他を寄せ付けない圧巻のスプリント。エリーザ・バルサモ(イタリア、リドル・トレック)が女子バレンシアナ最終日で今大会2勝目を挙げ、クラシックシーズンでの活躍が期待されるマーレン・ロイサー(スイス、SDワークス・プロタイム)が総合優勝に輝いた。



初日、2日目と2位に甘んじているマリアンヌ・フォス(オランダ、ヴィスマ・リースアバイク) photo:CorVos

2月24日のオムロープ・ヘットニュースブラットから始まる春のクラシックシーズンを前に、スペイン南部バレンシアで行われたボルタ・フェメニナ・デ・ラ・コムニタ・バレンシアナ(UCI2.Pro)は最終日を迎えた。この日はサグントから一度内陸部を通り、バレンシアの市街地にフィニッシュする118km。コース後半に2級山岳が登場するものの、その後は32kmに及ぶ下りと平坦路がフィニッシュまで続くため、予想に違わず集団スプリントで決着した。

アリス・ウッズ(イギリス、ヒューマンパワードヘルス)ら3名が逃げグループを作り、それをEFエデュケーション・キャノンデールなどが先導するメイン集団という形でレースは進行。しかし残り35kmで逃げは捉えられ、大会初日と2日目を連続で2位と勝利を逃したマリアンヌ・フォス(オランダ)のために、ヴィスマ・リースアバイクがプロトンのコントロールを担った。

総合優勝を目指すマーレン・ロイサー(スイス、SDワークス・プロタイム) photo:CorVos

集団が一つのまま2級山岳に入り、頂上まで数kmを残した地点からマビ・ガルシア(スペイン、リブ・アルウラー・ジェイコ)がアタックして頂上をトップで通過する。しかし下りで引き戻され、バレンシアの市街地に突入した集団からパンアメリカTT王者のクリステン・フォークナー(アメリカ、EFエデュケーション・キャノンデール)が飛び出した。

昨年はストラーデビアンケで3位に入ったものの、レース中の使用が禁止されている血糖値モニターを装着しながら走ったとして失格処分となったフォークナー。リブ・アルウラー・ジェイコからEFに移籍後初勝利を狙ったものの、スプリントに向けスピードを増すプロトンは最終ストレートを前にフォークナーをキャッチした。

圧巻のスピードを発揮し、今大会2勝目を掴んだエリーザ・バルサモ(イタリア、リドル・トレック) photo:CorVos

フォスが集団の中に埋もれ行き場を失うなか、ライバルの動きを確認したエリーザ・バルサモ(イタリア、リドル・トレック)がスプリントを開始。その圧倒的なスピードはライバルたちを寄せ付けることなく、大会初日に続く2勝目を決めた。

「スプリントに向けた体制を整えるためには、チームとして力を尽くさなければならない。だから勝利の直後、それを可能にしてくれたチームメイトのことが頭を過った。この勝利がとても嬉しい」と、バルサモは喜んだ。

総合優勝に輝いたマーレン・ロイサー(スイス、SDワークス・プロタイム) photo:CorVos

そして総合優勝は第2ステージで独走を決め、この日もトップ集団でフィニッシュしたマーレン・ロイサー(スイス、SDワークス・プロタイム)の手に。「この結果はクラシックシーズンに向けた自信に繋がる。自分自身、またチームとして非常に高いレベルにあるという証拠を示すことができた」とロイサーは語った。
ボルタ・フェメニナ・デ・ラ・コムニタ・バレンシアナ2024第4ステージ結果
1位 エリーザ・バルサモ(イタリア、リドル・トレック) 2:52:42
2位 アルレニス・シエラ(キューバ、モビスター)
3位 ナディア・クアリオット(イタリア、ラボラル・クチャ・ファンダシオン・エウスカディ)
4位 ジョシー・ネルソン(イギリス、DSMフィルメニッヒ・ポストNL)
5位 リリー・ウィリアムズ(アメリカ、ヒューマンパワードヘルス)
個人総合成績
1位 マーレン・ロイサー(スイス、SDワークス・プロタイム) 13:31:22
2位 カタジナ・ニエウィアドマ(ポーランド、キャニオン・スラム) +0:08
3位 ニアム・フィッシャーブラック(ニュージーランド、SDワークス・プロタイム) +0:12
4位 ジュリエット・ラブース(フランス、DSMフィルメニッヒ・ポストNL) +0:30
5位 ガイア・レアリーニ(イタリア、リドル・トレック) +0:45
その他の特別賞
山岳賞 オリハ・クリニチ(ウクライナ、フェニックス・ドゥクーニンク)
ヤングライダー賞 シリン・ファンアンローイ(オランダ、リドル・トレック)
チーム総合成績 キャニオン・スラム
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos