最終ステージに激しいドラマ。総合首位デルトロが単独逃げを図るも、フィニッシュ直前でポール・マニエが差し切って勝利。デルトロはUAEツアー、ティレーノ〜アドリアティコ、ツール・オーヴェルニュ〜ローヌ〜アルプに続く、今シーズン4度目のステージレース総合優勝でドイツ・ツアーを締めくくった。



山岳ジャージのミゲル・ハイデマン(ドイツ、レンべ・ラッドネット)を含む逃げグループ photo:A.S.O.

ドイツ最大のステージレース、ドイツ・ツアー(正式名称リドル・ドイッチュラント・ツアー)もいよいよ最終日。バーデン=ヴュルテンベルク州北部の大都市ハイルブロンを発着するコースは156kmで、後半にはワイン畑を登る「イェーガーハウス」を含む周回コースを3周回。総合成績変動を狙うアタックが激しく続くドイツ・ツアーだが、この日も最終日にふさわしい手に汗握る展開が繰り広げられた。

この日はミゲル・ハイデマン(ドイツ、レンべ・ラッドネット)を含む、6名中5名がドイツ人選手で構成された逃げグループを、総合首位のイサーク・デルトロ(メキシコ)擁するUAEチームエミレーツ・XRGが追いかける展開に。順調に距離を消化し、ペースを上げて突入した2回目のイェーガーハウスでは前日に総合首位を奪われたルイ・バレ(フランス、ヴィスマ・リースアバイク)がアタックを繰り出した。

ワイン畑の登坂「イェーガーハウス」を含む周回コースを3周回 photo:A.S.O.

集団前方で1回目のイェーガーハウスをこなすイサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツ・XRG) photo:A.S.O.

バレのアタックに対応できたのはデルトロと総合6位のマティアス・ヴァチェク(チェコ、リドル・トレック)だけ。しかし頂上を超えて平坦路に入ったところでメイン集団が追いつき、3回目にして最後のイェーガーハウスで再びバレがアタック。しかしデルトロはガッチリと喰らい付いて離さず、頂上付近でカウンターを仕掛けた。

「アタックではなく、どちらかというと安全策をとっていたけれど、差が付いているのが見えたからアタックしてみようと思ったんだ。抜け出してからは全速力だった」と言うデルトロは、バレとヴァチェクを振り切ってフィニッシュまで一直線。追いかける2名を20秒、スプリントに目標を切り替えた集団を35秒引き離して独走を続けた。

逃げ切りの可能性を残しながらエアロポジションで高速巡行するデルトロだったが、人数を増やして勢いづくメイン集団は、アタックを繰り返しながら最終盤にデルトロを視界に捉えてフィニッシュラインに到達。ポール・マニエ(フランス、スーダル・クイックステップ)がラスト300mからロングスパートを仕掛け、残り50m手前でデルトロを抜き去る。ダニー・ファンポッペル(オランダ、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)を僅かに抑えたマニエがステージ優勝をもぎ取った。

スプリント勝負を制したポール・マニエ(フランス、スーダル・クイックステップ) photo:A.S.O.

待望の勝利を挙げたポール・マニエ(フランス、スーダル・クイックステップ) photo:A.S.O.

プロローグではデルトロに僅か1秒差で敗れ、第2ステージでも2位だったマニエにとっては待望のステージ優勝に。「今週は2度も惜しいところまで行ったので、ドイツを離れる前にどうしても勝ちたかったんだ。フィニッシュは厳しかったけれど、4人のチームメイトがいて、まだスプリントして勝利を掴むだけのエネルギーが残っていた。チームは終始全力で引っ張り、終盤のアタックを阻止し、スプリントで僕を助けてくれた。彼らに恩返しできて嬉しいし、両親が僕の勝利を見に来てくれたことも誇りに思う」と喜びを語るマニエは、1週間後のブルターニュ・クラシックでも優勝候補に挙げられている。

今季4度目のステージレース総合優勝を挙げたイサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツ・XRG) photo:A.S.O.

2度目のステージ優勝には手が届かなかったものの、「本当に素晴らしい1週間だったよ。まさにクレイジーな体験で、この1週間でたくさんのことを経験できてとても幸せだ」と振り返るデルトロとってはUAEツアー、ティレーノ~アドリアティコ、ツール・オーヴェルニュ~ローヌ~アルプに続く今シーズン4度目のステージレース総合優勝に。レース前こそ「まだツール・ド・フランスの精神的な疲れが抜けきっていない」と話していたが、「体調は良好です。今の自分の身体と感覚に満足しているし、人生を楽しめているよ」と上々の感触を掴んでいるようだ。
ドイツ・ツアー2026第4ステージ結果
1位 ポール・マニエ(フランス、スーダル・クイックステップ) 3:37:39
2位 ダニー・ファンポッペル(オランダ、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ)
3位 ティムトーン・トイテンベルク(ドイツ、リドル・トレック)
4位 ティボー・デルフロッソ(アルペシン・プレミアテック)
5位 エドアルド・ザンバニーニ(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)
6位 ナトナエル・テスファツィオン(エリトリア、モビスター)
7位 クレマン・ヴァントゥリーニ(フランス、ユニベット・ローズ・ロケッツ)
8位 バンジャマン・トマ(フランス、コフィディス)
9位 アラン・ジュソーム(フランス、トタルエネルジー)
10位 タイメン・フラート(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク)
個人総合成績
1位 イサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツ・XRG) 17:39:48
2位 ルイ・バレ(フランス、ヴィスマ・リースアバイク) +0:53
3位 マルク・ヒルシ(スイス、チューダープロサイクリング) +1:08
4位 アンドレア・ラッカニ(イタリア、スーダル・クイックステップ) +1:24
5位 マティアス・ヴァチェク(チェコ、リドル・トレック) +1:25
6位 ナトナエル・テスファツィオン(エリトリア、モビスター)
7位 ゴルカ・ソラライン(スペイン、カハルラル・セグロスRGA) +1:26
8位 ステファノ・オルダーニ(イタリア、カハルラル・セグロスRGA) +1:28
9位 マキシミリアン・シャフマン(ドイツ、スーダル・クイックステップ)
10位 ジュリオ・ペリツァーリ(イタリア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) +1:33
その他の特別賞
山岳賞 ミゲル・ハイデマン(ドイツ、レンべ・ラッドネット)
ポイント賞 イサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツ・XRG)
ヤングライダー賞 イサーク・デルトロ(メキシコ、UAEチームエミレーツ・XRG)
チーム総合成績 モビスター
text:So Isobe
photo:A.S.O.