自転車での日本縦断ギネス世界記録チャレンジに挑戦、148時間48分の新記録を樹立したインフルエンサーの篠さんの自筆レポート第2回は4日目の石川県白山市から5日目の本州北端の青森市・青函フェリーに乗るまでの記録です。



長かったようで体感では一瞬だった濃厚の一週間。前回の記事に続き、4、5日目の走行記録とともにチャレンジ本番を振り返ります。(1日目〜3日目のレポートはこちら

頼もしいサポートチームのおかげでイレギュラーな出来事もへっちゃら

4日目の朝。今日は新潟県の村上市まで383km進む予定だ photo:Nobuhiro Toya

5月24日、4時45分起床。5時21分に走行開始。今日は新潟県の村上市まで383km進む予定です。

大抵のことは3日もあれば慣れるとよく言います。この日から「寝て起きたら自転車に乗るものだ」という認識に切り替わっていて、サドルにまたがることへの微かな抵抗感すらなくなっていました。
ここまでほぼ予定通り進んできましたが、4日目にして初めてのイレギュラー案件発生。予定していたルートの国道359号線が能登半島地震による崩落で通行止めでした。(6月11日に通行再開しました)

金沢駅前を通過。しかし能登半島地震の影響で通行止め区間があることが判明した photo:Nobuhiro Toya

朝5時39分にその情報を入手したようで、サポートチーム内で緊急会議を開始(あとから連絡網の履歴を見返して判明)。走り出して30分経過したところで、網野からの伝言で状況を把握。
「まあ、篠さんはそのまま走ってていいよ。15km先なんで迂回ルート考えてまた伝えます。」
ナイス判断過ぎる。

石川県を走る。カメラマンは通行止区間に先回りして迂回ルートを探ってくれた photo:Nobuhiro Toya

本日より新たに合流したサポートメンバーのふぃりりん、わらばんしさん、オゴウさんは3人ともブルベライダーで、世界で最も過酷な自転車耐久レースとして有名なアメリカ横断レース「RAAM」の経験者。メインのサポートカーはこのメンバー+網野の最強布陣です。人員が十分足りているので、この日しょっとこはNobさんのカメラマンカーの補助に入ってもらうことにしました。

通行止め区間は先行するカメラマンカーが下見して、確実に通れる道をサポートカーに共有。迂回ルートが確定したあとは先回りして曲がり角を示してくれるように動いていました。結果、予定外の通行止めにもかかわらず、迂回距離3.1km、タイムロス9分のみで済みました。チームワークの大勝利です。

相棒のオルベアORCA 楽するためにDHハンドルを付けたが肩が凝ってきた photo:Nobuhiro Toya

ロングライドは食べられれば問題ないのだ

朝のスタート地点のコンビニが営業時間外だったため、迂回路からコース復帰した43km地点で朝食を入手。相変わらずおにぎり類に手が伸びず、コンビニを一周見回って手に取ったのはエッグマフィンでした。会計してくれたふぃりりんが『本当にそれでいいの?』という不思議な表情で見てきた。

「4日目でよく固形物が食べられるね。」と、言われて初めて気が付く。そういえば、初日からほぼ固形物しか食べていない。

淡々と日本海沿いを走る photo:Nobuhiro Toya

胃の働きを維持するため、受付けなくなるまでは固形物を食べ続けるように心がけていましたが、4日目になっても身構えていた胃腸トラブルは起きません。ハードなライド続きで疲労が蓄積すると食欲不振、便秘もしくは下痢などが不調のサインとして表れますが、驚くほどいつも通りでした。自分が一番びっくりしています。

準備期間の食トレが効いたのか、毎日同じ時間に寝て起きる睡眠サイクルがよかったのか、給水や栄養補給が行き届いたからか…。自分ではコントロールしにくい面がたまたまうまく噛み合ったようです。ロングライドは食べられれば問題ないです。なんだか最終日まで生き残れる自信が湧いてきました・笑

休憩にはコンビニの駐車場を使った photo:Nobuhiro Toya
補給をとる。なぜか固形物を食べ続けられた photo:Nobuhiro Toya



この調子で93km地点の第1休憩まではあっという間。ここで1300km突破。祝・全行程の半分完走!
スタートからここまで走ってこれました。「1回できたことはもう1回できるから、もう大丈夫だ。」と思いました。

神風を味方に

新潟方面は夕方から天気が崩れる予報の為、それまでに少しでも先に進みたい。早朝17℃だった快適な気温も、富山市街を経て朝日町を通過した頃には30℃まで上昇。日差しは強いですが、雨予報の影響か時折涼しい風が吹くので、最初の3日間に比べればかなり快適になりました。

左手側に日本海が見える道に出た途端、突然背中が押されるようにスーッと前に進みました。強烈な南風です。平地は足を回しているだけで35km/h出ました。おかげで前半はかなり楽に進められて、200km地点で1時間17分も貯金が作れました。

海沿いの国道の神社を通過 photo:Nobuhiro Toya

今回の日本縦断ルートは青森までほぼずっと海沿いなので、飽きてしまうのかな…と当初は思いましたが、いざ走ってみれば、同じ日本海沿いでもいろんな地形や表情があってずっと楽しいです。特に新潟県と富山県の境にある親不知の景色が強く印象に残っていて…。

海岸線は断崖絶壁、山肌にへばりつくように通っている国道8号線を走りました。長いスノーシェッドの隙間から見下ろす海はすぐ傍にあるものの、遥か低い場所にあって、崖に打ち付ける波の音だけが響いてくる。この距離感で海を見下ろせるダイナミックな道、他では見たことがなくて、心が躍りました。

2回目の休憩場所、セブンイレブン上越五智国府店には応援に来てくださった方が沢山いらっしゃいました。企業スポンサーACTIVIKEの代表のにっしーさん夫婦、山伏BASEのオーナーの中村さん、てつやさん、未架さんなどなど。ボトル補給でACTIVIKEのグランフォンドウォーターをヘビーユーズしてたら、まさかの1kgパックがたったの3日半でなくなりそうになり…。それを聞き付けたにっしーさんがわざわざ小旅行中の草津から予備を持ってきてくれました。

山伏BASEの中村さんは、わざわざお仕事を休んでまで飯能から来てくれました。本当にいつもよくしてくださってありがとうございます。高速のアクセスがいいからか、関東の方が特に多かったです。国道8号線沿いの応援は全行程でも一番多い区間だと記憶しています。走行中に聞こえてくる応援は本当に最高に力になりました。

初めて走行スケジュールの変更を試みる

①本日全行程383km。
②200km地点で1時間以上貯金があり、おそらくこの後さらに増えるだろう。
③しばらくは南風で追い風基調。
④明日は丸一日向かい風予報。

以上を踏まえて、自らサポートチームに提案してみました。
「明日向かい風予報だし、今日村上止まりではなく、60km先の由良海岸まで進むのはどうだろう?」

実は今回日が進むごとに、スケジュールにゆとりを持たせていくように設定しています。特に後半は徐々に要求Ave.を下げていくように組んでいて、毎日要求Ave.を上回ることだけを意識して走行しています。

人間である以上、連日ハードなライドを続けていくと、疲れてペースが下がるのは当たり前だと考えています。後半は特にアクシデントが起こる可能性も上がるので、その対応も想定したスケジュールにしました。希望的観測ではなく、あくまで客観的に自分の走力と体力を判断した上で走行ペースを割り出しました。

参考までに、日毎の走行ペース(平均時速)
1日目Ave.22.6km/h
2日目Ave.19.9km/h
3日目Ave.20.3km/h
4日目Ave.19.3km/h
5日目Ave.19.0km/h
6日目以降Ave.17.5km/h

このペースさえ守れれば、当初予定した151時間台完走は現実的です。

今回の嬉しい誤算と言えば、後半に突入しても思ったほどペースが落ちなかったことですかね。堅実に予定表を守ってきましたが、ここまで来て少しだけ欲が出てしまいました。

本日中に60km多く進められたら、明日北海道に渡るフェリーは1つ早い便のフェリーに間に合うのではないか、と。
心の中では思いましたが、口には出さなかったです。でもその意図を汲んでくれたのか、ふぃりりんは「確かに今日は条件がいい。ライダー優先だから、進みたいならそこまで行っちゃいましょう。」と言ってくれた。ほかのサポートメンバーも「やるなら付き合います」と賛同してくれて有り難い限りです。

とはいえ、60km足すなら3時間は欲しいから、2時間以上貯金ができれば現実的になります。相談した結果、316km地点の第3休憩の到着タイム次第で判断することにしました。

気温の急転直下、そして訪れる虚無区間

雨が降ってきた photo:Nobuhiro Toya

15時以降は徐々に雲行きが怪しくなり、出雲崎町を過ぎた辺りからポツポツと降り始めました。新潟市に近づくにつれて雨が強まり、気温も一気に下がっていきます。
晴れの30℃から、17℃の雨へ。佐多岬から3日間かけて暑熱順化してきたからか、この気温差は寒さすら覚えます。

レインウェアを急いで羽織りましたが、靴の中がびしょびしょになるぐらいの雨でした。靴の中まで濡れるとなんか凹みますよね・苦笑。なんだかんだで、日本縦断走行開始後初めての雨です。30分ほどで止みましたが、ここまで恵まれ過ぎた分、割としっかりめに降られました。

越後七浦シーサイドラインの雷岩は、私的には日本海沿いの絶景ポイントベスト3でした(ベスト1は越前海岸、ベスト2は親不知)。旧料金所跡を通り過ぎて小浜トンネルを抜けたら、左手側に一面巨大な黒い岩壁がドンッと現れます。すごい迫力で、さっきまで雨に降られていたのが完全に吹っ飛びました。

角田浜から第3休憩までは虚無区間。両側に防風林のある1~2%上り基調の道がひたすら真っ直ぐ続いていて、おまけにど向かい風。防風林が途切れた途端、殴られるような強風に見舞われ、8kmほど真っ暗な中ひたすら風に耐え続け、徐々に感情が消えていきました・笑

コンビニで食事。胃腸はまだまだ快調だ photo:Nobuhiro Toya

風の影響もあり、結局ファミリーマート上新栄町店に着いたのは19時38分。貯金は1時間52分。60km距離を伸ばすにはギリでアウトです。新潟市街通過でペースが落ちるだろうし、この先はずっと向かい風予報のため、このまま走り続けたら一日の活動時間が20時間を超えてしまう…。悔しいですが、元の進行予定に戻します。

網野は新潟駅で離脱。JBCFのレースを控えていたのにサポートに来てくれてありがとう!最高に助かりました。

夜の新潟駅。村上のホテルに着いたのは23時23分だった photo:Nobuhiro Toya

4日目のゴール地点、村上のホテルに着いたのは23時23分。予定より1時間46分早い到着でした。ホテルの部屋が空いていたので、この日はサポートメンバーも希望者のみホテル泊にしました。雨で冷えた体のダメージや翌日は函館行きフェリーでの仮眠だけで北海道区間を走ることを考えると、しっかり体を休められるのは今日だけです。予定より早く着きましたが、翌朝5時半スタートに変更して、この日の睡眠休憩を思い切って6時間に伸ばしました。

4日目 石川県白山市~新潟県村上市
サポートメンバー:網野、ふぃりりん、わらばんし、オゴウ

走行距離 382km 獲得標高 1939m
グロス平均速度 21.2km/h
経過時間 18時間2分
走行時間 15時間40分
活動時間 5:21~23:23
睡眠休憩 6時間5分

天気 晴れ→曇り→雨→晴れ
気温 14~30℃
湿度 75%

着用ウェア
【ASSOS】
UMA GT DRYLITE LS JERSEY
UMA GT SUMMER HALF KNICKERS C2
SEEME VEST P1
SUMMER NS SKINLAYER P1
RS GLOVES TARGA
R SOCKS S9
JINGO RS HELMET

走行ログ
https://www.strava.com/activities/11486552496/




サポートチームの疲弊。暑熱順化→寒冷順化

5月25日、朝4時45分起床。5時5分にホテルの駐車場に降りてみれば、同じくホテル泊したふぃりりんとNobさん以外誰も起きてこない…。チャレンジ開始後初めてのことです。しょっとこを除いて、サポートメンバーは毎朝2名ずつ入れ替えていた為、皆さん私より早起きで支度を始めることが多かったのですが、今朝は私が車の窓をコンコンして起こすまで熟睡でした。連日のチャレンジライドはライダーだけではなく、サポートチームも消耗していくものです。

5日目の出発。5月後半にもかかわらず早朝は12℃しかなく、肌寒い photo:Nobuhiro Toya

北陸地方に突入しただけあって、もう5月後半にもかかわらず、早朝は12℃しかなく、涼しいを通り越して肌寒い。九州からここまででやっと体が暑さに慣れきたところで、今度は北海道に向けて寒さに順応していかなければいけません。

準備段階で気温の変動を見越して、5日目からはASSOSの春秋ウェアに切り替え、ウォーマー類をつけることで対応しています。ウルトラロングライドは普段のライドより格段に強度が低いです。「これぐらいの気温ならこのウェアでいける」という普段の経験が当てにならないので、低強度を想定したアイテムで組み立てていったほうが快適さに繋がります。

フェリーのタイムリミット

5時28分に走行開始。本日の予定は青森のフェリーターミナルまでの373km。遂に、本州最終日です。

村上から先は基本国道7号線ベースですが、最短距離を繋ぐように海沿いの道を織り交ぜて行きます。前半は平地かつ信号の少ない区間なので、オルベアORCAを使用。

国道7号線ベースで、最短距離を繋ぐように海沿いの道を織り交ぜて走る photo:Nobuhiro Toya

国道112号線は鶴岡辺りから防風林に囲まれ、森の中に誘われていくような景色が何kmも続きますが、最上川を跨ぐ出羽大橋を渡った瞬間、目の前に現れる鳥海山はグッとくるものがありました。山形県ほぼ鳥海山を横目に走り続けるので、スケールの大きさに感動します。

第1休憩のローソン酒田西野店まで97km、貯金25分。始終強めの向かい風でしたが、Ave.22.5km/hを維持できています。

走行中はずっと暇なので、残り距離とフェリーのタイムリミットを照らし合わせながら、何度も心の中で計算し直しました。青森港までAve.21.7km/hを維持できれば、本日23時発のフェリーに間に合います。チャレンジ前は考えもしなかったことですが、一つ前のフェリーに乗れれば、予定していた深夜2時30分発より3時間半も早く函館に到着できます。

山形県鶴岡市のあつみ温泉入口を通過 photo:Nobuhiro Toya

「福田さん(遠隔サポート参加)にこの進行ペースなら23時のフェリーに間に合うか確認してもらっていい…?」サポートカーにそう伝えたら、まだ23時のフェリー狙ってたんかという顔をされました・笑。諦めが悪いかもしれませんが、せっかくチャレンジするなら、行けるところまで足掻いてみたくなりました。

虚無区間の再来 予備のハンバーガーが大活躍

秋田市までは国道7号線をひたすら北上。海沿いは遮るものがないので、向かい風を受け止めながら、細かいアップダウンが無限に繰り返される道を進み続けます。昼の虚無区間です。

時間が経つにつれて、チベットスナギツネみたいな顔になっていく気がしました・笑。これもきっとNobさんに写真撮られているんだろうなあ…とぼんやり思いながら。沿道で応援の方に声をかけられた瞬間だけ空元気を出せました。

単調すぎて何とか気を紛らそうと、サポートカーから買っておいてもらった予備のハンバーガーを受け取りました。ハンバーガーを咥えているところを撮られました・笑

予備のハンバーガーをほおばりながら走る

走行しながら食べたのは初めてでしたが、コンビニで売っているハンバーガーは絶妙なサイズ感と持ちやすさで、レンジの温めにより程よくしっとりしていて、口の中の水分を持ってかれることもない。割と有能な補給食かも?

「予備のハンバーガー」の要望に最初は戸惑ったふぃりりんでしたが、訓練されすぎてその次、その次の次のコンビニでも言われる前にハンバーガーとホットドッグ類を買い込むようになったのは面白かったです。ハンバーガーなどのサンド類以外は、ビタミン不足を補うウィダーゼリーや、消化酵素を取り込めるバナナ、駄菓子のラムネ、定番の和菓子を食べていました。

第2休憩のローソン土崎港西三丁目店に着いたのは14時40分。ここまで201km、Ave.21.2km/h、貯金47分。ペースがなかなか上がりません。秋田市から先は山岳区間に突入する為、ここでラピエールXELIUSに乗り換えました。

秋田県にかほ市に入った photo:Nobuhiro Toya

蓄積疲労とポジション修正

今回の日本縦断は胃腸が一番心配だったので、消化を優先して胃酸の逆流が起きないように、バイク2台とも普段より少しだけアップライトセッティングです。ただ日が進むに連れてだんだん体幹が疲れてくると、バタンっと前に倒れるだけの姿勢が楽に感じるようになりました。次第にハンドルが高く、近いと思えてきます。

ORCAは基本DHバーポジションで、XELIUSに乗る時も最終日まで握力を残すために、手のひらや肘で体重を支えないように、できるだけ肩で振動吸収していたので、5日目から肩に違和感を覚えました。自転車始めてからこんなに肩が凝るのは初めてです。

強めの向かい風のなか平均時速22.5km/hを維持 photo:Nobuhiro Toya

バイクのセッティングをいじりたくなかったのですが、235km地点で耐えられない違和感に発展したので、体の感覚を優先してXELIUSのハンドルを4mm下げることにしました。この変更は吉と出て、山岳区間は順調。延々と続く平坦基調より、多少登ったり下ったりした方が足を休めて楽でした。

妥協と冷静な判断

第3休憩のローソン大館釈迦内店に到着したのは19時43分。日没から急激に冷え込んでいき、気温は10℃前後とかなり寒いです。北陸に入ってから寒さでトイレに立ち寄る回数が増えた為、どうしても予定より停止時間が長くなっていく傾向がありました。

コンビニ駐車場で。サポートカーは大忙しだ photo:Nobuhiro Toya

本日のゴール地点まで残り76km。ここから青森までは矢立峠を越えればしばらくは下り基調なのでペースは上がります。

ここから全力を振り絞ればギリギリ23時のフェリーに間に合うかもしれませんが、翌朝からの575kmの北海道区間を仮眠のみで走行すると考えると、現時点のロングライドペースを崩して体に負担をかけるべきではない。あわよくば6日切りゴールが一瞬頭を過りましたが、それを目指すには圧倒的に準備不足でした。

夕陽に包まれながら走る。頭の中はフェリーの時間を気にしている photo:Nobuhiro Toya

ウルトラロングライドは準備が9割だと思います。今回は毎朝のスタートゴールの時間がズレても、大抵オンタイムに持ってこれたのは、あらゆる可能性を想定して、確実に6日7時間台で完走できるようにスケジュールを組んできたからだと思います。そこからさらに7時間を短縮しようとすると、思いついた4日目ではなく、もっと前に遡って初日から走行距離の設定や休憩時間を詰めていかないといけませんでした。

反省しかなくて自己嫌悪に陥りかけましたが、未熟者はさっさと気持ちを切り替えました。今できる最善策は2時30分の津軽海峡フェリーから2時発の青函フェリーに変更することです。このペースで進めば、24時までには青森港に到着できるので、乗船までの1時間半は仮眠に振り分けられます。そこからフェリーの中でシャワー浴びて約3時間仮眠が取れれば、本日も4時間は睡眠時間を確保できます。

残り距離とフェリーのタイムリミットを照らし合わせながら走る photo:Nobuhiro Toya

この先どんどん疲労が蓄積されていくでしょう。日本縦断ギネス世界記録は私もサポートカーも公道を走るチャレンジです。不確定要素が多いので、休憩の取り方次第では、反応が遅れたり、バイクコントロールを正確にできなくなる可能性もあります。自分の体調は自分が一番よく分かっているので、睡眠時間を極限まで削ることはしたくありませんでした。「チャレンジ」はしますが、「無謀」なことはしません。

極寒の本州ゴール

時間に追われなくなったところで、気持ちの余裕が戻って最後までは淡々と走行。県道110号線から国道7号線に合流する上り坂のてっぺんが全行程で一番寒かったです。電光掲示板には6℃が表示され、5日前は日中32℃の中を走っていたと思うと、体がバグりますね。体感温度はマイナスでした。

青森市街に向かう国道7号線の長い下り坂は、北国らしいひどめのひび割れ路面。どこ走っても割れているから、ちょいマシな割れ目を跨ぎながらラインを選ぶ感じでした・笑

日が暮れ、薄明かりの中のナイトラン photo:Nobuhiro Toya

青函フェリー青森ターミナルに着いたのは23時41分。予定より1時間5分早い到着でした。

日本縦断は全部で2536kmですが、本州終了時点で1961km。正直青森にさえたどり着ければ、勝ちです。ここまで来てしまえば、北海道区間の残り575kmはもうテンションでどうにでもなる誤差で、走れない訳がないです。

ささっとターミナルの前で記念写真を撮って、フェリーで食べるおやつをコンビニで買い込み、乗船開始まではキャンピングハイエースで仮眠を取りました。フェリーはたまたま個室が取れたので、かなり快適に休めました。

5日目 新潟県村上市~青森県青函フリー青森ターミナル

サポートメンバー:しょっとこ、ふぃりりん、わらばんし、オゴウ

走行距離 373km 獲得標高 2189m
グロス平均速度 20.5km/h
経過時間 18時間12分
走行時間 16時間19分
活動時間 5:28~23:40
睡眠休憩 6時間19分

天気 曇り→晴れ
気温 6~20℃
湿度 76%

着用ウェア
【ASSOS】
UMA GT SPRING FALL LS JERSEY C2
DYORA RS SPRINGFALL BIB SHORTS S9
ASSOSOIRES W SPRING FALL LS SKIN LAYER
SPRING FALL KNEE WARMERS EVO
SEEME VEST P1
ARM PROTECTOR
RS GLOVES TARGA
SPRING FALL SOCKS EVO
JINGO RS HELMET

走行ログ
https://www.strava.com/activities/11494693848/


text:篠
photo:Nobuhiro Toya

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