明日1月16日、オーストラリアで2024年ロードシーズンの初戦であるサントス・ツアー・ダウンアンダーが開幕する。4年振りに復活するウィランガヒルなどコース詳細と共に、アラフィリップやSイェーツ、ガンナなど注目選手を紹介する。



1月16日開幕の本戦を前に行われたダウンアンダー・クラシック photo:CorVos

サントス・ツアー・ダウンアンダー2024コースマップ photo:CorVos
1999年に初開催され、今年で24回目を迎えるオーストラリア最大のステージレース、サントス・ツアー・ダウンアンダー。南半球のため気温が40度を超えることもある真夏の戦いが、今年もやってきた。

レースが行われるのはオーストラリア南部、中心都市シドニーから約1,300kmほど西に位置するアデレード。近郊に大きな山脈はなく、コースの大部分を占めるのは海沿いの平野部やワインの産地として世界的に有名なバロッサバレー、クレアバレー、アデレードヒルズのある丘陵地帯だ。

アデレードの市街地で行われたクリテリウムレース、ダウンアンダー・クラシックではジョナタン・ナルバエス(エクアドル、イネオス・グレナディアーズ)が逃げ切り勝利。そして明日1月16日より、本戦であるサントス・ツアー・ダウンアンダーが全6日間の行程でスタートする。

昨年あった初日のプロローグ(個人タイムトライアル)がなくなり、全ステージがロードレースとなったためスプリンターのチャンスが増えた今大会。その初日はタヌンダを発着地点とする48kmコースを3周する144kmで、コースの大部分は平坦路であるものの、後半には最大勾配14.4%の短い急坂メングラースヒルが登場。しかしスプリンターを退けるほどではないため、昨年の第1ステージと同様に集団スプリントが濃厚となる。

2日目は2級山岳を含む35kmコースを3周し、低難易度のカテゴリー山岳が続くため、獲得標高差が約3,000mに迫るレイアウト。そのため集団スプリントや逃げ切りなどあらゆる可能性が考えられる。そしてスタート直後から3級山岳を登坂する3日目も丘陵ステージとなるが、フィニッシュ手前10kmが平坦路のため集団スプリントの可能性は高い。

ウィランガヒルとオーストラリア国旗とプロトン photo:Kei Tsuji

ウィランガヒルが登場する第5ステージのコースプロフィール image:Tour Down Under

4日目は中盤に設定された3級山岳を除き、ひたすら平野を駆ける平坦ステージ。そして大会5日目にはいよいよ名物ウィランガヒル(全長3.6km/平均7.1%/最大14%)が設定された大会のクイーンステージ(最難関ステージ)がやってくる。

昨年はコースから外されたため、登場するのは2020年以来4年振り。クリスティズビーチを出発して約20kmコースを2周した後、ウィランガヒルを2度登坂する。

そして大会最終日も山頂フィニッシュが待ち受ける。アデレード市内のアンレーから南に進み、徐々の標高を上げながらマウント・ロフティ(距離1.3km/平均7.3%/最大13.3%)を計3度登り、頂上に引かれたフィニッシュラインにて総合優勝者が決定する。
サントス・ツアー・ダウンアンダー2024ステージリスト
ステージ/日時 スタート〜フィニッシュ 距離
第1ステージ/1月16日(火) タヌンダ〜タヌンダ 144km
第2ステージ/1月17日(水) ノーウッド〜ロベサル 141.6km
第3ステージ/1月18日(木) ティーツリーガリー〜キャンベルタウン 145.3km
第4ステージ/1月19日(金) マレーブリッジ〜ポートエリオット 136.2km
第5ステージ/1月20日(土) クリスティズビーチ〜ウィランガヒル 129.3km
第6ステージ/1月21日(日) アンレー〜マウント・ロフティ 128.2km


前回覇者不在の2024年 アラフィリップやSイェーツ、プラップに注目

ジェイコ・アルウラーはサイモン・イェーツとルーク・プラップを揃えた photo:CorVos

昨年の総合優勝者であるジェイ・ヴァイン(オーストラリア)が不出場のUAEチームエミレーツは、アレッサンドロ・コーヴィ(イタリア)がゼッケン1をつける。また注目は若手の登竜門であるツール・ド・ラブニールで昨年総合優勝したイサーク・デルトロ(メキシコ)で、これがプロデビュー戦となる20歳クライマーの走りに注目が集まる。

総合優勝候補の筆頭は昨年総合2位だったサイモン・イェーツ(イギリス、ジェイコ・アルウラー)。先日のオーストラリア選手権でTTとロードの2冠を果たした新加入のルーク・プラップとの共闘が見所となり、スプリントではカレブ・ユアン(オーストラリア)が勝利を狙う。

大会最注目されるジュリアン・アラフィリップ(フランス、スーダル・クイックステップ) photo:CorVos

プロデビューした2014年以来、10年振りの出場となるジュリアン・アラフィリップ(フランス、スーダル・クイックステップ)も総合優勝候補の一人。ここ数年低迷しているが、3日前のダウンアンダー・クラシックでは平地にもかかわらず切れ味鋭いアタックを披露。また同じく久々の出場となるジャック・ヘイグ(オーストラリア、バーレーン・ヴィクトリアス)もリーダージャージを狙うだろう。

ちなみに2020年大会でリッチー・ポート(オーストラリア)をウィランガヒルで破ったマシュー・ホームズ(イギリス)は、2022年末で現役を引退している。

スプリンターでは先述したユアンの他に、フィル・バウハウス(ドイツ、バーレーン・ヴィクトリアス)やボーラ・ハンスグローエに移籍したサム・ウェルスフォード(オーストラリア)、ビニヤム・ギルマイ(エリトリア、アンテルマルシェ・ワンティ)が揃う。更にTTスペシャリストからクラシックレーサー、そしてスプリンターと毎年新たな才能を見せつづけているフィリッポ・ガンナ(イタリア、イネオス・グレナディアーズ)も注目選手の一人だ。

ヒゲを生やし、イメージチェンジしたバウケ・モレマ(オランダ、リドル・トレック) photo:CorVos

text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos

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