急坂と6箇所の石畳を越えるブリュッセルクラシック。第103回を迎えた歴史深いワンデーレースをアルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ)が勝利し、ツール・ド・フランスに向けて弾みをつけた。



ロンド・ファン・フラーンデレンでの怪我から復帰したビニヤム・ギルマイ(エリトリア、アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ) photo:CorVos

クリテリウム・デュ・ドーフィネの初日と時を同じく、ベルギーの首都ブリュッセルで「ブリュッセル・サイクリングクラシック(UCI1.Pro)」が行われた。初開催が1893年と歴史深いワンデーレースは、中盤に「ミュール・カペルミュール」「ボスベルグ」「コンゴベルグ」を含む周回コースを2周することが特徴。しかしそれ以降はフィニッシュまで平坦路が続くため、スプリンター向きのレースとなっている。

オールラウンダーがドーフィネに集結する一方で、ツール・ド・フランスを目指すスプリンターたちはツール・ド・スイスを前に本大会に集結。そのためスタート地点にはアルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ)や怪我明けのビニヤム・ギルマイ(エリトリア、アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ)、ティム・メルリール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)などトップスプリンターが集結した。

イェンス・レインデルス(ベルギー、イスラエル・プレミアテック)ら4名がエスケープした photo:CorVos

207kmレースで逃げを打ったのは地元ベルギー出身のイェンス・レインデルス(イスラエル・プレミアテック)ら4名。それをアンテルマルシェ・サーカス・ワンティが牽引するメイン集団が追い、1度目のミュール・カペルミュールを含む急坂区間で20名の先鋭集団が誕生した。

デマールやギルマイ、ヨルディ・メーウス(ベルギー、ボーラ・ハンスグローエ)など有力スプリンターが入った集団に対し、メルリールが遅れたためスーダル・クイックステップはジェイコ・アルウラーと共に追走する。しかし最後まで追いつくことは叶わず、途中ギルマイによる虚を突くアタックを抑え込んだ第1追走集団が、2度目の急坂を前に逃げ集団を捉えた。

1度目のミュール・カペルミュールなどの急坂で先鋭集団が形成される photo:CorVos

ケランド・オブライアン(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー)のアタックを捉える先頭集団 photo:CorVos

先頭集団で単騎のケランド・オブライアン(オーストラリア、ジェイコ・アルウラー)が何度もアタックを仕掛けるものの、その度にアシストを残すアンテルマルシェやグルパマFDJが潰す。そしてオブライアンの思惑に反し、勝負は集団スプリントに持ち込まれた。

ウノエックス・プロサイクリングチームの牽引からトビアスルンド・アンドレースン(デンマーク、チームDSM)が先んじてスプリントを開始。そのスピードにギルマイが伸び悩むなか、冷静に踏み込んだデマールがアンドレースンに並び、ハンドルを投げて勝利した。

ハンドルを投げるアルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ) photo:CorVos

今季2勝目を掴んだアルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ) photo:CorVos

「厳しい勝負になると分かっていたので、ギリギリまでスプリントするタイミングを図っていた。だからギルマイの背後につき、残り200mで彼が腰を上げたので僕も同時にスプリントした。今シーズン2勝目となった今日は、丘と石畳を越えるタフなレースだったよ」とデマールは言う。

シーズン序盤こそ勝利から遠かったものの、5月27日のブックル・ドゥ・ラ・マイエンヌ第2ステージで今季初勝利。そしてこの2勝目と、ツールに向けて弾みをつけた。

ブリュッセル・サイクリングクラシック2023表彰台:2位アンドレースン、1位デマール、3位メーウス photo:CorVos
ブリュッセル・サイクリングクラシック2023結果
1位 アルノー・デマール(フランス、グルパマFDJ) 4:41:51
2位 トビアスルンド・アンドレースン(デンマーク、チームDSM)
3位 ヨルディ・メーウス(ベルギー、ボーラ・ハンスグローエ)
4位 ビニヤム・ギルマイ(エリトリア、アンテルマルシェ・サーカス・ワンティ)
5位 ドリス・ファンヘステル(ベルギー、トタルエネルジー)
6位 クレマン・ヴァントゥリーニ(フランス、AG2Rシトロエン)
7位 マティス・ルーヴェル(フランス、アルケア・サムシック)
8位 トム・ファンアスブルック(ベルギー、イスラエル・プレミアテック)
9位 セドリック・ビューレンス(ベルギー、ロット・デスティニー)
10位 デレク・ジー(カナダ、イスラエル・プレミアテック)
text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos

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