キャプテン、クリスティアン・ヴァンデヴェルデが肋骨2本の骨折でリタイアしたあとのガーミン・トランジションズにとって、ライダー・ヘジダル(カナダ)は事実上のチーム・リーダーとなっている。ヘジダルはこの責任をうまくこなし、総合上位10位に食い込む勝負に出る余裕があることを見せ付けた。

逃げによる勝負に出たのは(ピレネーへのトランジションとされる)中級の山岳ステージ(土曜日の第12ステージ・3級山岳)。しかし最後の2級山岳、クロワ・ヌーヴにかかった時点で総合優勝争いのグループに先行を許してしまった。

ツール第3ステージ 独走で6つ目のパヴェ区間を抜けるライダー・ヘジダル(カナダ、ガーミン・トランジションズ)ツール第3ステージ 独走で6つ目のパヴェ区間を抜けるライダー・ヘジダル(カナダ、ガーミン・トランジションズ) photo:Kei Tsuji

ライダー・ヘジダル(カナダ、ガーミン・トランジションズ)ライダー・ヘジダル(カナダ、ガーミン・トランジションズ) photo:Makoto Ayano「ただ参加するより、速く走りたい。それはおろかなことだと見る人もあるかもしれないけれど、僕は競争するために参加しているんだし、前の方で走って、チャンスがあればそれをつかみたいんだ」。ヘジダルはそう語る。

「僕があの第12ステージで勝てたのかどうか、勝負に出ていなかったらどうなっていたか、それは試してみなくちゃわからない。いよいよツールの日程の中で最大の難所に差し掛かるところだけど、心配はしてないよ(恐れてはいない)」

ツール最大の難関は日曜に始まるピレネーでの4日間。まず選手たちはアクス・トロワ・ドメーヌに向かった。

ヘジダルはピレネー山脈突入前の時点で総合13位。総合リーダーのアンディ・シュレク(ルクセンブルグ、サクソバンク)から遅れること6分25秒だったが、ピレネー2日目の第15ステージでついに総合10位まで浮上した。もちろん来週の日曜日のパリでは10位以内に食い込むことが目標だ。

ピレネーはどのくらいなじみがあるの?
「怖いところだよ。ジローナからだいぶ離れてあの辺でトレーニングしているからトゥールマレー峠やペイレスルド峠といったあたりは知っていて、大体の感じは掴めている」

ヴァンデヴェルデと下見した?
「いや、ツアー・オブ・カリフォルニア出場後、ちょっと休んでからスイスだった。だから登りの下見をするより調子を整えることの方に気を使っていたんだ」

コンタドールシュレク二人の間の戦いになるかな?
「先週のサン・ジャン・ド・モリエンヌの時点でそのことは明らかだったよ。トゥールマレー峠が待っている。もし (第9ステージの)モルジヌ(アヴォリアズ)で大変だと思っていたら大変なことになるさ」
 
君は冷静な選手だよね。チームリーダーとなってプレッシャーを感じてる?
『特に僕だけに、って言うのはないね。もちろんいい成績を残したい。だけど前にも言ったように10位までに食い込もうと思ってツールに参加したことはないんだ。1年中ずっとそればかり考えていていざここにきたというんだったらちょっと違っているかもしれない。来るがままに受け止めているんだよ。今日までの結果にすでに満足している。今日の結果がどうなろうと、その先がどうなろうと、みんなボーナスだ。いろんなことを学んだし、それが身についていってるからツール・ド・フランスが終わるまでには前よりずっといい選手に育っているよ。それが大事なことなんだ」

総合の方の可能性をいろいろ感じた?総合10位は守れそう?
「たぶんね。いい目標だと思う。この一週間すっと10位以内だし、8位や9位から1分弱しか遅れてないから。上位20位まであたりは動かないんだ。どの名前も、グランツールの表彰台に登ったことがあったり、大きなレースで優勝したりしてきたすごい名前だ。僕は成績だけを見るんじゃなくて誰が一緒か、その質を見極めるのが大事なことだと思う。僕の順位の前にいるのは誰か、僕の後は誰か。一緒にあげられている選手たちが立派な選手だから嬉しい」

ヴァンデヴェルデと話して、定期的にアドバイスしてもらってる?
「リタイアしてすぐはちょくちょく連絡があったけど、自宅にいなくてはいけないって言う状況下で、精神的にだけツール・ド・フランスに参加するのは難しいんじゃないかな。僕が最善を尽くしてうまくやっているというのは見てわかってくれていると思う」

君が見たところ、コンタドールは今まで通りシャープかな?
「どうだろう。コンタドールはすごい選手だし、ピレネーに入ってますます凄腕ぶりを増しているのは確かだけど」

去年のチームメイト、ウィギンズの事はどう思う?表彰台は目標を大きくしすぎだった?
「今のところ彼を相手に競争してるんじゃないよ。でも一緒になんとか切り抜けたってところさ。アルプスステージの最後でたまたま一緒になっただけ。このレースは毎年変わる。ある年4位になったって、準備を重ね、もっと上手くなってこなくちゃならないのが当たり前だ。はじめの方のステージをいくつか走ったところですぐ今年はトップに食い込めるとは思えないって言っていたよ」

text:Gregor Brown
photo:Cor Vos, Makoto.AYANO
translation: Yuko Yamawaki

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