ファンデルプールが驚異的なタイムを叩き出した23.7kmの個人タイムトライアル。タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG)がファンデルプールを0.31秒差で抑え、初日に続く区間2勝目を挙げた。



暫定トップタイムをマークしたマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・プレミアテック) photo:CorVos

7月4日に開幕するツール・ド・フランスの前哨戦に位置づけられる、ツール・ド・スイス(UCIワールドツアー)も残り2日となった。第4ステージはスイス北部のアールブルクに設定された23.7kmの個人タイムトライアル。コースは丘一つない平坦路のため、純粋なTT能力が試されるステージとなった。

気温34度を超える灼熱のTTで目立った走りを見せたのは、ここまで区間2勝を挙げているUAEチームエミレーツXRGだった。まず序盤スタートのニルス・ポリッツ(ドイツ、UAEチームエミレーツXRG)が、その後の基準となる27分21秒という好タイムでフィニッシュ。それをティム・ウェレンス(ベルギー、UAEチームエミレーツXRG)が31秒上回る26分50秒を叩き出す。しかし、これを意外な選手が大きく上回った。

第1計測地点でウェレンスのトップタイムを約11秒更新したのは、TTバイクにまたがる姿を見慣れないマチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・プレミアテック)だった。TTで好タイムを狙う他の選手が長袖のなか、半袖で臨んだファンデルプールは26分38秒でフィニッシュ。ウェレンスを12秒上回る驚異的なタイムで暫定トップに立った。

後半に追い上げ、区間3位に入ったトビアス・フォス(ノルウェー、ネットカンパニー・イネオス) photo:CorVos

その後、このタイムに迫ることができたのは、最後から11番目に出走したトビアス・フォス(ノルウェー、ネットカンパニー・イネオス)。ノルウェーのTT王者は中間計測地点でこそファンデルプールに約16秒遅れで通過したものの、後半の追い上げで6秒まで迫ってフィニッシュ。最後から4番目スタートのマティアス・ヴァチェク(チェコ、リドル・トレック)は反対に中間計測でファンデルプールを5秒上回る最速タイムをマークしたものの、後半の失速で10秒遅れだった。

そして全身黄色のリーダージャージを纏ったタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG)が最後にスタートを切る。総合では2位に2分50秒差と十分なリードを得ているものの、ツールを意識してスタートから飛ばす。中間計測ではファンデルプールよりも5秒速く、またそれまでの最速タイムであったヴァチェクを0.7秒上回る。その後もペースは落ちることなく、26分37秒99でフィニッシュ。それはファンデルプールよりも0.31秒早いタイムだった。

ファンデルプールのタイムを0.31秒上回ったタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG) photo:CorVos

総合首位のリードを大幅に広げたタデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG) photo:CorVos

「本当に暑かったし、高速コースだった。調子は良く、脚の感触も良かったが、自分がステージ優勝を争っているとは知らなかった。ただ全力を出したいと思って、フィニッシュまで全開で走ることだけを考えた。この勝利が本当に嬉しいよ」と、今大会2勝目を挙げたポガチャルは喜んだ。この結果、総合2位リチャル・カラパス(エクアドル、EFエデュケーション・イージーポスト)との差を4分22秒まで拡大することに成功した。

一方、驚異的な走りで個人TT初勝利に迫ったファンデルプールは、「最初の数日間に比べて、感覚は本当にかなり良くなっていた。暑さも少し和らいでいたし、走り出してすぐにずっと良い状態だと感じた」と語っている。
ツール・ド・スイス2026第4ステージ結果
1位 タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG) 26:37
2位 マチュー・ファンデルプール(オランダ、アルペシン・プレミアテック) +0:01
3位 トビアス・フォス(ノルウェー、ネットカンパニー・イネオス) +0:07
4位 マティアス・ヴァチェク(チェコ、リドル・トレック) +0:11
5位 ティム・ウェレンス(ベルギー、UAEチームエミレーツXRG) +0:13
6位 フェリックス・グロスシャートナー(オーストリア、UAEチームエミレーツXRG) +0:28
7位 サンデル・デペステル(ベルギー、デカトロンCMA CGM)
8位 マウロ・シュミット(スイス、ジェイコ・アルウラー) +0:30
9位 ブランドン・マクナルティ(アメリカ、UAEチームエミレーツXRG) +0:32
10位 フィン・フィッシャーブラック(ニュージーランド、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) +0:37
個人総合成績
1位 タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG) 10:56:29
2位 リチャル・カラパス(エクアドル、EFエデュケーション・イージーポスト) +4:22
3位 マティアス・ヴァチェク(チェコ、リドル・トレック) +4:27
4位 アンドレア・バジオーリ(イタリア、リドル・トレック) +4:46
5位 ブランドン・マクナルティ(アメリカ、UAEチームエミレーツXRG) +5:16
6位 トビアス・フォス(ノルウェー、ネットカンパニー・イネオス) +5:19
7位 イラン・ファンウィルデル(ベルギー、スーダル・クイックステップ) +5:34
8位 ウィルコ・ケルデルマン(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク) +5:51
9位 プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、レッドブル・ボーラ・ハンスグローエ) +6:04
10位 マシュー・リッチテッロ(アメリカ、デカトロンCMA CGM) +6:43
その他の特別賞
ポイント賞 タデイ・ポガチャル(スロベニア、UAEチームエミレーツXRG)
山岳賞 ルイス・フェルファーケ(ベルギー、スーダル・クイックステップ)
ヤングライダー賞 マティアス・ヴァチェク(チェコ、リドル・トレック)
チーム総合成績 UAEチームエミレーツXRG
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos