「落車して遅れた僕を、チームが勝利へと導いてくれた」と勝利したカーデン・グローブス(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク)は語り、フィニッシュ直前で落車したカヴェンディッシュは「身体よりも精神的なダメージを受けている」と悔しがった。落車続出のジロ5日目を終えた選手たちのコメントを紹介します。



区間1位 カーデン・グローブス(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク)

ジロ初勝利を飾ったカーデン・グローブス(オーストラリア、アルペシン・ドゥクーニンク) photo:CorVos

自分でも驚く勝利。レースを通して全てが上手くいっていたものの、残り7kmのラウンドアバウトで落車してしまった。幸運にも外れたチェーンを直ぐに戻すことができ、先頭集団に復帰した。チームがバラバラになり、理想的なスプリントとはならなかったものの、最終盤までの位置取りが良かったおかげでチームDSMの背後を取ることができた。そして勝利に足る脚が、僕を区間優勝へと導いてくれたんだ。

まるで夢のようだ。ジロは昨年の11月頃から目標にしていた大会だったんだ。チームメイトを含め、この勝利に関わる全ての人たちに感謝を伝えたい。特にチームメイトたちは僕の勝利を信じ、導いてくれたからね。

区間2位&マリアチクラミーノ(ポイント賞)ジョナサン・ミラン(イタリア、バーレーン・ヴィクトリアス)

先頭に出たグローブスを追うミランとピーダスン photo:CorVos

2位は嬉しい結果であり、勝ったカーデン(グローブス)を祝福したい。アンドレア(パスクアロン)が完璧な位置まで連れて行ってくれ、彼らの走りに報いるためには一つ前の位置でスプリントに臨めばよかった。それかマッズ(ピーダスン)の背後にもう少し長くいるか、またカーデンの背後でもよかった。そうすればもう一度勝てたのに。

だが、このマリアチクラミーノをもう一日着ることができることは嬉しい。また明日、勝利を狙いたい。

区間3位 マッズ・ピーダスン(デンマーク、トレック・セガフレード)

勝利を狙ったが、それに足るスピードがなかった。落車が続出するなか、僕自身は幸運にも巻き込まれなかった。レムコ(エヴェネプール)をはじめ、皆の無事を祈っている。僕の気持ちは前向きだよ。明日はコースプロフィール上ではスプリントが狙えるステージ。集中して勝利を狙いたい。

フィニッシュ手前で落車したマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、アスタナ・カザフスタン)

落車後、呆然とした表情を浮かべたマーク・カヴェンディッシュ(イギリス、アスタナ・カザフスタン) photo:CorVos

ホテルに戻ってきた。傷口を洗い、膝は少し痛む。詳しい検査はしていないが、酷い痛みなどはないので骨折はなさそうだ。それよりも精神的なダメージがある。なぜなら完璧な位置からスプリントを開始することができたのに、コース上の白線を踏み後輪が滑ってしまったからね。

アルベルト(ダイネーゼ)が電話をくれた。これもスプリントの一部だし、落車した全員が無事であることを願っている。搬送用のストレッチャーも見かけたからね。次の機会にまた頑張るよ。また、カーデン・グローブスにおめでとうと伝えたい。

マリアローザ アンドレアス・レックネスン(ノルウェー、チームDSM)

マリアローザのキープに成功したアンドレアス・レックネスン(ノルウェー、チームDSM) photo:CorVos

1度だけではなく2度も落車の発生する混沌とした終盤だった。幸運にも僕は巻き込まれなかったが、視界に入っていた。(残り7kmで遅れたものの)チームメイトが僕を先頭集団まで導いてくれた。追走集団にはスプリンターだけでなく、総合上位のチームも含まれていた。集団に復帰後は、自分に落ち着くよう言い聞かせていた。雨と寒さがあったものの、マリアローザを着て走る一日は良い気分だった。

2度の落車に見舞われたレムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ)の状態について語るチームドクターのトーン・クルイト氏

2度の落車に見舞われたレムコ・エヴェネプール(ベルギー、スーダル・クイックステップ) photo:CorVos

最初の落車後、無事な様子のレムコを見て我々は胸を撫で下ろした。だが問題は2度目の落車で、彼の身体の右側と筋肉の収縮に伴う血腫、また仙骨に問題が現れた。幸運にもマッサージと整骨による治療を受け、一晩の休息によって改善することを期待している。(翌日の)木曜の朝には詳細な結果が明らかになるだろうが、彼にとって第6ステージが難しいレースになることは確かだ。

プリモシュ・ログリッチ(スロベニア、ユンボ・ヴィスマ)

ログリッチにバイクを差し出し、ピンチを救ったクーン・ボウマン photo:CorVos

チームメイトたちによる素晴らしい走りで、僕を最悪の事態になり得た状況から救ってくれた。だが集団復帰するとまた落車が発生した。それは運良く免れ、安全にフィニッシュラインを通過することができた。

残り7km地点で落車したログリッチについて語るマルク・リーフ監督

何も問題ないような終盤を雨が路面を滑りやすくし、また混沌を作り出した。プリモシュ(ログリッチ)を含む数名が残り7kmのコーナーで落車し、クーン(ボウマン)が素早く自分のバイクをプリモシュに差し出した。(落車に巻き込まれなかった)選手たちは彼を待ち、先頭集団に引き戻した。特にエドアルド・アッフィニが尽力してくれた。

幸運だったのは落車が低いスピード域で発生したこと。また、選手たちはそんな中でも適切な走りを見せてくれた。

text:Sotaro.Arakawa
photo:CorVos