今大会2度目のトップ3独占を果たし、勝利したプリモシュ・ログリッチは「アングリルでの勝利を狙っていた」と語る。2位ヴィンゲゴーや辛くも総合首位を守ったクスなど、選手のコメントを通してブエルタ第17ステージを振り返ります。



区間優勝&総合3位 プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)

今大会2勝目を飾ったプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) photo:CorVos

レース直後インタビュー

前回(2020年大会)よりも大分良い登坂をすることができた。今日はほとんど戦術がないなか登り、加速した地点は急勾配だったに加え、(バーレーンの牽引する)ペースが落ちていたので自分のテンポに切り替えた。

―その後、セップ・クスが遅れたことに気がついたか?

ああ。だが、(彼を引き離したのではなく)自分のテンポで登ったまで。彼(クス)と話し「変な感じがする(絶好調ではない)」と言ってたんだ。皆、あの勾配の登り坂では自分の最大限の力で踏み込むだけ。だから僕は彼に「諦めず、自分を信じて踏み続けろ」と伝えたんだ。

お馴染みテレマークを決めたプリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ) photo:CorVos

表彰式後インタビュー

急勾配区間で自分のペースで登りはじめ、それにセップとヨナス(ヴィンゲゴー)がついてきた。とても変な感じがしたが、そのまま踏み続けた。なぜならアングリルで勝つことが僕にとって大きな目標だったからね。

―具体的に何が”変”だと思ったのか?

マイヨロホを着るチームメイトを引き離したのだからね。だから彼に「諦めるな」と声を掛けた。彼を守ることも僕の責任だが、同時に自分のベストを尽くすことも大事だ。結果はレースが決める。結果的にトップ3を独占することができて本当に嬉しいよ。

―クスの総合優勝がチームとしての第一目標なのだろうか?

僕らには各々勝利を目指してアタックする自由が与えられている。だが、マイヨロホを着るセップを見てみてよ(横でインタビューを受けるクスを指さしながら)。とても似合っているだろう?だから彼がマイヨロホを着続けるべきだ。

区間2位&総合2位 ヨナス・ヴィンゲゴー(デンマーク、ユンボ・ヴィスマ)

残り3km地点を過ぎ、ユンボ・ヴィスマのトリプルエースが先頭に立った photo:CorVos

僕らの目標であるステージ優勝と総合トップ3の保持を達成することができた。この結果には満足しているし、正直、いまだセップがマイヨロホを着ていることが嬉しい。セップがこのブエルタで総合優勝してほしい。

区間3位&マイヨロホ セップ・クス(アメリカ、ユンボ・ヴィスマ)

この日が29歳の誕生日だったセップ・クス(アメリカ、ユンボ・ヴィスマ) photo:CorVos

フィニッシュラインを通過した瞬間は、マイヨロホを失ったと思った。でもベストを尽くしたので悔しい気持ちはならなかった。だが、まだマイヨロホが僕のものであると聞き驚いたよ。また明日もマイヨロホを着て走ることができる。ネガティブな意味ではなく奇妙な感覚がする。

―ヨナス・ヴィンゲゴーは君に総合優勝して欲しいと語った。それについてどう思う?

総合優勝にまた一歩近づいたね。ヨナスは僕に「君が勝つ日が来るよ」と言われ、僕は「どうだろうね」と受け流した(笑)。今日はプリモシュが素晴らしい走りを見せ、可能な限り彼に食らいついた。そして再びワンツースリーフィニッシュを決めることができた。

正直、最後はランダとスプリントすることを躊躇った。(先頭で登坂していた)彼の方がステージ3位に相応しいのだが、マイヨロホの保持のためにスプリントしたんだ。ボーナスタイムを狙うためにね。自分の最も好きな自転車レースの日に迎えることのできた、最高の誕生日となったよ。

逃げて山岳賞のリードを拡大したレムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)

マイヨモンターニャのリード拡大に成功したレムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) photo:CorVos

今朝の時点でステージ優勝は難しいことがわかっていた。なぜならセップ・クスが「チームとしてステージ優勝を狙っている」と言っていたからね。だから無線で山岳賞ポイントを取りに行くために逃げに乗ることを伝えた。アングリルに入った時のタイム差は十分ではなく、しばらく1分半の差をキープすることができたが、急勾配区間に入った途端にエネルギーが切れてしまった。

カッタネオと共に目標通り山岳ポイントを稼ぐことができた。だから明日からもジャージのキープに注力したい。

区間4位&総合5位 ミケル・ランダ(スペイン、バーレーン・ヴィクトリアス)

登坂で前を牽いたランダに、スプリントした理由を説明するクス photo:CorVos

最初から僕らはこのステージを狙っていた。チーム全員がやる気に満ち溢れ、プランの実行に集中していた。僕らは素晴らしい走りを見せた。

区間9位&総合4位&ヤングライダー賞 フアン・アユソ(スペイン、UAEチームエミレーツ)

終盤はユンボ・ヴィスマやUAEではなく、バーレーン・ヴィクトリアスがプロトンを牽引した photo:CorVos

最終山岳で脚の良さを感じることができなかったが、それは仕方のないこと。回復できる区間のある山岳ではなく、登りが延々と続いていく感覚だった。第3週目に突入し、いつライバルにバッドデイが訪れるかはわからない。自分の総合順位を上げることを目指し、同時にステージ優勝も狙いたい。

text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos
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