに調整されている。S-WorksのSL8からS-Works SL9となった際には全体的に硬めの味付けになっていたが、その傾向は非S-Worksグレードにおいても共通しており、よりソリッドになっている。

とはいえS-Works Tarmac SL8よりも硬いということはなく、そこはS-Worksと非S-Worksグレードで明確に作り分けられているとも感じる。踏んだ際のしなる幅は、S-Worksに比べて明らかに大きくなっており、これがFact 12rとFact 10rという異なるカーボンのもたらす違いなのだろう。


普及モデルながら非常にハイレベルなパフォーマンスを発揮してくれる一台 photo:Naoki Yasuoka

ハンドリングに関してもSL9世代の特徴は受け継いでおり、一本筋が通った安心感のあるコーナーリングを楽しめる。別体式のコックピットは一体型のRapideよりも剛性という面では一歩譲るものの、逆にそれが良い意味で力を逃がすように働いてくれ、落ち着いてバイクを操作できる印象だ。

加えて、バイクセッティングの多様化が進むなかで、特に重要なコックピット周りのポジションを決め打ちせざるを得ない一体型ハンドルでは無く、細かな調整が行いやすい別体式がアセンブルされているのは、このグレードの完成車を狙う層にとってはむしろありがたいとも言える。一体型ハンドルを導入するのは、ある程度走り方やポジションの方向性が固まってからでも遅くはない。

S-Worksよりもしなやかで踏み切りやすい剛性感が特徴的だ photo:Naoki Yasuoka

総じてフレーム性能には高いポテンシャルを感じられ、パーツをアップグレードしていくことでかなり伸びしろがありそうな一台だ。それでは実際にどれほどの伸び代があるのか。今回は、ロヴァールのハイエンドオールラウンドホイールであるRapide CLX3との組み合わせでもテストを行った。

ホイールアップグレードで引き出されるTarmac SL9本来の鋭さ

ロヴァールアップグレードプログラムを利用する想定で、Rapide CLX3を組み合わせた状態でもテストを行った photo:Naoki Yasuoka

ローターとスプロケットを移し替え、同じコースを走ってみる。登り、下り、平坦とバランスよく登場するテストコースだが、正直なところ一漕ぎ目でその違いは明白だった。

Comp完成車の状態で感じていた、ベールが一枚かかったような感覚が綺麗さっぱりと無くなり、より鋭く、打てば響くようなレスポンスの良さが強調される。ゼロ発進だけでなく、低速からのダッシュや登りにおいても、引きずるような重さが消え、軽快そのものに。

一気に軽やかさが増し、打てば響くようなレスポンスを味わえる photo:Naoki Yasuoka

そして、平坦においてもスピードが一段増している。使い古された表現となるが、まさにギア1枚分重く出来るような、それほどの違いが生まれる。それでいて、踏みやすさや脚当たりの良さは健在で、どんなレベルのライダーを受け容れる間口の広いレーシングバイクの一つの完成形とも言えるほど。

Rapide CLX3自体がTarmac SL9を念頭に置いて開発されていることもあり、その相性は抜群。フレームの空力の良さを更にホイールが引き出し、その相乗効果でスピードがグングンと伸びていくのは、この組み合わせならばこそ。

一体型ハンドルはある程度乗り込んでからの方が良い、と先に書いたが、ホイールに関しては最初から良いものを使っても何の問題も無い。むしろ、気持ちよく、楽しく乗れるのだから、最初からアップグレードしたほうが良いとさえ言える。そして、Tarmac SL9なら、お得なアップグレードプログラムも適用されるのだから、これは使えるのであれば使ったほうが良いだろう。

高速域でのスピードの伸びにも磨きがかかる。 photo:Naoki Yasuoka

S-Worksはフレーム自体が異なるので除外するとして、フレームとフォークの構成が同じS-Level、Expert、Compの価格差を鑑みれば、アップグレードプログラムを利用してCompにRapide CLX3を履かせる、というのは最もリーズナブルな選択となるのではないだろうか。

正直、105 Di2やRival AXSであれば、上位グレードとの違いは多少の重量と僅かな変速スピードの差ぐらい。コックピットも初中級者であれば一体型である必要は無い。そう考えれば、大きな割合を占めるホイールに投資するのは賢明だ。

Tarmac SL9 Compにアップグレードプログラムを利用してRapide CLX3を購入すると、合計で1,005,400円となる。これに対して、Rapide C38にULTEGRA DI2/Force AXSのExpertが924,000円で少し安価。一方、Rapide CL3にRED AXS、一体型コックピットのS-Levelが1,430,000円とかなり大きな価格差がある。

Comp+Rapide CLX3の組み合わせはプライスフォーバリューはピカイチだ photo:Naoki Yasuoka

もちろんどのパッケージにも一長一短ある。特にハイエンドコンポーネントならではの操作感と軽量性、一体型コックピットのもたらすキレのあるハンドリング、誰が乗っても快適性を享受できる3Dプリントパッド採用のMirrorサドルなど、S-Levelのパッケージは"S"を冠するだけあるパーツアセンブルで、その価格に見合った内容であることは間違いない。ただ、コストパフォーマンスで言えば、CompとCLX3の組み合わせが頭一つ抜けていそうだ。実際、この組み合わせであれば、国内の実業団のE1クラスでも十分戦えるレベルだと感じる。

更にここからアップグレードするなら、クランクを軽量なカーボンモデルへと変更するとより鋭く軽やかなペダリングフィールになるはず。ポジションが固まれば、適正サイズの一体型ハンドルへと換装しても良いだろう。

投資に対して、しっかりと応えてくれるポテンシャルを秘めた一台。それがTarmac SL9だ。 photo:Naoki Yasuoka

それだけ投資したとしても、しっかりと受け止めてくれるポテンシャルがTarmac SL9には備わっている。レーサーの良き相棒として、長く付き合い続けられる一台だ。



スぺシャライズド Tarmac SL9 S-Level SRAM RED AXS
カラー:1色(GLOSS CAYENNE METALLIC / CHROME)
サイズ:49、52、54、56
参考重量:約7.1kg
価格:1,430,000円(税込)

スぺシャライズド Tarmac SL9 Expert SRAM Force AXS
カラー:1色(SATIN WARM SMOKE METALLIC / SILVER DUST)
サイズ:49、52、54、56、58
参考重量:約7.55kg
価格:924,000円 (税込)

スぺシャライズド Tarmac SL9 Expert Shimano Ultegra Di2
カラー:1色(GLOSS PACIFIC BLUE METALLIC / WHITE)
サイズ:49、52、54、56
参考重量:約7.53kg
価格:924,000円 (税込)

スぺシャライズド Tarmac SL9 Comp SRAM Rival AXS
カラー:2色(GLOSS CHARCOAL TINT / DOLOMITE METALLIC、GLOSS VIVID RED / WHITE)
サイズ:44、49、52、54、56、58、61
参考重量:約8.14kg
価格:594,000円 (税込)

スぺシャライズド Tarmac SL9 Comp Shimano 105 Di2
カラー:2色(GLOSS CHARCOAL TINT / DOLOMITE METALLIC、GLOSS DOLOMITE METALLIC / CAYENNE METALLIC)
サイズ:44、49、52、54、56、58、61
参考重量:約8.21kg
価格:594,000円 (税込)

text&photo:Naoki Yasuoka
Amazon.co.jp

【Amazon.co.jp限定】レッドブル エナジードリンク 250mlx8本

Red Bull(レッドブル)
Amazonプライス:¥1,462
参考価格:¥1,585

レッドブル エナジードリンク グリーンエディション 250mlx24本

Red Bull(レッドブル)
Amazonプライス:¥4,540
参考価格:¥5,132

レッドブル エナジードリンク チェリーエディション 250mlx24本

Red Bull(レッドブル)
Amazonプライス:¥4,441
参考価格:¥5,521

同じ製品カテゴリーの記事

最新ニュース(全ジャンル)