「悪天候のなか無線機が壊れ、ひたすら踏み続けるしかなかった」と勝利したマグナス・コルト(デンマーク、EFエデュケーション・イージーポスト)は語る。目に異物が入るトラブルに見舞われた新城幸也など、ジロ10日目を終えた選手たちの言葉を紹介します。



区間1位 マグナス・コルト(デンマーク、EFエデュケーション・イージーポスト)

3大グランツールの全てで区間優勝を挙げたマグナス・コルト(デンマーク、EFエデュケーション・イージーポスト) photo:RCS Sport

素晴らしい勝利だ。今日は競技人生で最も厳しいレースだった。雨で無線機が壊れ、タイム差など情報が少ないなか走らなければならなかった。そんな中でも僕たちは速いペースを刻んだ。まずは逃げを目指してプロトンを飛び出し、最初の山岳でハイペースにすることでプロトンを分裂させたかった。そうすればスプリンターたちが遅れ、プロトンが追走を止めると思ったんだ。

ある程度のタイム差を稼ぐことはできたものの、プロトンは僕たちを追い続けた。だから僕らに踏み続ける以外の選択肢はなく、これほど長い時間踏み続けたことはない。もちろん横風が吹いた時などは高出力を出し続けるが、今日のように4、5時間踏み続けるなんて初めの体験だった。本当にタフなステージだったよ。

区間2位 デレク・ジー(カナダ、イスラエル・プレミアテック)

コルトにスプリントで敗れたデレク・ジー(カナダ、イスラエル・プレミアテック) photo:CorVos

今日の2位という結果は、前回(第8ステージ)の2位よりも悔しさは大きい。なぜなら勝利がすぐ目の前にあったのだからね。コルトの方がスピードがあることは分かっており、だからこそスプリントになる前に勝負を決めなければならなかった。早めに仕掛けたのだが結果的にスプリントに持ち込まれてしまった。ジロはまだ続いていくが、いまはまだこの脚が痛む。

区間3位 アレッサンドロ・デマルキ(イタリア、ジェイコ・アルウラー)

ハイペースを維持するアレッサンドロ・デマルキ(イタリア、ジェイコ・アルウラー)ら逃げグループ photo:CorVos

悪天候の中、とても厳しいレースとなった。逃げ集団が形成され、ジーとコルトの2人は強かったので逃げ切る自信があった。スピードで劣る僕にとってまっすぐかつ平坦路のラスト3kmで、彼らを驚かせるアタックは難しかった。

逃げ切れたことによる満足感はあるものの、やはり本音では悔しい。でも(最終日の)ローマまではチャンスはたくさんあるので、いまは身体と精神の回復に努めたい。

区間4位 マッズ・ピーダスン(デンマーク、トレック・セガフレード)

同じデンマーク出身のピーダスンに祝福されるマグナス・コルト(デンマーク、EFエデュケーション・イージーポスト) photo:RCS Sport

今日のタフなステージだったのにもかかわらず、スプリントで4位しか得られないのは残念だ。アマヌエル(ゲブレイグザビエル)による集団牽引は素晴らしかったものの、先頭3名が本当に強かった。勝利したマグナスを祝福したい。

マリアローザ ゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ)

マリアローザを守ったゲラント・トーマス(イギリス、イネオス・グレナディアーズ) photo:CorVos

もちろん理想的な着方ではないにせよ、マリアローザを着用できたことは嬉しい。今日は序盤からアタックが勃発し、山岳頂上は寒く、下りはクレイジーと言うに相応しいほど危険だった。また終盤は逃げを掴まえようとするチームがいたためペースも速かった。様々なことが起こった一日だが、無事に乗り切ることができてよかったよ。

天候を含め、何が起きてもおかしくない今大会では”予想”なんてものは無意味だ。一日一日を乗り越えることに集中したい。

体調不良のため棄権したアレクサンドル・ウラソフ(ロシア、ボーラ・ハンスグローエ)について語るエンリコ・ポイチュケ監督

出走前からアレクサンドルの体調は優れなかったものの、我々はそこまで深刻に捉えていなかった。だがスタート後、数km進んだ所で彼は脚に全く力の入らない状態に陥ってしまった。その時点でレースを完走できないことは明らかだった。

レース後に右目の治療を受けた新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス)

雨の中、アシストの役割を遂行した新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス) photo:CorVos

今日はスタート前から主催者と選手側とで話し合いが行われた。途中の山の天気がどうしても悪く、気温も低いので、打開策を提案したが受け入れられずに通常通りのレースをすることとなった。案の定、頂上は0℃に近かったと思う。結構な登りなのに、寒さのほうが勝ってた。

僕は休息日明けで足は回復していて、調子良く走れていた。しかし、何かの弾みで目に異物が入って、ずっと右目がゴロゴロしてて、下りでは眼を開けるのが出来ない状態までなってしまい、集団に付いて行くことが出来なかった。こういう、雨の下りでは遅れたことなかったんだが、見えないとどうしようもなかったね。

23分遅れの147位で無事完走を果たした新城幸也(バーレーン・ヴィクトリアス) photo:CorVos

下りきってからは、50kmグルペットで走ったが、ずっと右目が開けられず、苦痛な時間だった。レース後に病院直行し、眼科で眼を洗浄してもらい、ようやく良くなり、今は目薬をして、眼帯で一晩過ごしています。

感触は良くなっているので、明日には問題ないと思う。足の調子は良かったので、ジョニー(ジョナタン・ミラン)のスプリントの手伝いが出来なかったのが残念だった。明日もスプリントステージなので、頑張ります。が、またしても雨の予報…

text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos

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