ツール・ド・スイスに出場していたジーノ・メーダー(スイス、バーレーン・ヴィクトリアス)が第5ステージの下りで落車し、命を落とした。現場で蘇生措置が施されたものの、スイス・クールにある搬送先の病院で死亡が確認された。



落車が発生したアルブラ峠の下り photo:CorVos

ジーノ・メーダー(スイス、バーレーン・ヴィクトリアス)が落車したのは、6月15日に行われたツール・ド・スイス第5ステージ。211kmレースの最終超級山岳アルブラ峠の頂上から、フィニッシュまで続く約10kmのダウンヒルでマグナス・シェフィールド(アメリカ、イネオス・グレナディアーズ)と共に落車した。

すぐさま駆けつけた医療スタッフによりメーダーは心肺蘇生法が行われ、ヘリコプターでスイスのクールにある病院へ搬送。しかし懸命の治療もむなしく、6月16日の午前11時30分(現地時刻)にメーダーの死亡が確認された。

新城幸也のチームメイトであるメーダーは1997年1月4日生まれの26歳。トラック競技で活躍した後、2019年にディメンションデータでプロデビューを果たし、2021年よりバーレーン・ヴィクトリアスに加入。同年に出場したジロ・デ・イタリア第5ステージでは逃げ切り勝利を挙げ、直後に出場した母国のツール・ド・スイス第8ステージでも区間優勝を飾った。

昨年のブエルタ・ア・エスパーニャでは果敢に逃げに乗り、勝利こそなかったものの強い印象を残したメーダー。更に幼い頃に見た氷河を後世に残すべく、チャリティ活動を積極的に行うなどレース内外で注目を集めた。そしてメーダーは今年、ジロに出場予定だったものの、直前に新型コロナウイルスの感染が発覚。新城が代役に選ばれ、メーダーはツール・ド・フランスへの出場も有力視されていた。

チームの代表であるミラン・エルゼン氏は、メーダーの訃報を伝えたプレスリリースでコメントを発表した。「我々は才能ある選手を失い、悲しみの境地にいる。彼は自転車選手としてだけではなく、人間として素晴らしい人物だった。我々は困難な時が訪れた彼の家族と彼を愛する人々に対し、深い追悼の意を表す。バーレーン・ヴィクトリアスは彼の名誉と、彼の記憶を胸にレースを走り続ける。ジーノの精神と情熱を我々を通して表し、彼は我々にとって不可欠な存在であり続ける」。

26歳という早すぎる逝去を悼み、編集部一同、心からお悔やみ申し上げます。

text:Sotaro.Arakawa

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