逃げたウルシュカ・ジガート(スロベニア、ジェイコ・アルウラー)が残り75mで捉まったツール・ド・スイス・ウィメン3日目。21歳の新鋭エレオノラ・ガスパリーニ(イタリア、UAEチームADQ)がワールドツアー初勝利を飾った。



総合4位につけるブローディー・チャップマン(オーストラリア、トレック・セガフレード)が笑顔でスタートを待つ photo:CorVos

SDワークスがワンツーフィニッシュを決めた個人タイムトライアルから一夜明け、ツール・ド・スイス・ウィメン(UCIワールドツアー)第3ステージは再びザンクト・ガレンをスタートする。山岳地帯を越えてエーブナート・カッペルに至る120.8kmは中盤に1級山岳シッツバーグを登るものの、平均勾配5.6%と難易度は低い。またフィニッシュ手前11km地点の2級山岳も平均4.3%のため、集団スプリントが予想された。

この日はオーストリア国内選手権に向けた調整のため、東京五輪金メダリストのアンナ・キーセンホーファー(オーストリア、イスラエル・プレミアテック・ローランド)が棄権。またチームDSMの総合エースであるジュリエット・ラブー(フランス)も胃腸系のトラブルによってレース途中で去っている。

逃げに乗ったカタブランカ・ヴァシュ(ハンガリー、SDワークス) photo:CorVos

序盤に総合上位のカタジナ・ニエウィアドマ(ポーランド、キャニオン・スラム)が逃げを試みたものの成功せず、アタックと吸収を繰り返した末に初日スプリントを制したカタブランカ・ヴァシュ(ハンガリー、SDワークス)ら6名が逃げグループを形成する。それをリーダーチームであるSDワークスがメイン集団を牽引しながらレースは進行していった。

逃げグループは1分30秒リードで推移したものの、レース後半に入り集団スプリントを狙うプロトンが後方から勢いよく迫る。UAEチームADQがプロトン牽引に加わったこともあり、その差が1分を切った逃げ集団ではウルシュカ・ジガート(スロベニア、ジェイコ・アルウラー)が最終2級山岳でアタック。プロトンからはニエウィアドマが飛び出し、逃げグループに合流を果たした。

レース終盤にプロトンからアタックするカタジナ・ニエウィアドマ(ポーランド、キャニオン・スラム) photo:CorVos

スプリントで先頭に出るエレオノラ・ガスパリーニ(イタリア、UAEチームADQ) photo:CorVos

金星となる勝利を挙げたエレオノラ・ガスパリーニ(イタリア、UAEチームADQ) photo:CorVos

しかしSDワークスとUAEが協力した牽引スピードは強烈で、残り6km地点で逃げ集団を吸収する。その後デミ・フォレリング(オランダ、SDワークス)による高速牽引もあり、フィニッシュ手前75mでジガートをキャッチ。各チームのスプリンターによる混沌としたスピードバトルを、集団後方から勢いよく駆けたエレオノラ・ガスパリーニ(イタリア、UAEチームADQ)が制した。

「選手キャリアで最も大きな勝利。レースを通して私を助けてくれたチームに感謝したい。最初の登りから調子はよく、最終山岳を越えて集団に残ることができたため勝利を意識していた。この勝利は2週間前に亡くなった祖父に捧ぐ」とガスパリーニは語った。

ワールドツアー初勝利を飾ったエレオノラ・ガスパリーニ(イタリア、UAEチームADQ) photo:CorVos

これがプロ2勝目、ワールドツアーでは初勝利を飾ったガスパリーニは21歳のスプリンター。昨年から徐々に力をつけ、UAEチームADQに加入した今年もシングルリザルトを連発しているイタリア注目の若手だ。

翌日の大会最終日は1級と2級山岳を越え、2級山岳を含むコースを2周する100.8km。総合首位のマーレン・ローセル(スイス)と2位フォレリングを擁するSDワークスに対し、ライバルチームがどう挑むかが注目される。
ツール・ド・スイス・ウィメン2023第3ステージ結果
1位 エレオノラ・ガスパリーニ(イタリア、UAEチームADQ) 3:04:12
2位 アルレニス・シエラ(キューバ、モビスター)
3位 テレザ・ネウマノバ(チェコ、リブレーシング・テックファインド)
4位 カタブランカ・ヴァシュ(ハンガリー、SDワークス)
5位 アレクサンドラ・マンリー(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー)
6位 デミ・フォレリング(オランダ、SDワークス)
8位 マーレン・ローセル(スイス、SDワークス)
個人総合成績
1位 マーレン・ローセル(スイス、SDワークス) 5:05:01
2位 デミ・フォレリング(オランダ、SDワークス) +0:09
3位 エリーザ・ロンゴボルギーニ(イタリア、トレック・セガフレード) +0:18
4位 ブローディー・チャップマン(オマーレン・ローセル(スイス、SDワークス) +1:25
5位 アムベル・クラーク(オランダ、ユンボ・ヴィスマ) +1:39
その他の特別賞
ポイント賞 マーレン・ローセル(スイス、SDワークス)
山岳賞 エリーズ・シャベイ(スイス、キャニオン・スラム)
ヤングライダー賞 ヴィクトワール・ベルトー(フランス、コフィディス)
チーム総合成績 SDワークス
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos

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